ストライダー カスタムの豊富な経験を持つ筆者が、カスタムの効果やおすすめパーツをご紹介する連載企画の第二弾。今回のテーマは、ステム、ハンドル、グリップのカスタムです。
ハンドル周りのカスタムは、ストライダーの直進安定性、そしてより速く走るために必要な姿勢を作り出すうえで、とても大きな影響を与えます。前傾姿勢をして速く走らせたい方や、もっとストライダーをカッコよくさせたい方にもオススメなカスタムを、深く掘り下げてご紹介したいと思います。ぜひ参考にしてください。
▼タイヤ・ホイール編はこちらをチェック!
タイヤ・ホイールはストライダー カスタムの中でも、より速く、安全に走るための重要なパーツです。ストライダー カスタムの魅力にハ... ストライダー カスタム【タイヤ・ホイール編】~より速く・安全に~ - FRAME : フレイム |
目次
ステム・ハンドル・グリップのカスタムの位置づけ
ハンドル周りのカスタム 3つのポイント
- ライダーの身体の大きさや、出せる速度にあったモノを選ぶ
- 速く走ることを重視するなら、可能な限り軽量化して操縦性を良くする
- ストライダーをカッコよくする目的のカスタムなら、軽さよりも見た目を優先する
ストライダーのカスタムは、ほとんどの人が「カッコよくしたい!」と思うはずです。この場合は自分の好みにしていけば良いので、迷うことなく部品を交換していくことができます。色合いをどんな感じにするかって考えただけでも、ワクワクしますよね!
しかし「乗りやすくしたい」「子供を速くさせたい」というテーマのカスタムは、分かりにくく、正確な答えが見つからない部分でもあります。ライダーの体格や好み、乗り方は千差万別で、高速安定性を求めれば、旋回性が悪くなったりもします。
そして何より「正しい情報をつかむ」ことは、とても重要な要素になります。知識をつけることにより、何が正しいかを判断して、信頼できる情報を得るようにしてください。
ステム・ハンドル・グリップをカスタムする効果は?
ストライダーは、ハンドル周りが重いと、曲がりにくくなってしまいます。自転車でもクルマでも同じことが言えますが、前を軽くしてあげると、旋回性が良くなります。簡単に言えば「曲がりやすくなる」ということですね。
もっとも大切なこと
軽さだけはダメ
まず最初にお伝えしたいことは「軽さがすべてではない」ということです。
※タイヤ・ホイール編でも、同じことを述べましたね。
軽さばかりに注目してしまうと、剛性や強度がないモノを選んでしまうことに繋がります。それでは、蹴ったエネルギーが逃げてしまい、推進力を失ってしまいます。万が一、剛性不足により壊れてしまう場合もあるので注意が必要です!
上記の注意事項を踏まえた上で、ハンドル周りのカスタムは「少しでも軽くすることがテーマ」になります。
どっちなんだ!と言われそうですが、つまり大事なのは軽さと剛性を両立させること。「剛性を確保した上で、軽量化されたモノを選ぶ」ようにしてください。
また次の機会に、材料についての詳しい話をしたいと思いますが、ここではシンプルに話を進めます。
素材の特性を理解する
ストライダーパーツに使われる素材はアルミや鉄、カーボンなどがあり、重い順に並べると「鉄→アルミ→カーボン」となります。
これだけを見ると「軽量化のためにはすべてカーボンにした方が良い」ということになります。断然、カッコよくもなりますしね。そして、親のテンションは、一気に最高潮へと到達するでしょう!
しかし、カーボンは「製造にとても手間が掛かるため、非常に高価」です。さらに、これも大事なポイントですが、カーボンは硬いけれど、脆いという性質があります。強い衝撃を加えると、クラックが入って割れてしまう可能性があるのです。そう簡単には割れませんが、カーボンは「剛性はあるけれど、強度がない」ということを、知っておいて下さい。もっとも大切なことです!
