世界一過酷なレース!?それがツール・ド・フランス

自転車に乗らない方でも、名前だけは知っているツール・ド・フランス。約3週間かけて行われるサイクルロードレースであり、選手は1日に100km~250kmもの距離を走行します。

とはいっても、ツール・ド・フランスって正直わかりにくいですよね。個人で走るステージもあれば集団で走る場面もあるし、食事は?トイレは?他のチームなのに協力しあうの?どこが見所なの?などなど。

そこで今回は「そもそもツール・ド・フランスとはなんぞや」という基本的なことと、自転車初心者でも楽しくツール・ド・フランスを観戦できるポイントをご紹介したいと思います。

ツール・ド・フランスの概要

ツール・ド・フランス(Tour de France)は毎年7月に行われるサイクルロードレースです。名称はフランス語で「フランス一周」を意味しますが、現代ではフランスのみならず周辺国もコースとして使用されます。

レース開催中、ほぼ毎日走り続けるために鍛えられたプロであっても、ベストコンディションを保ち続けるのは難しく、レース途中にリタイアする選手が続出するのも珍しくありません。例えるなら、フルマラソンを毎日一ヶ月続けてしているようなものでしょうか。ちなみに日本人選手としては、2016シーズンもTEAM lampre-MERIDAとして出場が決まった新城幸也選手や、日本人初のツール・ド・フランス完走者、別府史之選手が有名です。

ツール・ド・フランスに出場するためには、国際自転車競技連合(以下UCI)のUCIワールドチーム制度にのっとった選定基準で、UCI登録チームの戦績や運営体制、財政情報などが評価された上で、ツール・ド・フランスを含めたワールドツアーへの参戦権を獲得しなければなりません。

つまり、どれだけ強い選手を集めてもチームとしての評価ポイントが高くないと、出場選定の土俵にすら上がれないということ。世界一過酷と言われるサイクルロードレースは出場条件も狭き門なのでした。

ツール・ド・フランスを観戦する際のポイント

ツール・ド・フランスに出場できるだけでも、非常に名誉であることがおわかりいただけたと思います。ですから、ツール・ド・フランスを完走したとなればとんでもなく凄い選手、総合優勝者に至ってはもはや化け物レベルなのです。

しかし実際にレースを見てみると、最終ゴール果たした時に行われる表彰以外にも、開催中コースを走り終えた上位選手がそのたびに表彰されています。これはどういうことなのでしょうか。「えっ!優勝者ってたくさんいるの!?」とお思いかもしれませんが、実はこれがツール・ド・フランスをややこしくしている初心者さん泣かせのルール。

優勝という名目では、全コースの合計タイムを合算して合計所要時間が最も少なかった選手が獲得できる栄誉な賞、マイヨ・ジョーヌ(Maillot Jaune)と開催期間中に走ったコースのステージ優勝があります。簡単に言えば、1日で一番速かった人はステージ優勝者で、ツール・ド・フランス全体を通して一番速かった人が総合優勝者、といった具合ですね。ちなみに、総合優勝を果たした選手が所属しているチームが、優勝チームとなるので他のチームメンバーはエースを勝たせるためサポートを欠かしません。

この他にも、いくつかの山の頂上付近へ設定されたポイント点数の合算で一番点数を保有している選手へ贈られる山岳賞(マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ:Maillot Blanc à Pois Rouges)や、同じくポイントの合算方式でスプリンターへ贈られるポイント賞(マイヨ・ヴェール:Maillot Vert)などがあります。こちらも砕いて言えば、クライマーが欲しがるのが山岳賞でスプリンターが欲しいのがポイント賞というところでしょうか。もちろん、それぞれのステージが毎回同じわけありませんので、一貫したエースは存在しますがコースに適応した選手がエース扱いされることが多いです。

また、ステージはチーム全員で走るもの以外にも個人記録を競うタイムトライアル、通称個人TTステージなどもあります。

これさえ押さえてしまえば後は難しいことはありません。約200人ほどの選手が出場しているツール・ド・フランスですが、それぞれの選手の動きに着目してみると、どの選手がどんな特性を持っていて、どんな役割なのか、よくわかるようになりますよ。

個人的なおすすめはエースをアシストするサポートメンバーの動きに注目して見ることです。無駄のない動きでテキパキとエースをサポートし、自ら風除けになったり補給用のドリンクが入ったボトルをサポートカーから運んだりしているので、エースがどのタイミングでアタックを仕掛けるか予想する楽しみが生まれますよ。

ツール・ド・フランスのちょっと外れた楽しみ方

もちろん、ツール・ド・フランスの楽しみ方はこれだけではありません。少し脇道へ逸れた見方を提案します!

