ゆるポタリスト△(自称)に大人気。自転車で行く『ゆるキャン△』イベント「ゆるくないスタンプラリー」
ゆるいとゆるくないが混在するのが魅力的。
Twitterで一部のサイクリストに人気だったイベント「ゆるくないスタンプラリー」。今年2018年3月まで放映され、人気を博したゆるふわキャンプアニメ『ゆるキャン△』のオフィシャルイベントです(※イベント自体は6月3日で終了しています)。
『ゆるキャン△』についてざっくり紹介すると、山梨県に引っ越してきた各務原なでしこという女の子がソロキャンプ大好きの志摩リンに出会い、キャンプの楽しさに目覚めていくというお話。ふたりのゆるゆるなキャンプの様子に思わずハマってしまう人が続出。また、ふたりが自転車に乗っているシーンがちょこちょこあるからか、追いかけているサイクリストも多かった印象があります。アニメは今でもAmazon Prime Videoなどで観ることができます。原作コミックスは6巻まで出ています。
イベントが発表されたとき、『ゆるキャン△』ファンのサイクリストが自転車でのスタンプを集めを計画。すると、総距離は100kmを余裕で超え、獲得標高も2,000mという立派な山岳コースになることが発覚しました。ゆるふわアニメのイベントなのにふつうにハードな山岳コースというミスマッチでチャレンジ精神に火がついたのか、実際に自転車で巡った人は結構多かったように感じます。
書いている人もついつい自転車で参加しちゃった人のひとり。今回は、『ゆるキャン△』好きサイクリストなら絶対に楽しいこのコースの魅力を紹介します。もちろん、これから原作を見て走っても楽しめるはずですよ!
目次
ひたすら上るよ!
『ゆるキャン△』の主人公・リンとなでしこが住む身延(みのぶ)は、周囲を山に囲まれた土地。ゆるくないスタンプラリーでは作品に関連する11のスポットにスタンプが設置されました。これを自転車で走って集めようってわけです。
書いている人が走ったコースはこちら。山梨県南西にあるJR身延線・内船駅(うつぶなえき)をスタートして、甲府盆地にあるほったらかし温泉を目指しました。アクセスには、東海道線で富士駅→身延線に乗り換えとしました。
Twitterでは特急が使える中央本線を使い、甲府盆地からスタートする人が多かった印象です。どちらからスタートしても大丈夫ですが、いずれにせよゆるくないことに変わりはありません。
高度図を見るとこのコースのゆるくなさがよくわかります。基本的に上りと下りしかありません。大きな上りが2つあり、この区間で約1,450mUPもできてしまいます。ここで「やったぜ」となる、ゆるクライマー△な人なら最高に楽しいことでしょう。
11のチェックポイントが南北に散らばっているため、最短コースでも約130kmの山岳コースになってしまいます。1日での制覇は十分狙えますが、1泊2日でゆるーく巡るほうが無難です。
まずは風光明媚な身延をゆるく楽しもう
そんな中、誰でも比較的気楽に楽しめるのが身延山の周辺です。身延を貫く富士川沿いの比較的平坦な道をサイクリングでき、ロープウェーで身延山の展望台に上れば、山と川、狭隘な地形が織りなす絶景を楽しめます。
1.身延山(みのぶさん)
コース上でも特に大きな観光スポットの1つ、身延山。日蓮宗の総本山であり、非常に風格があります。『ゆるキャン△』作中では主人公の友人たちが連れ立って初詣に訪れています。
巨大な三門がまず圧巻。
結構な上りがこのあとに控えているので、三門併設の売店で売られている足腰のお守り(500円)を買って旅の無事を祈るのもいいでしょう。
本堂裏手にあるロープウェーには乗らずともスタンプを集められますが、展望がすばらしいので時間が許すならぜひ。
山間の狭隘な土地を富士川が貫く身延を一望。うねる川と左手奥に見える富士山がすばらしい。
2.身延駅前しょうにん通り
JR身延線・身延駅前にある商店街「しょうにん通り」も外せない観光ポイントです。もちろん、『ゆるキャン△』にも登場しており、チェックポイントが1つ置かれていました。
スタンプラリーのチェックポイントだった和菓子屋「栄昇堂」では、名物のみのぶまんじゅうを味わえます。
3.セルバみのぶ店
まさにアニメの聖地という感じのスポットがこのセルバみのぶ店。原作を知っていると熱い『ゆるキャン△』推しにニヤリとしてしまうはず。
カップヌードルカレー味(『ゆるキャン△』的にはカレーめん)が山盛り。これは作中でなでしこが食べていたことにちなんでいます。ちなみに、ゆるキャン△パッケージのほうとうなど、関連商品も多数アリ。
イートインでカレーめんを食べることもできます。塩分が補給できていい感じ。
四尾連湖(しびれこ)の激坂を越えてゆるいひとときを
次なるチェックポイントは山奥にある小さな湖「四尾連湖(しびれこ)」にあるキャンプ場併設の宿泊施設「水明荘」。
四尾連湖のキャンプ場は、なでしことリンがキャンプをした場所です。
