昼より快適で絶景も⁉︎ ナイトライドの魅力と装備・注意点
夜にスポーツバイクで走ることで広がる世界がある・・・
ナイトライドをするようになってから、「自転車の楽しみの半分がここにあったんだ!」と感じているライターの片岡です。とはいえ、夜間に安全に走るには、必要なアイテムを揃えることや注意すべきことが多々あります。私が自分の経験から得た「ナイトライドの醍醐味」と、「ナイトライドのための準備」をまとめてみます。
目次
ナイトライドの醍醐味って?
ナイトライドの醍醐味1:星、月、夜景
私が初めてナイトライドで心打たれる経験をしたのは、1人で能登半島1周をしているときでした。
あたりは見渡す限りの闇。幽霊が苦手な私は、風でざわざわと揺れる木々に怯えながら山道を走っていました。
恐怖に打ち負けそうで、脚ももう限界。辛さに耐え兼ね、ふと空を見上げた瞬間…私の恐怖も、疲労も、どこかへ飛んで行ってしまいました。そこに広がっていたのは満天の星空。おまけに、流れ星が降り注いでいたのです!この星空は私しか見ていないと思うと、自然と笑みがこぼれていました。
美しいものは星空だけではありません。海岸線に浮かぶ満月、靄に包まれた街の輝き、明かりが灯った町並み・・・。夜の静けさが、それらを一層引き立てます。
ナイトライドの醍醐味2:朝焼けのご褒美
一晩中走るのは疲労が重なりますが、がんばって迎えた朝には朝焼けというご褒美がちゃんと用意されています!日常生活で見る朝焼けも綺麗ですが、走り切った達成感と、辿り着いたその場所、夜を超えた安堵感が、朝焼けを特別なものにしてくれるでしょう。
ナイトライドの醍醐味3:走りに集中できる
ナイトライドの魅力は景色だけではありません。当然のことながら、夜は交通量が少ないので、適切な道を選べば交通ストレスが少ない道路を思う存分走ることが出来ます!トレーニング目的で走る方や、ストレス発散に思い切り体を動かしたい方にはぴったりです。
一度その解放感を味わうと、日中のライドがいかに交通ストレスに満ち溢れているかを実感するかもしれません。。
ナイトライドの醍醐味4:自分だけの世界
深夜帯や、夜の山間部は人気がなくなります。つまり、日中では人目を気にし、遠慮していることが出来るのです(くれぐれも法律やマナーは守りましょう)。例えば、歌ったりしながら走っても大丈夫。
満天の星空、愛車に乘って風を感じながら、誰に遠慮することもなく歌うのが、気持ちよくないわけがありません!私もそうなのですが、恥ずかしがり屋の方は間違いなくハマるはずです。
ナイトライドに必要な装備~都心部編~
このように魅力がいっぱいのナイトライドですが、夜間走行は常に危険と隣り合わせです。自分自身の安全のためだけでなく、他の交通者のために、また家族のためにも安全への最大限の配慮が必要です。そのため、昼間とは違う装備が必要ですし、また走る場所に応じて装備の基準も変わります。
ライト・反射材
キャットアイ ボルト200
¥4,500(税抜)
まずはナイトライドの基本、ライトと反射材についてです。ライトや反射材を考えるときには必ず
「自分が周りを見えるか?」「相手から自分が見えるか?」
という2つの視点が必要になります。
例えば暗いライトでは真っ暗な道を安全に走ることが出来ませんし、明るい道で自分は周りがよく見えていても、ドライバーや歩行者から自分が見えなければ安全とは言えません。
都心部を走る場合、サイクリングロードなどを通らない限り基本的に街灯があるので、路面が見えないということはありません。そのため、必要になるのは「相手から見えやすい工夫」となります。
私の経験上、具体的に必要なアイテムは以下になります。
・200ルーメン前後の前照灯
・点滅式の補助前照灯
・点灯できる尾灯
・足首の反射材
ポイントとしては
⑴明るすぎないこと
⑵点滅でアピールすること
⑶動く部分への反射材の使用
みなさんも対向車のハイビームなどで経験があると思いますが、明るすぎると逆に対向車や歩行者から見え辛くなってしまいます。また、都心では周りの明かりに紛れてしまうので、点滅でアピール力を強化しましょう。道路交通法では点滅は前後共、ライトとは認められませんので、必ず点灯しているライトと併用してください。
尾灯については、常に点灯で。単独走ではない場合、尾灯の点滅は後続の人の目を幻惑するので、その意味でも点滅は避けた方がいいです。
後ろからの見え方については、動く部分=足首に反射材を配置するのが効果的です。車を運転する方なら、ママチャリのペダルに付いている反射材がいかに目立つかお分かりだと思います。
バーエンドミラー
ダサい、邪魔などと言われてしまうバーエンドミラーですが、ナイトライドでその本領を発揮します。
夜間は車はライトをつけているため、小さなミラーでも後ろから車が来ているか一瞬で把握出来るのです。交通量が少ない夜間だからこそ、つい油断して後方の確認がおろそかになりがち。バーエンドミラーで後方への注意力を高めましょう。
キャットアイ バーエンドミラー
¥1,500(税抜)
ナイトライドに必要な装備~山間部・海沿い編~
ライト・反射材
先ほど都心部編でもお伝えしましたが、街灯のない山間部や海沿いでは自分でよく見えるように道を照らさねばならないため、都心部のナイトライドとは必要とされるアイテムの条件が異なります。都心部では「自分が見られやすいこと」だけを意識すればよかったのに対し、山間部や海沿いでは「自分から道がよく見えること」も必要となるため、「見る」「見られる」両方を意識しなくてはなりません。
