タイヤ・ホイールはストライダー カスタムの中でも、より速く、安全に走るための重要なパーツです。ストライダー カスタムの魅力にハマり、複数の大会に親子で参加した経験を持つ筆者が、タイヤとホイールについてのカスタムを、理解しやすいように掘り下げて、ご紹介します。ぜひ参考にして下さい。
ストライダーはもちろん、ランバイクのカスタム全般に通用する内容となっています。そのため、一部にストライダー以外のランバイクの画像を使用している部分があります。
タイヤ・ホイールのカスタムの位置づけ
タイヤ周りのカスタムをしたいけど、どれを使っても一緒かな?と思っていませんか。
一見どれも同じように見えても、違いはすごくあるんです!
より速く!走りを変えるタイヤ
タイヤは路面と直接触れる唯一の接点となるため、想像しているよりもタイヤ周りのカスタムは、ライダーの走りを変える大きな要素になります。
いくら強く蹴っても、タイヤ選びが適切でなければ、バイクを速く進ませることはできません。よちよち歩きの速度なら大きな影響はありませんが、スピードが上がるに連れてタイヤのカスタムは、より速く走るための重要なポイントになってきます。
安全を支えるホイール
ホイールについては、壊れては絶対いけない部品なので、カッコいいデザインを一番の理由に選ぶのではなく、安全性を考えて選ぶことが最も大切です。軽量化を求めるパーツではありますが、きちんとした剛性がないと走行中にホイールがねじれて、前に進む力が逃げてしまいます。また、軽量化を求めすぎると、破損したり思わぬ事故に繋がることがあるため注意が必要です。
タイヤ、ホイールのカスタムの効果
- 今までよりもコーナーを高速で曲がれる
タイヤを変える、一番の目的ではないでしょうか?
純正のEVAタイヤは、スピードを出して曲がると転倒に繋がることがあります。EVAタイヤで転ぶことが増えてきたら、安全性の面からもタイヤ交換をおすすめします。 - ストライダーに乗ることが楽しくなる
純正のEVAタイヤは軽いものの、乗り心地は固め。ゴムタイヤに交換するだけで乗り心地が良くなるので、お子さんが楽しく乗ってくれるようになります。 - レースで上位を走れるようになる
どのタイヤ・ホイールを使うかが、勝敗を決めることもあります。
楽しく安全に乗るためにも、タイヤを変えることは重要です!
どんなタイヤ、ホイールがいいの?
タイヤ選び 3つのポイント
まず最初に、タイヤについての説明をしていきたいと思います。
タイヤ選びの重要なポイントは、大きく分けて3つです。
- タイヤの重さ
- タイヤのグリップ
- 走行抵抗
ストライダーの純正タイヤは、EVAタイヤと言って、樹脂で作られている硬いタイヤです。EVAとは、Ethylene Vinyl Acetate(エチレン ビニール アセタート)の略称です。
様々なメーカーから発売されている、幼児用のランニングバイクは、このプラスティック(合成樹脂)のタイヤが主流となっています。EVA樹脂は低温でも硬くなりにくく、柔軟性があり、紫外線にも強く、劣化しにくい特性を持つ素材。サンダルの底に使われている材質と言えば、イメージできますね。
樹脂タイヤには空気が入っていないため、パンクもしません。この樹脂タイヤとホイールが一体になったものが、ストライダーを購入した時に装着されています。
タイヤの重さ
EVAタイヤが、純正品として選ばれている一番の理由は、非常に軽いからです。
そもそも力がない幼児が扱う道具なので、車両の重量が重たくないことが、大切になります。軽ければ、向きを変えたり、持ち上げたり、そして走り出したバイクを自由に止めることも、簡単にできるからです。
ストライダーのカスタムにおいて最も大切なテーマは、軽さと言えます!
