DURA-ACEホイールのメリット・デメリットを徹底解説

おそらくスポーツ自転車に乗るほとんどの人がお世話になるであろうシマノ製品。

我らが誇る安心と信頼の日本メーカーで、トラブルが少なく耐久性の高いラインナップは、おばちゃんの乗るママチャリからシリアスレースのガチロード/MTBバイクまで幅広くカバーしています。(日本で作っているのは製品全体のごく一部ですが…)

何を判断基準にするかにもよりますが、シマノは世界一の自転車コンポーネントメーカーと言って差し支え無いでしょう。

さて今回は、そんなシマノのトップカテゴリ、DURA-ACEのホイールについて、特徴や選択するにあたってのメリットデメリットを書いてみたいと思います。

(自転車部品の良し悪しを、「◯◯ブランドのは??だ!」と十把一絡げに評価するのは乱暴で、本来は製品一つ一つに対して評価するのが適切ですが、この記事ではDURA-ACEブランドの方向性と実績から、私が見聞きした範囲で製品一般に言えそうなことを述べています。)

はじめに:DURA-ACEホイールの歴史と概要

今でこそ変速やブレーキの機能を担うコンポーネントのメーカーとして有名なシマノですが、会社が立ち上がって最初の製品は当時イギリス製が大半であったフリーハブでした。1921年のことです。

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(出典:merlincycles)

その後SHIMANOは戦後復興とともに自転車メーカとして成長していき、1973年にはフラッグシップラインであるDURA-ACEのドライブトレインセットを発表し、同時にスポンサー供給も開始。プロロードレース界からのフィードバックを蓄積していきます。

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(出典:merlincycles)

このころはまだ、ロードレーサーのホイールは「ハブとスポークとリムを選んでショップで組むもの」、いわゆる手組みホイールとを使うのが常識の時代でした。むしろそれ以外の選択肢はなかったと言っていいでしょう。

そのため上のDURA-ACEのラインナップの中にもホイールは無く、あるのは手組ホイール用の前後ハブのみです。

メーカーがハブもリムもスポークも設計して、前後一組のホイールとして売り出すいわゆる「完組みホイール」の登場は、ホイール界の雄Mavicが発売した1996年に”helium”が最初であると言われています。

このheliumに遅れること3年、1999年についにSHIMANOブランドの最初の完組みホイール、WH-7700が発売されます。

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(出典:merlincycles)

このホイールにはまだ正式にはDURA-ACEブランドがつけられていません。当時の価格やグレードを考えたらDURA-ACEをつけても良さそうでしたが、初物ということもあって見送られたのでしょうか。

スポーク数が少ないことがこのホイールの特徴。完組ホイールはすべてのパーツを専用設計できるので全体的に軽く仕上げられるのですが、スポークの数を減らすことで軽量化に拍車をかけています。

ただし初物だけに意図の読めない設計も多く、巷では横剛性の無さや中途半端なリムハイト、Rolfに似たスポークパターンなど批判も多いホイールでした。

特に外周部の重量を軽くしようとスポークをリム側に引っ掛けてニップルをハブ側に配置していますが、リム部にニップルと同程度の重量があるワッシャが必要になり、結果外周部の重量減も達成できず全体として見ればニップル分重量増という仕上げも伝説人っています。

その後WH-7700-C、WH-7701など幾つかのバリエーションやマイナーチェンジがでますが、SHIMANOのホイールで正式にDURA-ACEグレードを冠したのはWH-7800が最初です。

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(出典:Bikesport)

WH-7700のリム引っ掛けニップルはバッサリやめて、素直にリムからストレートにハブに通す設計になっています。WH-7700での失策はちゃんと活かされたようですね。

特徴的だったスポークパターンも極めてノーマルな放射系に。これはランスも愛し私も愛するMavicの大傑作であるキシリウムと同様のスポークパターンで、かかりの良さをはじめとする性能の良さは折り紙つき。そしてカーボン素材の隆盛を受け、DURA-ACEホイールの一つのマイルストーンであるWH-7801Cが誕生します。

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(出典:bikecyclingreviews)

このホイールは自分も所持しているので贔屓目に見てしまいますが、何よりもコスパが素晴らしかった。2006~7年当時の実勢価格でキシリウムのアルミホイール最上級と同じくらい、10万円半ばでカーボンホイールが買えるというのが衝撃的でした。

当時カーボンホイールはプロチームですらおいそれと購入できる値段ではなく、WH-7801Cの登場で経済的に楽になったチームは多かったのではないでしょうか。

しかも安いのに仕上げはとても丁寧で、スポーク穴の周囲には割れない様エポキシが塗布されるなどとてもこの価格帯とは思えないものでした。

この辺りの仕上げの丁寧さというのは現在のDURA-ACEホイールまで引き継がれており、SHIMANOの良さを語る上で欠かせない要素の一つです。

さて、その後もWH-7850…とマイナー/ビッグチェンジを繰り返し、WH-7700に端を発したSHIMANOホイールは現在ではWH-9000シリーズが最新型となりました。


