自転車旅が大好きなモデル兼トラベルライターの山下晃和(やましたあきかず)さんが、キャンプをしながらの自転車旅(バイク&キャンプといいます)の楽しみ方を伝える連載企画です。

ポイントは2泊3日。

この泊数を無理なく旅することができるようになれば、国内でも海外でも、長期間の旅でも問題なく楽しめるようになるという。とはいうものの、「どんな自転車が必要?」「必要なギアは?」「外で寝るの怖い(笑)」などなど、越えなきゃいけないハードルはいくつかあります。それらを初心者でもひとつずつクリアしていけるように、山下さんにはその旅のレシピを教えてもらう予定です。それではよろしくお願いします!

キャンプ用自転車は”タフ”であることが一番


普段から自転車に乗っている人であれば、どういった素材の自転車フレームがあるかは、おそらくご存じだとは思います。

大まかに分類すると、鉄、アルミ、カーボンの3種類、他にチタンという素材もありますが、これらにくらべて値段が少し高く数が少ないため、今回は前記の3つの素材に絞って書かせていただきます。

自転車で、キャンプ道具を積んで海外や国内を長い距離走る場合、また日本一周のように何年間も、何日間も漕ぎ続けるためには、スピードが出せることよりも、まずは自転車自体がタフであることを優先しなくてはなりません。

キャンプツーリングとなると家財道具一式を運ばなくてはなりません。基本的には、衣・食・住を自転車に収めます。これはフロリダ半島をすべてキャンプして旅したときのツーリング車の勇姿。

▲キャンプツーリングとなると家財道具一式を運ばなくてはなりません。基本的には、衣・食・住を自転車に収めます。これはフロリダ半島をすべてキャンプして旅したときのツーリング車の勇姿。



そうなると素材は鉄、正確にいうとクロムモリブデン鋼(以下クロモリ)が1番オススメです。クロモリとは鉄にクロムとモリブデンなどを混ぜたものです。英語でもChromolyと書くので、「クロモリィ」と言えば通じます。最後、少し伸ばすと通じやすいです。

海外を自転車で旅していると、旅サイクリスト間で、「これは何の素材だ?」といった質問をしたり、されたりしますが、「やはりクロモリィだよね。」と皆が口を揃えてその素材の良さをたたえます。なかにはアルミ素材の自転車に乗った猛者サイクリストも居ましたが、私は途上国を含む数カ月以上走る長い旅で、カーボン素材に乗った旅サイクリストの方には、今のところ出会ったことがありません

リカバリー可能なクロモリ素材


さて、クロモリィから日本語のクロモリに戻します。
なぜクロモリ素材のフレームかと言いますと、アジアや中南米などで旅をしていてフレームやキャリア(鉄製の場合)に亀裂が入った際も、そこに人が住むような大きな村があれば、車の修理工場などで溶接をしてもらえるからです。私の自転車は、実際にフレームまで破損したことはありませんが、海外遠征ツーリングを主とするJACC(日本アドベンチャーサイクリストクラブ)という団体の他のメンバーから、海外で溶接してもらったことがあるという話を聞きました。

もちろん一度溶接してしまいますと、継ぎ目が出てしまうので、そこからまたトラブルになる可能性もありますが、その場しのぎはできます。
たとえば、ヨーロッパ西部のような自転車大国であれば、新しい自転車を買う自転車屋さんがある街まで走り切れば、そのまま旅が継続できます。

メキシコのオアハカで出会ったアメリカ人サイクリストは、クロモリのツーリングバイクにカゴを付けアメリカ大陸最南端を目指していました。サドルはBROOKSの革サドル。

▲メキシコのオアハカで出会ったアメリカ人サイクリストは、クロモリのツーリングバイクにカゴを付けアメリカ大陸最南端を目指していました。サドルはBROOKSの革サドル。


キャンプ道具、衣類、PC類、カメラなど家財道具一式の荷物満載で長い期間の旅をしていると、最初に影響が出てくるところはおそらくキャリアです。積載の仕方にもよりますが、パニアバッグやサイドバッグなどで4つ、5つのバッグに分散して積んでいくと、外側に力(重さ)がかかってくるためです。荷物のバランスが崩れ、破断してくると、それをネジとダボ(ネジを差し込む穴)で留めているフレーム本体にも金属疲労が出てきます。そこからフレームが壊れてしまうこともありえます。また、不意の自動車との事故、建造物への接触事故、落車などの外的要因でもフレームにダメージを負ってしまいます。

アルミやカーボンは簡単には直せない


もし、アルミ素材のフレームが破損し、溶接するところを探すとなると、特殊な技術を要するので、直せる場所が限られてしまいます。(今の技術では直せる場所もいくぶん増えてきましたが、私が旅をしていた時期はまだそういった場所が圧倒的に少なかったように思います。)
また、カーボン素材の場合は炭素繊維という繊維の集合でできているため、一度クラック(亀裂)が入ってしまうと、そこから一気に強度が落ちてしまうため、ふたたび破断してしまう危険性をはらんでいます。そこで身体のケガを負ってしまったり、自転車を動かせない状況になったり、人も通らない様な山奥だったりすれば、リカバリーが困難になってしまうでしょう。
旅をいったん停止して、別の手段で移動せざるをえません。あっという間に自転車旅が終了になってしまいます。

ベトナムのタンホアという町でサイドバッグのネジが壊れて困っていたところ、近くにあったバイク修理屋さんに行くと、丁寧に直してくれました。彼の腕はたしかです。

▲ベトナムのタンホアという町でサイドバッグのネジが壊れて困っていたところ、近くにあったバイク修理屋さんに行くと、丁寧に直してくれました。彼の腕はたしかです。


クロモリ素材の良さはそれだけではありません。
自転車という乗り物の乗り心地は、タイヤがもっとも重要な鍵を握っているということは、またお話ししますが、フレームがほどよくたわむことによって衝撃を吸収してくれます。いわばサスペンションのような役割を果たしてくれるのです。よって、長い時間漕ぎ続けていても、身体が疲れにくいのです。

フレーム素材の話、もう少し続けますね。来週を楽しみに!

●バックナンバー「バイク&キャンプのレシピ」
第1回 まずは旅に出てみよう!
第2回 テント、寝袋、マット。まずは三種の寝具をそろえるべし!
第3回 自転車旅に最適なテントとは?
第4回 ちゃんと眠れる自転車旅向けの寝袋とは?

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