それでは、軽量化を念頭に置いた上で、以下のパーツの説明をしていきます。
ステムをカスタムする
ストライダーを速く走らせるためには、身長や速度域によって、ステムの長さやハンドル高さを随時調整する必要があります。
※ステムとは、ハンドルとフロントフォークから伸びたコラムを繋ぐ部品です。
ステムの特徴としては、以下の3つが挙げられます。
- ステムを長くすると、直線の走りが安定する
- ステムが短いと、クイックなハンドリングができる
- 軽いステムを選ぶことで、操縦性が良くなる
ストライダーは、ランニングバイク(キックバイク)と表現されるように、必要な動作は「走る」ときと同じ。走っているかのような感じで「上体を前に倒して蹴る」ことが、速く走るためのポイントとなります。
上体が起きていると蹴る力が下向きになってしまい、前に進もうとするエネルギーを、効率良く地面に伝えることができません。蹴る方向が「斜め後ろ向きになると、速く走れる」ようになります!
子供の成長に応じてステムを長く
純正のハンドルは、フロントフォークから真っ直ぐ上に固定されており、「小さな力でもハンドル操作がしやすい」ようになっています。速度があまり出ていない場合には、この方が楽に向きを変えることができるからです。
2歳に成り立てくらいは、ステムを使って「ハンドルを前に出すようなカスタムは、しない方がいい」と思います。まだ上体を支える力が弱く、ハンドルが遠いと曲がりにくくなるので、かえって乗りにくいバイクになってしまうからです。
ステムは、一般的に長くするほど曲がりにくくなります。逆に短すぎると、ハンドルを少し切っただけで、切れ角が強くなってしまうので、お子さんがスピードを出せるようになったら、ステムを少しずつ長くしてあげて下さい。
そして、速く走るために重要なポイントとなる「前傾姿勢」を作るためにも、成長とともにステムを長くしていく必要があります。しかし、ステムを長くしすぎると、ヘアピンカーブなどの低速コーナーを曲がる際に、旋回性が悪くなってしまいます。やはりバランスが大事です。
最近は「ステムを短めにして、ハンドルにチカラを載せて走るスタイル」が主流です。しかし、ステムが短すぎると、ハンドルステアが敏感になってしまいます。やはり「適度にステムの長さがあった方が、直進の安定性が向上」して、最高速度が上がります。グラグラして走るより、スムーズに走っている方が速いですからね。
参考までにステムの長さを、年齢別にまとめてみました。
年齢 | ステムの長さ |
1歳半 | 純正のまま |
2歳 | 15~30mm |
3歳 | 30~40mm |
4歳 | 40~50mm |
5歳 | 50~60mm |
6歳 | 60mm~ |
上記よりも、もっとステムを長くして、走りが良くなったお子さんもいます。体の大きさと速度に、比例していく感じですね。
※個人差があるので、あくまで目安です。
ハンドル荷重とステップ荷重
余談ですが、ストライダーは蹴って走る時に、ハンドルに荷重がかかっています。しかし、ストキッズは、コーナーリング時にフットステップに足を載せて(ステップ荷重)、ハンドルから力を抜いて曲がっていきます。
「この技術は、非常に大切です!」
3歳くらいまでは、なかなかステップに足を載せることは難しいと思いますが、少しずつチャレンジしてみてください。
足を載せない場合を、ハンドル荷重と言いますが、これではハンドルに力が入りすぎて「高速時に、スムーズに曲がることはできません。」ステップ荷重を、できるだけ覚えていきましょう。スピードが出せるようになった時に、ハンドル荷重で曲がるほど、怖いものはありません。
ハンドルバーをカスタムする
ハンドルをカスタムするポイントは、以下の2点です。
- 軽量化を行う
- ハンドル幅を適切な長さにして、乗りやすくする
軽量化する大切さは、もうすでにみなさん理解されていると思います。しかし「ハンドル幅をカスタムするメリットを、意外とおろそかにしている」ケースがよく見られます。
ハンドル幅は、お子さんの肩幅よりやや広めくらいが、適度な長さです。ハンドル幅が、極端に長い場合をイメージしてください。これでは体を支えることが、とてもキツイはずです。前傾姿勢も、やりづらいですよね。
