会計や経理、給与計算の知識がなくても簡単な登録や入力作業のみで、あとは全自動で計算してくれるクラウドサービス型のソフト「freee」。毎年、年末調整や確定申告の時期には、お世話になっている人も多いのではないでしょうか?
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「帳簿付けがとても楽になった」という声も高い、この便利すぎるサービスを運営するfreee株式会社は、2012年7月に創業したスタートアップ企業です。
当ブログでは、freee株式会社が自転車通勤を推奨していると聞きつけ、そのリアルな実態を探りにやって来ました。そこでわかったのは、スタートアップと自転車は切っても切り離せない関係にある、というお話でした。
前編ではfreeeが自転車通勤を推奨するに至ったワケ、後編では実際に自転車で通う社員が紹介する社内のカルチャーについて取り上げます。
インタビューにお答えくださったのは、創業者である佐々木大輔社長と、PRの前村菜緒さんです。
徒歩・自転車通勤組は約3割
freee株式会社が入居するビルは、東京・品川区にある五反田駅や東急池上線の大崎広小路駅にほど近い繁華街の一角。近年、スタートアップ企業が増えつつあるエリアです。
2年半前、たった2人で、都内の佐々木社長の自宅マンションで始めた同社も、会社の成長に伴い3回の引越しを経て、2014年6月に現在の五反田オフィスに移ってきました。
参考:
「freee 株式会社 に行ってきた!」(941::blog)
スタッフは、平均年齢31歳。エンジニアとカスタマサポートが半々で、今年の3月には、社員やアルバイト、インターン合わせて100人に達する規模となったそうです。所狭しとスタッフのデスクが並び、急成長を遂げている会社らしく活気にあふれています。
そんな手狭になりつつあるオフィスの窓際や壁には、なぜかロードバイクやクロスバイクが何台も並んでいます。
ーーママチャリは見当たらないですね。
前村 「ママチャリ通勤者は今のところいないですね。みんな体を動かすのが好きで、会社に入ってから、ロードバイクなどを買って始めた人も多いです。みんな、リフレッシュにもなると言って乗っています」
ーーどのくらいの方が自転車通勤を?
前村「通勤の届出制度がないので、正確にはわからないのですが、自転車シーズンの多い時で、20台 近く並んでいたこともありました」
佐々木 「創業時は自転車通勤100%でした(笑)。当初のスタッフは、僕の住んでいたマンションの近くに住んでいたので。社員が増えて、電車通勤の人も多くなり、逆に新鮮に感じています。このごろやっと自転車組がマイノリティになった感じです」
前村 「最新のアンケートでは、電車通勤の人がようやく半数を超えました。
当社では2km圏内に住む社員に住宅手当を出しているのですが、オフィスとともに駐輪スペースが手狭になってきていることもあって、空気を読んで、自転車ではなく歩いて通ってくれている人もいるくらいです」
スタートアップに自転車は必須アイテム|会社と生活を近づけ、起業の大きなエネルギーに
ーー社員が会社の近くに住むことを勧める理由は?
佐々木 「近くにいたほうが楽しいじゃないですか。裁量制で時間帯とかも結構自由に働いているので、電車の時間にあまり縛られずに仕事ができるほうがいい。それに、電車で定期買って通勤します、ってすると、いかにも仕事っぽい。そういう感じからは一線置きたかったんです」
ーーなぜ自転車通勤を推奨しているのでしょうか?
佐々木 「なぜって……推奨しない理由ってなんなんでしょうか? (笑) 僕も、今は徒歩通勤ですが、Googleの頃から自転車で通勤していましたし、起業した当初はお金がなくて交通費がもったいないや、ということで、自転車でした。
ベンチャーキャピタルに行くのに自転車。色々な手続きで法務局や年金事務所に行くこともよくあったのですが、そういう施設って、電車で行くことがほとんど考慮されていないような辺鄙な場所にあることも多かったので、自転車。
実は、起業したら、自転車って必須アイテムだったんです。
創業時は、みんなが自転車通勤でした。生活の一部として起業にフォーカスができて、そこに大きなエネルギーが集まってくるという感じでした。会社を社員の生活に近いところに置いてみるという試みは、やっぱりこう既存の枠とかに挑戦する立場として、力を生み出すのに必要なんじゃないかと思うんです」
今後の課題は、自転車の置き場問題
ーーきっとスタッフの数はまだまだ増えて、また移転しますよね?
佐々木 「増えます。ここのオフィスはそのうち移転します」
ーーオフィスが狭くなってきた中で、スタッフの自転車置き場はどうしますか?
佐々木 「問題は深刻だと思いますよ。ぜひなんとかしてください(笑)。
実は、自転車置き場が存在するビルがなかなかないことが、自転車通勤を合理的でなくしてしまっている事情だと思っています。
大手のデベロッパーがやっているビルのなかには、「敷地にも寄せないで」と言われてしまうところも。それなのに、地下駐車場には余ったスペースがたくさんある。じゃあ駐輪場を作りましょう、と提案しても、考えておきましょうだけで終わってしまう。そういうところが問題なのではないかと思います。駐輪場があるだけで、その不動産の価値が上がっていくんじゃないでしょうか 」
距離や時間の制約を取り払い、スタートアップのパワフルさをよりスタッフが楽しく、効率よく発揮していくために自転車通勤を推奨しているfreee株式会社。今後の成長を支えるのは、意外なことに自転車の置き場なのかもしれません。続いて後半は、自転車通勤を取り巻く社内のカルチャーについて取り上げます。