シマノ SHIMANO WHEEL DURA-ACE WH-9000-C50-TU チューブラーホイール前後セット リアQR長163mm IWH9000C50FRTB

カーボンリムのノウハウも蓄積し、リムハイトのバリエーションなど選択肢も充実してきました。性能の高さは、2015年のツール・ド・フランスに出場した17チーム中実に6チームがDURA-ACEホイールを使用していた事実からもうかがえます。2013年、2015年のツールを制したクリス・フルームも、DURA-ACEホイールを駆っていました。

良いところ

上記のような歴史を持つDURA-ACEホイールですが、他メーカーのホイールと比べて良い所を挙げてみます。

ともかくコスパがいい

日本車然り、電機メーカー然り、日本のメーカは安く高品質なものを開発するのが得意ですが、SHIMANOも例外ではありません。

一例として、SHIMANOと双璧をなすイタリアの自転車部品メーカ、CampagnoloのフラッグシップホイールBora ULTRA 50 tublarは日本の小売価格で40万円近くしますが、同じくSHIMANOのDURA-ACE WH9000-C50-TUは25万円程度です。


Campagnolo カンパニョーロ BORA ULTRA 50 ボーラー ウルトラ 50 チューブラー ダークラベル 前後セット カンパ用 ロードホイール

どちらも高いことには変わりませんが、最上モデルの価格が倍近く違うということからも、DURA-ACEホイールのコスパの良さがお分かりいただけるかと思います。

もちろん、性能が劣らないのはプロレースでの輝かしい実績が証明している通りです。

長持ちする

これも日本製品らしい特徴ですが、DURA-ACEのホイールは外国製ホイールに比べるとトラブルが少なく、長持ちする印象があります。実際自分のWH-7801Cも使い始めて6~7年経ちますが、特にヘタったりサビたりもせず快調に使用しています。

万が一トラブルが合った時も、リペアパーツを非常に細かく注文できる上に国内配送ですぐ届くので、長く付き合うには非常に良いホイールです。

下の図はSHIMANOがHPで公開しているホイール部品の展開図で、すべての部品に番号が振られており、欠損/故障したパーツを簡単に発注することができます。これが海外メーカーのホイールだと、よほど代理店がしっかりしていない限りは補修部品の納期が長かったりいろいろうまくいかないことが多いです…。

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(出典:SHIMANO公式サイト)

悪いところ

コスパよし!品質良し!といいとこだらけのDURA-ACEホイールですが、その日本製品らしさゆえに物足りないところも…。

一貫した設計理念/デザインアイデンティティが無い

自転車は趣味の道具なので、ブランドバリューやアイコニックなギミックの存在というのは重要な要素ですが、いかんせん歴史が浅いせいか、DURA-ACEホイールには一貫した設計理念が無くモデルチェンジごとにホイールの特徴が変わります。

そのため当たり外れも大きく、前モデルの性能に惚れ込んでいても、次のモデルで同等の満足が得られないことがあります。良く言えばしがらみに囚われず常に新しい設計をしているとも言えますが…。

自動車メーカーにも言えますが日本の企業は「伝統を重んじた一貫したブランディング」というのが下手ですね。

これが海外勢のホイールだと、Mavicのキシリウムは基本設計を変えずに、素材や細かな軽量化だけで10年以上ラインナップに乗り続けていますし、CampagnoloのG3スポークも長いこと変更されずに継続されています。

そのため、見る人が見ればシルエットだけでも「あ!キシリウムだ!」とわかります。その点、SHIMANOはロゴを見ないと玄人でも判別は難しい。

「走ればいいんじゃ!」という方には関係ないですが、パーツのストーリー性にもこだわる方にDURA-ACEホイールはあまりおすすめしません。

世代が変わると取り残される

一番の難点はこれだと思います。前項とも共通しますが、DURA-ACEのホイールは世代間の互換性が非常に悪いです。

例えばWH-7900からWH-9000に世代交代する際には、SHIMANOのドライブトレインの変速が10速から11速に変わりました。WH-7900を所持している人はスプロケットだけ11速に変えて、今後も使い続けたいところですが、なんと、WH-7900以前のホイールは11速への対応は不可ときた。

つまりメーカーは「11速使いたい人は新しいホイール買ってね?」と言っているわけです。ここらへんの不親切さはSHIMANOが際立っていて、何故か海外メーカーの10速ホイールはそのままでも11速に対応できるというちぐはぐな現象が起きました。純正のSHIMANOは無理なのに!

こういった前世代までのお客さんを否定するような売り方は各所でも批判されています。(それが技術的にしょうがないことならさておき)

最後に

いろいろ書きましたが、製品単体で見るとDURA-ACEホイールほど魅力的な選択肢もそう多くありません。

走りに対する費用対効果が最も大きい部品はホイールとも言われています。この秋にホイールを新調して一つ上の走りを手に入れてみては?

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(TOP画像出典:Athlete Company)


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Written by しんたろ

ホリデーレースと自転車旅が好きな貧脚ライダー。日本縦断と四国一周、バイアスロン富士登山が主な自慢話。自転車店でメカニック経験あり。最近は乗るよりメカを眺めている時間が長い。