1)補給シーンを見る!
選手が口にする補給食の補給回数を見てください。サイクルロードレースでは多くのカロリーを消費するため、できるだけ高カロリーなものを食べてハンガーノック(身体中のエネルギーを全て使い切ってしまって全く動けなくなる状態)を避けなければなりません。その量約8,000kcal!これは一般的な成人男性が摂取するカロリーの4日分ほどに相当します。

この動画はツール・ド・フランスで総合優勝経験を持つクリス・フルーム選手が所属するTEAM SKYの専属シェフ、ヘンリー・オレのレシピを再現したメニューを一般人が体験してみた動画。選手は肉体だけでなく内臓も強くなければ務まらないのですね。

ちなみに、食べた分だけ出さなければならないのが人間のサガというもの。トイレはどうしているかというと、自転車へ乗車したまま済ませてしまう選手がほとんどだと聞きます。

2)景色を楽しむ!
平坦ステージでは動きが少ない場合もあるため、ちょっと退屈に感じてしまうこともあるかもしれません。そんな時はフランスの美しい景色を楽しみましょう。

すると「しかし妙に映像に迫力があるなー」と、お気付きだと思います。実はこの映像、ブロックバスター映画を多く生産するハリウッドの一流スタッフを起用しているんです。凄いですよね!僕も映画は大好きなのでテンション上がります。主に空撮を担当しているので、映画好きの方であれば「このショットは……!この撮り方は……!」とワクワクすること間違いなしです。

3)レース脇にいる観客に注目!
ツール・ド・フランスに限らず、ヨーロッパで行われる多くのサイクルロードレースは観客と選手を遮る柵があまりありません。

このため山岳地帯では興奮した観客がコース内へワラワラと立ち入ってしまうこともしばしば。実際のところ、ぶつかってしまう事故が頻繁に起きるらしく、選手側がフラストレーションを溜めて観客へ怒号を飛ばすことも珍しくはありません。

4)風を感じる!
「画面越しに観戦しているのに何を言ってるんだ?」と思われることかと思いますが、実はカメラを通してでもどれくらいの風が吹いているかわかるんです。葉っぱの揺れ?波の高さ?いいえ、それは集団の動きを見ること。

集団が大きくなればなるほど、選手たちは力を温存しながら走ることができます。よって、強い風が吹いている日には他のチームの選手同士が協力し合うため、とても巨大な集団を見ることができるでしょう。

最後に

以上、ツール・ド・フランスの基本的なルールと知識、レースを見る際の楽しみ方でした。

事前情報を持ってレースを観戦すれば、より楽しめるはずです。今はまだ、どんなチーム出走していてどのような選手が出場しているかはわからないかもしれませんが、レースを見ながらお気に入りの一押しを見つけていけばいいだけのこと。まずは難しく考えずにツール・ド・フランスを楽しみましょう!

日本で観戦する場合はJ Sportsが全ステージ独占生中継するほか、HUBやRAPHA CYCLE CLUB TOKYOでも観戦することができますよ。

(追記)
NHK BS1にてハイライト特別番組の放送が決定致しました。
番組タイトル:ウィークリー ツール・ド・フランス「第1~6ステージ」
放送日時:7月9日(土) 午後3:00〜
URL:http://www1.nhk.or.jp/sports2/etc/
※ハイライト特別番組は全4回の放送で今回の放送は第1回です。

ツール・ド・フランスの公式アプリもあります。
iPhone用 / Android用
非常にわかりやすい使い方詳細:ツール・ド・フランス2016のスマホ用アプリがとっても便利!

J SPORTSのYoutubeチャンネルでもステージごとのハイライト動画が配信されています。
Youtubeチャンネル

https://www.youtube.com/watch?v=1ryhSFxlUBk

(TOP画像出典:charel.irrthum)

onzk

WRITTEN BYonzk

毎日往復50kmを通学する学生サイクリスト。ホームセンターに売られていたノーブランドのクロスバイクをドロップハンドルへ改造した事からロードバイクに目覚め、現在はSCULTURA 400を所有。冬にはスキーを嗜む。

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