さらに、夜間に自転車が走っていると思いつきもしないドライバーにいち早く自分を認識してもらうために、見られやすさにも工夫が必要です。条件としては以下の通りです。夜間走行が多いブルベの必要アイテムも参考になるかと思います。
・800ルーメン以上の前照灯
・100ルーメン以上のヘッドライト
・点灯できる尾灯
・常時点滅させる尾灯
・反射ベスト
・足首の反射材
KNTN 反射ベスト
¥879(税抜)
前照灯は30km/h程度までなら400ルーメンでも走れますが、山間部のダウンヒルを考えると800ルーメン以上は必須です。自転車に固定するライトではヘアピンコーナーの先を照らせないので、ヘッドライトもあると安心ですね。また、ヘッドライトはメカトラブルの際にも大活躍します。
尾灯は2灯以上でアピール力を高め、さらに反射ベストの着用で遠くからでも発見しやすいようにしましょう。追加するならヘルメット尾灯。これは割と目立つのでオススメです。ブルベでも長い距離になると必須装備です。
ポイントは「これでもか!」というくらい目立つようにすることです。
防寒具、補給食
森や海の夜間は特に冷え込みます。都会の夜は暑かったんだと、実感できるほどに違うはずです。そのため、必要な備えは
・ダウンヒルでも冷えないグローブ
・汗で濡れているときに走行不能になっても一晩過ごせる防寒具
・多めの補給食
となります。グローブ・防寒具については季節によって異なりますが、夏以外は優れた防風性を持つウィンドストッパーがついているものが安心です。
シマノ ウインドストッパー サーマル リフレクティブ グローブ
¥6,500(税別)
防寒着は持てるだけ持つのが理想です。夜間は冷え込むため、汗冷えすると体温が下がってしまいます。それを避けるため、そもそもウェアは正しいレイヤリングをしていくことが大事です。いったん冷えて心拍下がったら、そうそう暖まりません。また、「休憩を長く取りすぎて、心拍が下がって寒い!」という失敗は、長時間走るブルベライダーでもよくあることだそうです。
輪行袋は必ず持っていくことをおすすめします。というのも、トラブル時の輪行が出来るだけでなく、寒いときに自分が輪行袋に入って寒さをしのぐことが出来ます。(あくまでも防寒具を別に持つことが理想です)
補給食については、少し多めに持って行くくらいがいいでしょう。夜間は空いていない店も多く、田舎のコンビニには24時間営業でない店舗もあります。
ナイトライドの注意点と対策方法
都心部はタクシー、酔っ払い、ごみに注意!
都心部のナイトライドでまず注意するべきは、タクシーです。発見したお客様を逃がすまいと、あるいは急なお客様の要望に応えるため、自転車の進路を塞ぐように急停車することがあります。自分の身を守るため、タクシーを見かけたら必ず注意しましょう。
次に気をつけたいのは酔客(酔っ払い)。酔客はふらふらと道路に出てくることがあるので、歩道にも気を配っておき、繁華街の歩道脇を通るときは少し路肩から離れておくのが良いでしょう。けがをさせてしまっては大変ですし、自転車と歩行者の衝突では基本的に自転車が加害者側になります。
最後に路上のごみに注意。思いがけないものが落ちていることもあるので、くれぐれも気を付けてくださいね!
山間部・海沿いは走り屋・動物・事故に注意
人気の少ない山間部などで最も気をつけたいのは夜間走行の車です。中でも、集団走行をしたり、ブラインドコーナーを果敢に攻めたりする「走り屋」(英語で言うストリート・レーサー、スポーツタイプの自動車で走行性能の限界に挑むような走り方をする)と、自転車が並走するのは危険です。そこで、車の走行音が聞こえたら、なるべく道幅の広い直線道路の路肩で停車し、彼らが過ぎ去るのを待ちましょう。このとき、車の来る方向に前照灯を振るのが私の経験上最も効果的です。
尾灯や反射材以上にアピールすることが出来るので、車も減速してくれるはずです。
そして車と同じくらい危険なのが、動物たちです。都心に近い山でも、夜間にはシカ、イノシシ、サルなどが出ます。特にシカは危険で、路肩の茂みから突然飛び出してくることがあります。私もダウンヒル中に危うくシカに衝突しそうになった経験があり、一瞬死を覚悟しました。
スピードを出しすぎないようにするのに加え、シカの鳴き声(キャーやピャッピャッというような甲高い叫び声のような声)を聞いたら特に注意しましょう。
その他、グループでのナイトライドで気をつけたいこと
グループで走る場合、夜は昼間より視界が悪くなるので、車間距離を大きくとりましょう。また手信号は見えないので「車来た!」など声をかけることも大事です。
まとめ
これは山間部や海沿いに限った話ではありませんが、特に夜間走行では事故を起こさないように無理は禁物です。人気のない場所では、もしも事故が起きた際に発見が遅れ事態が悪化する可能性があるからです。
魅力的な夜の世界を存分に楽しむために、安全には十分配慮し、装備を整えて走りましょう!
きっと、あなたの世界がもっと広がると、自信をもってお勧めします!
監修:神奈川SR・T、VIKING THE MAINTENANCE