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整備士がメンテした電動アシスト自転車が借りられる ヤマト観光レンタサイクル
第70回カンヌ国際映画祭に出品された映画『光』(公開中)の主演俳優・永瀬正敏さん、河瀨直美監督が世界遺産・春日大社にお礼参りすると聞き、オッサンは奈良に向かった。
奈良へは昨年10月にも訪れている。この時もレンタサイクルを借りたが、前回とは違う、こちらの店を選んだ。ポイントは2つ。①整備士によるメンテ済みの自転車であること、②近鉄奈良駅店、JR奈良駅店の2店舗で相互乗り捨てが可能、ということ。
近鉄とJRの駅は1.1km離れている。帰りはJR奈良駅発の深夜バスを利用するので、JR奈良駅店で返却できるのはありがたい。電動アシスト自転車は1日、1200円。閉店後は店舗前に自転車を停めて、ポストに鍵を投函すればいい。
奈良といえば鹿せんべいでココ 奈良公園 鹿苑
まずは近場の奈良公園。入り口から鹿がいっぱい。初めて来た時は、目の前に鹿がいるということに感動して、シャッターを切るのだが、焦らなくてもいい。神様の使いとして大切にされてきた鹿は約1200頭が生息している。
鹿せんべい(150円)を手に持っていようものなら、すぐに人気者。5、6頭の鹿が囲んでくれる。若い女性は「キャーキャー」と言いながら、逃げ回っていた。実は、鹿を見るよりも、人間を見物している方が面白かったりする。
目下、鹿さんたちは出産シーズン。鹿苑(ろくえん)で、生まれたての子鹿を見られるというので、移動する。苑前には長い行列ができていた。6月4日現在、苑内には母鹿166頭、子鹿78頭がいる。子鹿を産んだばかりの母鹿は母性本能がとても強く、子鹿に近づく人間に攻撃することがあり、無用なトラブルを防止するために保護している。
子鹿ちゃんはなかなか姿を見せてくれない。暑いから日陰に逃げ込んでいるのかと思ったが、そうではない。生まれたての頃は1日に2、3回の授乳時間以外は、外敵から身を守るため、木陰などに身を潜めるのだ。
生まれたての子鹿の体重は3000gというから、人間の赤ちゃんとほぼ同じ。生まれてから数分から3時間くらいで立ち上がり、母鹿の乳を飲む。母親を探している時は「チュイーン」と甘えたような声を出すのだそう。かわいいね。
6月30日までの限定公開。11:00〜14:00(入場は13:30まで)。一般300円、高校生以下無料。お早めに!
これぞパワースポット! 世界遺産・春日大社
旅の疲れも出てきたので、世界遺産・春日大社の入り口にある「カフェ・ショップ鹿音」で本葛入り抹茶ぜんざい(800円)で癒す。
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12:00 永瀬さん一行と待ち合わせして、御本殿で参拝。オッサンは初めてだが、永瀬さんは『光』のクランクイン前とクランクアップ翌日にも参拝している。その後、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門への出品が決まり、キリスト教関係者が選ぶ「エキュメニック賞」を受賞した。これも春日様のおかげ? お礼参りは早い段階から決めていた、という。
春日大社は藤原氏の氏神である春日神(かすがのかみ)を祀った神社であるが、永瀬さんの故郷、宮崎は天孫(てんそん)降臨の地である。奈良には高天原(たかあまはら)の伝承もあり、神話的なつながりもある。
春日大社公式サイト
永瀬さんの参拝は長かった。「たくさんの人に映画が届きますように、とお願いもしたので、また来ないといけないですね」と笑う。新たに御札も求め、同行したオッサンも「叶札」をいただいた。感謝。永瀬さんを見ていると、ものすごくご利益があるように思えたので、自身でも「商売繁盛」の札を求めた。
奈良の森の中に建つ春日大社は、そこにいるだけで気分が晴れやかになる。まさに、パワースポット(個人的感想です)。その後、『光』の出演女優、神野三鈴さんも加わり、河瀨監督のオススメする店でランチを取ることに。オッサンは場所を聞いて、電アシで移動する。
河瀨直美監督オススメのランチ「竈」 ならまち周辺
春日大社から目的の竈(かまど)までは2.3km。こういう時、電アシは便利。車が通りにくい細い道でも走り抜けられる。車とほぼ同着だった。
「ならまち」近くにある「竈」はガラス張りのオシャレな外観。中央には、大きな竈。席はカウンターとテーブル。自販機で食券を買う。肉豆腐定食(1680円)を選んだ。肉豆腐、おかず2品、生卵、ご飯、味噌汁、お新香。ご飯は竈で炊いたもので、ツヤツヤ。おかわり自由というので、もう一杯。8:00から営業なので、朝ごはんの後、サイクリングに出かけるのも、いいかもしれない。
ランチ後は一行と別れて、旧市街「ならまち」を少しだけ散策。「奈良町にぎわいの家」(入場無料)へ。ここは築100年の町屋で、マップや観光ガイドも多数置いてあり、休憩所としても使える。離れや中庭、「厨子(つし)二階」と言われる天井が低い独特の部屋など見どころ満載。時間がある人は、ここを起点に「ならまち」歩きをしてみると面白い。
映画『光』でも描かれた美しい夕日 天理
18:00、市内のネットカフェで原稿を書き終わり、約10km先の天理駅へ。19:00から駅前広場のコフフンで、河瀨監督がエグゼクティブ・ディレクターを務める「なら国際映画祭」の関連イベントがあり、永瀬さん、神野さんが急きょ、ゲスト出演するというのだ。電車で移動するのが早いが、せっかくだから電アシで向かった。
盆地である奈良はほとんどが平坦で、走りやすい。電アシの利用客の中には(13km先の)法隆寺まで出かけた人もいたそうだが、バッテリーは余裕だったと聞いた。ならば、心配はない。今回乗ったブリジストン社製の電アシ「アシスタ」はスピードメーター付き。時には30kmを超えることもあった。
19:00天理駅前に到着。円形広場は満員と、河瀨監督の人気ぶりが伺える。永瀬さん、神野さんが登場すると、一段と拍手。映画『光』では天理市内の龍王山ロケが山場になっている。「あの日の夕日もきれいでしたが、きょうの夕日も美しい」と永瀬さんはいう。
19:20、イベントは終了。大慌てで車に乗り込む永瀬さん一行と別れる。せっかくだから、龍王山が見えるところまで行ってみる。電アシを「強モード」に切り替えて、天理本通のアーケードを駆け上がる。その麓は天理教本部の巨大施設があった。夕闇迫る山麓で、念仏だけが響き、その先に龍王山が見えた。
帰りも「強モード」で一路、JR奈良駅へ。こういう時は電アシは心強い。20:30、ヤマト観光レンタサイクルJR奈良駅店で電アシを返却。この日の移動時間と距離はウォーキング4.8km(141分)、自転車29.6km(108分)、計249分、34.5km。JR奈良駅近くのラーメン店「豚竹林」でとんこつラーメンと餃子のセット(890円)に生ビール(490円)。自分へのご褒美だ。
21:15、JR奈良駅発東京駅日本橋口行きの深夜バス(5680円)に乗り込む。その名も「青春エコドリーム」。48歳にもなると、深夜バスはさすがに体に応えたが、神仏を身近に感じる(気がする)奈良の地で、新たな光、新たなパワーを得た(気がした)!