※軽さだけではないので、注意が必要です。
タイヤについても例外ではなく、大切なのは軽いものを選ぶことです。最近では、技術の進歩により、軽いタイヤが次々に発売されています。グリップがいくら良くても、重いタイヤはレースで使い物になりません。軽いタイヤは加速が良く、スタートなどで加速する時に、大きな武器となるからです。
タイヤのグリップ
純正のEVAタイヤは、グリップ(摩擦力)が悪く、クッション性もありません。
3歳くらいになると、走行スピードが上がり、このEVAタイヤではコーナリング時に、グリップが足りないことにより転倒してしまいます。そして、路面の凹凸がダイレクトに乗り手に伝わってしまうので、ゴツゴツした感じになり快適性も良くありません。
では、どうするか?
ゴムチューブに空気を入れて、自転車と同じチューブ式のゴムタイヤに、カスタムしましょう。タイヤが路面を掴んでくれるので、高速で曲がることが可能になり、スポーツ性がグンと高まります。乗っていてビューンっと曲がることが出来るようになると、お子さん自身も嬉しくなると思います。もちろんレース出場を目的にしているなら、ゴムタイヤは必須となります。
走行抵抗
タイヤは、常に直接路面に触れているので、走行時に大きな抵抗が生じています。
ゴムタイヤにすると、じつはデメリットになることが少なからずあります。それはタイヤのグリップが高くなることで、転がり抵抗(走行抵抗)も高くなってしまうこと。つまり、直線のスピードが遅くなってしまうのです。
グリップが高くなれば、速く走れるようになるという考え方は、厳密に言えば間違っています!
コーナーリングスピードが上がることで、コーナーで減速しなくてよくなり、結果として次の直線が速く走れるようになるということが、正解でしょう!!
まだスピードが上がらない「よちよちライダー」は、EVAタイヤで十分です。ゴムタイヤにすると、タイヤだけでなくチューブや専用のホイールも必要なので、バイクが重たくなり、遅くなってしまうこともあります。4歳クラスなんかでも、タイヤのグリップがあまり必要ではない芝生のレースで、あえてEVAタイヤで勝負する!っていう方もいるくらいですから。
ゴムタイヤは、走行時にゴムが変形することでエネルギーを失っています。接地しているタイヤの面が、路面の凹凸により常にたわみ変形(変形・回復)をしてしまうからです。それによって、タイヤと路面に摩擦力が発生して、蹴った力が熱に変わってしまう。熱損失と言いますが、運動エネルギーを無駄に捨てているわけです。
この転がり抵抗を、いかにして減らすことができるか?ここからが、タイヤの転がり抵抗を減らす重要なポイントになります!
①細いタイヤにする
太いタイヤはグリップが高い分、転がり抵抗も大きくなります。
12インチのストライダーのタイヤ幅の主流は、1.75と2.0ですが、ここは、抵抗が少ない1.75をおすすめします。
太いタイヤは、抵抗の塊と言っても過言ではないと思います。レース用のタイヤには不向きだと、断言します!細いタイヤの方が、もちろん軽いですからね。
②空気圧が高いタイヤを選ぶ
理由は、タイヤの変形が小さくなって転がり抵抗が減るからです。クルマでも、燃費が良くなるって言いますよね。それは、抵抗が少なくなるからなんです。もちろん規定値以上に、空気圧を高めるとバースト(破裂)してしまいますので、注意して下さい。
③トレッド(路面と接する部分のゴム)が薄いタイヤにする
これも走行時に変形する体積が小さくなって、転がり抵抗を減らすことができます。ゴムが厚いと、変形しやすいですからね。トレッドが薄いと軽量化にも繋がります。
これらのタイヤには、デメリットもあります。まず空気圧を上げるとタイヤの衝撃吸収性が悪くなり、乗り心地が悪くなること。さらに、トレッドのゴムを薄くすれば、溝の深さを浅くせざるを得ない。その結果、摩耗寿命に影響が出てしまいます。タイヤの持ちが、悪くなるということです。これらは、レーシングタイヤの特徴とも言えますね。
ホイール選びのポイントは2つ
次にお話するのは、ホイールについてです。
カスタムホイールで求められるポイントは、この2点でしょう!