『ゆるキャン△』の雰囲気が感じられ、日常を忘れて思わずぼんやりしたくなってしまいます。
思わず、キャンプ道具を積んで訪れたくなりますが、自転車だとちょっと厳しい。その理由は四尾連湖に至るまでの道にあります。
こんな感じの山道が13km弱続きます。左上にガードレールが見えているのに気づいた人は鋭い。
斜度がゆるくない…むしろキツい! 序盤がゆるく後半がきつい王道タイプの上りで、中盤以降は斜度8%↑が続き、ラスト区間は11~14%に達します。獲得標高は約690m(ヤビツ峠と同じくらい)ですが、道中は景色が地味なこともあって主観的にはだいぶしんどいです。四尾連湖に着くまでに心を折られる可能性は十分にあります。実際、書いてる人が訪れたときは自転車を押し歩いている方と出会いました。
自転車キャンプをするなら、車で訪れるか(リンとなでしこも四尾連湖には車でアクセスしています)、割り切ってピンポイントで訪れたほうがいいかも。上るのも結構大変で、時間もかかりますから。
もうひとつの山場、そして本栖湖(もとすこ)
身延方面から次のチェックポイント・浩庵(こうあん)キャンプ場のある本栖湖畔(もとすこはん)を目指す場合、本栖みちを上らねばなりません。獲得標高約770m、距離約16kmの長い上りの始まりです。
自転車ですべてのチェックポイントを巡ろうとすると、四尾連湖と本栖みちという2つの上りが連続します。ここがゆるくないスタンプラリーでいちばんゆるくないところですね。
ちなみに、今回は身延方面からスタートしていますが、甲府盆地にあるほったらかし温泉からスタートしても同程度上らなければなりません。スタンプのコンプリートを狙う場合、大きく迂回しない限りこの上り2連発は回避不能です。
本栖みちは斜度5~7%ほどの区間がほとんど。四尾連湖ほどきつくはありませんが、獲得標高も同程度、長いヒルクライムになります。そのため、補給食と水分補給に注意してください。四尾連湖を下ったところに自販機があるので、そこでボトルを満タンにしておくのは必須かと思います。
長い上りを耐えきれば、眼前に本栖湖が現れます。作中ではなでしことリンが出会った場所ですが、彼女たちは驚くべきことにミニベロで身延側から本栖みちを上ってここまで到達しています。ロードバイクでも楽じゃないのに。ふたりとも剛脚さんだなぁ。彼女たちの超人っぷりを実感できるという意味では、この区間を自転車で走るのはオイシイかも。
まだ上るよ!
残すチェックポイントはあと3つ。とりあえず笛吹川フルーツ公園に向かいます。本栖湖からは40kmほど離れていますが、甲府盆地まではずっと下りで、あとはしばらく平坦です。
まぁチェックポイント2つが坂の上にあるんですけどね! 距離は約4kmですが、獲得標高は350mほど。最後の最後でこの上りは鬼。下手な峠より傾斜がきついです。
恋人の聖地からさらに上ったところにもうひとつチェックポイントがあるので、ゆるくないどころの騒ぎではありません。でも、体力を振り絞って上り切る価値は十分。
笛吹川フルーツ公園の先に待つほったらかし温泉は、キャンプ場併設の日帰り温泉。
展望の良い露天風呂あり、温玉あげというお手軽グルメあり、そして横になれる場所まで。このコースを走ったあと、その誘惑に抗える人はいないでしょう。時間の許す限り、ゆるゆるしちゃいましょう。あとはラストチェックポイントでもある山梨市駅から帰るだけです。
ゴールは山梨市駅。日帰りも可能
最後のチェックポイント・山梨市駅は、ほったらかし温泉から下ってすぐのところにあります。東京方面にお住いの方は、22時頃まで電車があるので日帰りも可能ですよ。
まとめ:本当にゆるくない。でもそれがいい
書いている人は、以下の順でチェックポイントを巡りました(今回は紹介仕切れずカットしたスポットもありますので、オフィシャルサイトも確認してください)。この順で巡る最大のメリットは、最後にほったらかし温泉に入れること。アクセス的には順番を逆にして山梨市駅スタートするほうが有利です。
- 内船駅
- みのぶゆばの里
- 身延観光協会
- 身延山ロープウェー
- 栄昇堂
- セルバみのぶ店
- 四尾連湖
- 浩庵キャンプ場
- 恋人の聖地
- ほったらかし温泉
- 山梨市駅
もしリンやなでしこが泊まった場所で自転車キャンプしたいなら、富士急行線・河口湖駅をスタートして、浩庵キャンプ場まで行くのがおすすめです。リンのようにキャンプ道具満載で本栖みちや四尾連湖を上るのはかなりマゾいはずなので。
また、5~6月の身延ではホタルを見ることができるので、身延に宿をとって見に行ってもいいでしょう。
まとめると、なでしこやリンたちの楽しげなゆるキャン△ライフを垣間見れる、とても楽しいコースです。散々見てきたように上りが多くライドとしての満足度も高いため、気持ちのいい疲れを味わえるでしょう。難易度は高めですが、『ゆるキャン△』を楽しく観ていたなら、ぜひ足を運んでみてください
(やざわすみひこ)