すべては荷物次第。いろんなバイクで旅する方法~2泊3日「バイク&キャンプ」のレシピ#08
自転車旅が大好きなモデル兼トラベルライターの山下晃和(やましたあきかず)さんが、キャンプをしながらの自転車旅(バイク&キャンプといいます)の楽しみ方を伝える連載企画です。
ポイントは2泊3日。
この泊数を無理なく旅することができるようになれば、国内でも海外でも、長期間の旅でも問題なく楽しめるようになるという。とはいうものの、「どんな自転車が必要?」「必要なギアは?」「外で寝るの怖い(笑)」などなど、越えなきゃいけないハードルはいくつかあります。それらを初心者でもひとつずつクリアしていけるように、山下さんにはその旅のレシピを教えてもらう予定です。それではよろしくお願いします!
旅に強いツーリングバイク
一番キャンプツーリングに向いている自転車は、間違いなくツーリングバイクです。クロモリのフレームに、前後にキャリアが付けられ、泥除けが付いていて、サイドバッグ、パニアバッグが付けられるものです。SURLYの「ロングホールトラッカー」は代表するツーリングモデルです。
実際に海外でも多くの人がこのロングホールトラッカーに乗って旅をしていました。スポークが折れたときのリカバリーのため、予備のスポークが自転車のチェーンステーに付属していたり、トリプルバテッドという強度を増したクロモリフレームだったり、たくさんのダボ穴が開いてて、前後にいろいろなキャリアが付けられたり。そのすべての機能がキャンプツーリングに特化した仕様になっています。
旅の途中に何度もこの自転車に助けられた、この自転車で良かった、と感じたことがあります。それくらいの名車ですね。
名前がすでに「Traveler」という自転車。私の旅の経験を投入したものですが、クラシカルなランドナーの形状をモチーフにしています。乗り心地を重視したため、チェーンステーの長さもロングホールトラッカーよりも5㎜長くして、“しなる”構造に。体へのダメージを軽減すると同時に、直進安定性も向上させています。
フレームの強度が必要
ツーリングバイクの次に向いているのは、MTBやシクロクロスバイクなどのオールラウンドで走れる自転車でしょう。キャリアが付けられなくても、ここ最近は、大型のサドルバッグ、フロントバッグ、フレームバッグが出ているので、それらに積載すればキャンプ道具も簡単に運ぶことができます。フレームの強度が高いからです。
またMTBは走破性が高く、悪路でも舗装路でも難なく走ることができます。またタイヤが太くエアボリュームが多いので、リム打ちパンクをすることも防止するできます。
荷物の工夫次第でいろいろなバイクで旅ができる
カゴ付きバイクでも旅ができないこともありません。もちろんキャリア付に比べて積載量は限られてしまいますが、その分、荷物を軽量化するという考えが生まれていきます。その考え方をもって旅をすれば、次第に経験値が上がって、楽に効率的に旅できるようになるでしょう。そういう引き算的な楽しさもキャンプツーリングにはあります。
3種の寝具をウルトラライト(軽量コンパクトな装備)にしなくてはなりませんが、カゴ付きでも距離がそれほどでなければキャンプツーリングも簡単にできます。あまりキャンプ感はしないかもしれませんが、はじめのステップとしてぶらりとたびに出ることもできるでしょう。
まずは“旅することありき”で考えてみよう!
その次にクロスバイク。キャリア付、もしくはカゴ付きだと楽だと思います。それがない場合、バックパックやウエストバッグに積載することになるでしょう。短い距離であれば、バッグ類を身体に背負うやり方もありですが、あまりにも長い距離になる場合は、お尻1点にすべての荷物の負荷がかかってしまうので、自転車にくくりつける方法を考えましょう。
そして、普通のシティサイクル、いわゆるママチャリでもキャンプツーリングに行くことはできます。カゴが付いているものが多いと思うので、積載もそれほど難しくありません。ただ、車体が重くて、スピードも出せず、ポジションも上体が起きているので長い距離ですと辛いと思います。
そういった自転車の持つ特色を理解してキャンプツーリングをすることで、ギア選びやルート選びを含め、バイク&キャンプの楽しさは何倍にもなるでしょう。
次回は私の自転車を例に、バックの取り付け方や荷物のパッキング方法を紹介します。
●バックナンバー「バイク&キャンプのレシピ」
第1回 まずは旅に出てみよう!
第2回 テント、寝袋、マット。まずは三種の寝具をそろえるべし!
第3回 自転車旅に最適なテントとは?
第4回 ちゃんと眠れる自転車旅向けの寝袋とは?
第5回 キャンプツーリングに向いている自転車とは?
第6回 ロードバイクでキャンプは難しい?
第7回 自転車旅に最適なタイヤとは?