- 剛性
- 軽さ
先ほどタイヤについてお話しましたが、速く走るためにはタイヤの空気圧を上げるのが、ポイントになります。
最新のレース用タイヤ CST(C-TR1N Team limited)の空気圧は、3.4 – 6.8barです*。この6.8barは、これまでのタイヤと比べて、かなり高い空気圧です。この高い空気圧に耐えられる設計をしているかが、ホイール選びの最大のポイントになります。
*参考:以前の一般的なストライダー用のタイヤの空気圧は、2.4 – 4.1barでした。
ホイールの構造ですが、車輪の回転軸の中心にあるのが、ハブです。そのハブから放射状に伸びているのが、スポークと呼ばれる金属の棒です。そして、そのスポークと繋がっている外周の輪をリムと呼んでいます。この3つは、ホイールを語る上でとっても大事なので、覚えておいて下さいね。
剛性
- ハブは頑丈な物を
ハブの中には、ボールベアリングが入っています。設計が良くないハブは、ホイールを固定する際に左右からナットを締めると、このベアリングが回りにくくなってしまいます。また、ハブの剛性が足りないと、コーナーリング時に変形して、ベアリングに余計な力が加わり、回りにくくなることがあります。ハブは、頑丈な物が良いでしょう。 - スポークの数に注意
意見が分かれることもありますが、ホイールの中には軽量化のために数を減らして、リムを支えている製品があります。スポーク数が少ないと、ハブを支える剛性が不足します。走っているうちに、徐々にリムの振れが出てきて、バランスも悪くなります。剛性は安全性にも繋がるので、スポークの数に注意してホイール選びをするようにして下さい。左右合わせて16本以上あれば、衝突してもびくともしません。 - リムの厚みも大事
タイヤの空気を入れた時に変形するリムでは、安全性に問題があります。厚みが足りていないと高い空気圧を入れた時に、リムが壊れてしまうことも。高価なホイール、売れているホイールでさえもこの空気圧の問題を、解決できていないものがあります。安全を考えた設計をしているか、しっかり確認して下さい。7bar以上保証している物が良いですね。(今現在タイヤの最高圧は6.8barです。)
軽さ
ホイールは、軽さがモノを言います。但し、軽ければ良いというわけではありません。闇雲に軽いホイールは、危険です。
軽量化は総重量でななく、回転半径が大きい部分を軽量化した方が、もっとも効果があります。つまり、ホイールの一番外側部分であるリムを軽くすると、加速時の回転上昇時が、とてもスムーズになるのです。ハブは強度のある材質を使って軽量化し、リムはカーボンが一番。しかし値段は、ビックリするほど高価です。アルミリムでも十分軽いので、問題はありません。いいホイールは、アルミリムでもあります。
おすすめのタイヤ
CST C-TR1N Team-limited(12×1.75)
高い空気圧が入れられて、グリップが良く、とても軽いという、三拍子すべてが揃ってる最もお勧めのタイヤが、CSTのランバイクレース用高性能タイヤ、Team-limitedです。大きな大会でも、装着率NO.1の大人気!業界最高の空気圧6.8barを、入れることができます!重さも約160gの超軽量で、言うことなしです。
SCHWALBE BIG APPLE(12×2.00)
レースでの使用が目的ではなく、楽しさが一番という方におすすめしたいのが、タイヤの王道とも言える、ビックアップル。ものすごくいいタイヤです。幅が2.0もあり、かなり重たい285gですが、乗り心地は最高。雨の日も、グリップが良いタイヤパターンをしていることも魅力的ですね。
SCHWALBE HS140(12×1.75)
シュワルベのHSは、少し前に大人気だったタイヤです。国内のショップで、どこを探しても手に入りませんでした。人気の理由は軽さ。ビックアップルに比べてグリップは劣りますが、重さが255gと軽く、とにかく扱いやすいんです。但し、空気圧がかなり低めなので、高圧に入れてしまうとバースト(破裂)するので注意が必要です。
