長く乗った愛車とお別れ。自転車の処分が必要になった時、知っておきたいルール

不法投棄すれば1,000万円以下の罰金も!

不法投棄すれば1,000万円以下の罰金も!
 乗らなくなった自転車を処分する方法としては幾つかあるが、適切な手続きをせずに投棄すれば「廃棄物処理法」という法律によって処罰される犯罪である。この法律によれば個人でも法人でも1,000万円以下の罰金刑または5年以下の懲役刑が課され、未遂であっても処罰される可能性があることを知っておこう。

まず行うべきは、防犯登録の抹消

 具体的な処分方法を紹介する前に忘れずやってもらいたいのが、防犯登録の抹消手続きである。自転車本体と防犯登録カード、身分証明書を持って防犯登録所である最寄りの自転車店に行き抹消手続きをしてもらう。費用はかからない*。防犯登録シールを剥がしただけでは抹消手続きにならず、車体番号から持ち主が特定されるので要注意だ。

*)都道府県によっては有料(例:愛知県は¥100(非課税))

 わざわざ手続きのために自転車を持ち込むのは面倒だが、これを怠ると、処分したはずなのに密かに転売されて、ひき逃げなど事件に使われた場合には真っ先に疑われてしまうので要注意。

 回収業者に依頼した場合、適切な処理がなされないケースもあると聞くので、万が一に備えて確実に自身で抹消しておくほうが無難だ。

 ただし防犯登録は有効期限のある都道府県が多いので、期限が切れている場合は登録情報自体が抹消されているので手続きの必要はない。ちなみに東京都の場合は登録から10年間有効となっている。

これで安心&確実。自転車処分5つの方法

粗大ごみに出す

粗大ごみに出す
 エリアによっても回収方法や費用は異なるが、自転車を粗大ごみとして出す方法がある。東京都中野区の例を挙げると、16インチ未満400円、16インチ以上800円がかかる。ちなみに電動アシスト自転車の場合、本体は粗大ごみとして出せるが、バッテリーは自治体では回収してくれないので、販売店に相談する必要がある。

 申し込み方法は各自治体のホームページで調べてもらいたいが、東京都の場合はインターネットか電話で予約でき、ごみ処理券を金額分コンビニなどで購入し処分品に貼って予約した日の朝8時までに家の前へ出しておけば持って行ってくれる。安上がりかつ安心できる方法だが、予約から回収まで日数を要するのが難点。

 ちなみに東京都足立区では不法投棄防止対策の一環として自転車の無料引き取りサービスを行っている。原則として区民が対象だが、書類上は足立区への無償譲渡となっているので、近隣にお住まいの方は問い合わせてみてはいかがだろうか。

足立区 不要な自転車を引き取ります

 自治体によっては同様のサービスを行っているところがあるかもしれないので、お住まいの自治体に確認してみてほしい。

ごみ処理場に持ち込む

ごみ処理場に持ち込む
 自治体によっては、ごみ処理場(クリーンセンターなど名称が異なる場合もある)があって直接持ち込みのできるところがある。処分費用は粗大ごみより安く、重さで引き取り金額が決まるケースが多い。ただし、処理場はアクセスの不便な郊外にあることが多く、クルマがないと効率よく処分できないのが難点。自治体によっては予約制を導入している場合もあるので、持ち込む前に必ず確認しよう。

新車の下取りに出す

新車の下取りに出す
 新しい自転車を買う際には古い自転車を引き取ってくれる場合が多い。店によっては1台に限り無料で引き取ってくれることもあるが、そうでない場合でも1台あたり500円~1,000円程度で引き取ってくれるので、急いでいる場合や手間を考えると便利な方法だと言える。

 自転車専門店が近隣に何店舗かある場合は、購入する前に回って確認しておき、下取りのほか値引き条件や店の雰囲気なども鑑みてトータルで良さそうな店で買うのがオススメ。メンテナンスを含め長く付き合える店と出会えると自転車ライフが楽しくなるので、ことのほか自転車店選びは重要なポイントとなる。

回収業者に引き取ってもらう

回収業者に引き取ってもらう
「不用品あれば引き取ります。壊れていても構いません」などとアナウンスしてクルマで巡回している回収業者に引き取ってもらう方法。自宅まで引き取りに来てくれるのがメリットだが、「無料だと思ったら、費用を請求された」などのトラブル報告も国民生活センターに寄せられているので、利用には注意したい。

 急いで処分したいといった場合であれば検討しても良いが、他の方法と比較して処分費は高くなるケースもある。まずは処分代がいくらかかるのか、きちんと確認をした上で納得がいく価格であれば依頼、という原則を守るのがトラブルを防ぐコツだ。

※ その他、オークション・フリマや直接友人・知人など他人へ譲渡することで処分する方法もあるが、詳細は関連記事をご参照願いたい。

これは迷惑! 絶対NGな処分はこれだ

これは迷惑! 絶対NGな処分はこれだ

卒業する際に大学へ放置する

 各地の大学では春になると卒業生が放置したとみられる持ち主が分からない自転車が大量に出るので頭を抱えている。大学によっては2、3月に不要な自転車を回収して修理し、4月に新入生や留学生に販売しているところもあるが、放置される台数が多すぎて修理が追いつかないのが現状だ。

 「エコチャリキャラバン」という活動に参加している大学ではリサイクル自転車の販売と不要になった際の引き取りをやってくれるので、処分の手間を考えずに済む。大学構内の移動は割り切ってリサイクル自転車を活用してみてはいかがだろうか。

エコチャリキャラバン

街中の駐輪場に乗り捨てる

街中の駐輪場に乗り捨てる
 街中の駐輪場に乗り捨ててしまうという悪質なパターン。その内、何割かは盗難自転車だが、意図的に放置するひともいるので始末に負えない。

 この場合、防犯登録情報から持ち主を特定して引き取りを依頼するが、基本的に引き取らないので管理会社が費用を払って廃棄しているのが実態。そういった無責任な態度ももちろんいけないが、 不特定多数のひとが利用する駐輪場に放置をするということは、その自転車が犯罪などに悪用される可能性もある。自身を守るという点からも、適切な処分が必要だ。

山中や湖沼、河川に投棄する

山中や湖沼、河川に投棄する
 処分の面倒臭さから人目につかないところへ不法投棄をしてしまいたくなるかもしれないが、もちろんこれもNGだ。不法投棄は罰金刑や懲役刑の対象となる犯罪行為であり、防犯登録や車体番号から所有者が判明してしまうので、適切な処分手続きをした方が結果的にお得だと言える。

まとめ

 自転車の処分方法を5つ紹介した。住んでいる自治体によっては選択肢に入らないものも含まれているが、自転車は大きさの割に比較的安価で処分できる品物なので、役割を全うしたら感謝の気持ちを持って適切に処分してあげよう。

 適切なメンテナンスを欠かさず行えば、自転車はとても長持ちする。処分せず乗り続けられるならそれに越したことはないが、様々な事情があるだろうから、いよいよ処分という際は今回の記事を参考にしてもらいたい。

監修:サイクルアシスト オオバ 大場忠徳
Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

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WRITTEN BY内海潤

NPO法人 自転車活用推進研究会 事務局長 東京サイクルデザイン専門学校の非常勤講師として次世代の自転車人を育てる一方、イベントや講演会などを通じて自転車の楽しさや正しい活用を訴える活動を続けている。テレビへの出演多数。共著書に「これが男の痩せ方だ!」「移動貧困社会からの脱却」がある。別名「日本で一番自転車乗りの権利を考えている*事務局長」(*FRAME編集部見解)

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