おすすめのホイール
日本で設計し、唯一日本で製造しているメーカーが大阪にあります。大人用のロードレースで培われた、高い精度と安全性を武器にランバイク業界に旋風を巻き起こしているZERO BIKE FACTORYというメーカーです。
コスト度外視で、安くていいモノを提供していることで定評のある「ZERO BIKE FACTORY」のカーボンリムとアルミリムを紹介します。
【ZERO BIKE FACTORY】ATLAS(アトラス) アルミリム
ハブ:剛性の高い削り出し。日本が世界に誇るベアリングメーカー「TANGESEIKI」の高精度シールドベアリングによる高回転と、A7075超々ジュラルミンを使用することで軽量化と高強度を両立しています。
スポーク:本数も20本となっており、過度に軽量化することよりも、剛性と耐久性の維持を最優先しています。
リム:サイドウォールの厚みを維持したことで、高いエアーを張っても破損することはありません。アルミですが一個あたりの重さは285gと、十分軽いリムです。
【ZERO BIKE FACTORY】THRUST(スラスト) カーボンリム
アルミリムのATLASの剛性を維持したままで、リムにカーボンを採用したホイールです。一個あたりの重さは、250gと非常に軽いので、加速時の回転がスムーズに上昇してくれます。また、最大9.0barまでエアーを張っても、破損しない驚異の強度も魅力です。
LINK:ZERO BIKE FACTORY
その他にも様々なホイールが発売されているので、ご参考にして下さい。
- CHAVEZ:日本初のランバイクのカスタムパーツブランド。
- DADDYLAB:レース以外が目的なら、コストパフォーマンスが優れているブランドです。
- サイクルパーク トミー
- 自転車屋ビッちゃん
- Bicycle shop fri:k(バイスクルショプ フリーク)
- 88PON
交換時の注意点
タイヤやホイールを購入したけど、場合によっては取り付けできない事例もあります。また、出場するレースによっては、タイヤのカスタムを禁止しているレースがあるため注意が必要です。
- タイヤとホイールの相性に注意
タイヤはホイールとの相性があり、ホイールによっては付かないタイヤがあります。購入する際に、販売店に確認する必要があります。 - 取り付け具が必要
ホイールをフレームに取付ける際に、スキュアーという取り付け具が必要です。後輪用のスキュアーは、くるぶしヒット対策されている涙目タイプがおすすめ。脚を蹴った時に、この部分が飛び出ていると、くるぶしに当たって痛くなってしまいます。 - 空気圧管理が肝心
空気圧は、圧力計付きの空気入れを使って管理して下さい。また、夏場に車の中にストライダーを入れておくと、温度上昇により空気圧が高まりパンクすることもあります。そのため使ったら空気を抜いて、毎回使用前に空気を入れる方もいるほどです。 - 使用するチューブにも注意が必要
タイヤを購入時に、チューブは付属してきません。そして、空気を入れるバルブ部分の種類が3種類(英式、米式、仏式)あり、使うホイールによって、どのバルブを使うかの確認が必要になります。45度傾いているタイプは、空気を入れる時に入れやすいですよ。 - ストライダー エンジョイカップ
このレースはタイヤのカスタムが禁止されており、EVAタイヤを装着しているストライダーのみ、出場が許されています。余談ですが、ハンドル周りやハブシャフト、ベアリングの交換は許されています。
まとめ
タイヤとホイールを交換すると、断然カスタム度がアップして、お子さんのバイクがものすごくカッコ良くなります。親の方が、カスタムの魅力に取り憑かれる方も多いようです。もちろん、大幅に走行性能もアップするので、今までと違った走りが出来るようになります。親子で一緒に、ストライダーライフを楽しんで下さいね!
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