練習風景などを見ると、グリップエンドまでハンドルを握ってないお子さんが多くいます。拳1個分くらい短い方が、乗りやすいなんてこともあります。お子さんが自然に握っている幅は、じつは「自然に乗りやすいポジション」だったりもするんです。
そして、ステップ荷重にしてバイクを倒して曲がっていくには、上体を起こす必要があります。ハンドル幅は、長めよりも短めの方が上体を起こしやすいですし、前傾姿勢をするにも、短めの方がしやすいと言えます。
「肩幅よりやや広め」が基本姿勢
スポーツ理論で、よく出てくる『パワーポジション』という、キーワードがあります。これは、脚の立ち位置や構えに関する研究ですが、肩幅よりもやや広めくらいの姿勢を取ると、「もっとも動きやすく、安定し、次の動作に行きやすい」ということが分かっています。これはどんなスポーツでも、効果が高い基本姿勢なので、よく覚えておいてください!通勤時の電車の中でも、安定しますよ。
話は脱線しましたが、ストライダーに乗る時のハンドル幅は、とても大事です。ストライダーカップのレギュレーションでは、ハンドルバーの長さは、340〜460mmとなっています。ぜひ、お子さんに合ったサイズに切断して「乗りやすいストライダー」にしてあげてください。
参考までに、以下が年齢とハンドル幅の目安となります。
年齢 | ハンドル幅 |
2歳 | 340~350mm |
3歳 | 350~360mm |
4歳 | 360~370mm |
5歳 | 370mm~ |
ちなみに、純正ハンドルは、380mmです。
※こちらも個人差があるので、あくまで目安になります。
グリップをカスタムする
グリップを変える目的は、ズバリ言って「ハンドルを滑らなくする」ことです。そして、ドレスアップパーツの一つともいえますね。
様々な色や形がありますので、ここで個性豊かに目立つこともできます。カッコいいストライダーは、お子さんのテンションも、あがります!これは、間違いないですね。
グリップの種類を大きく分けると、次の3つになります。
- ぐるぐる巻き付けるバーテープタイプ
- あらかじめ出来ているグリップを、ハンドルバーに押し込むタイプ
- ドライヤーで熱収縮させるタイプ
どれが良いのかは、好みによるところが大きいと思います。
- バーテープは、カラフルで滑り止めとしては、柔らかな印象があります。野球のバットやテニスラケットを、イメージしていただけたら、わかりやすいかと思います。
- 押し込むタイプは、ラバーグリップに突起物がポツポツ出ていて、こちらの方が、もしかしたら滑りにくいかもしれませんね。
- 熱収縮させて密着させるタイプは、短時間で装着ができるメリットもあり、人気の商品といえます。
おすすめのステム
KCNC(ケーシーエヌシー) FLY RIDE(フライ ライド)25.4mm
このステムは、削り出しの軽量タイプ。強度を確保しながら、軽量化を図っていることが特徴です。なんと言っても、その形が美しすぎます。長さは、50~130mmまで選べます。大人のロードレーサーにも、人気があるようですね。
- 材質:6061アルミニウム合金
- ライズ:5°
- ハンドルクランプ径:25.4mm
- コラム径:28.6mm
- スタックハイト:38mm
※取り付けには、コラムアダプターが必要です。
KCNC ステム FLY RIDEをZERO BIKE FACTORYで見る
SLiC STEM スリック ステム(27.5mm、40mm)
こちらもアルミ合金(ジュラルミン)の削り出しで、突き出し量が27.5mmと40mmの2種類あります。突き出しが短いので、小さいお子様に最適です。
- 材質:アルミ合金 (ジュラルミン A2017)
- 重量:27.5mm:116g 40mm:139g
- ハンドルクランプ径:25.4mm
- コラム径:28.6mm
- スタックハイト:40mm
※取り付けには、コラムアダプターが必要です。
SLiC STEM スリック ステムをSLiC オンラインショップで見る
SLiC(スリック)Star Rider(スター ライダー)ステム15
突き出し量が、15mmの最短仕様です。
※こちらは、アルミフレームのストライダープロ専用です。
コラムとステムが一体となっている、直接フォークコラムに差し込んでハンドルバーを付けるタイプ。取り付けは、ノーマルのT型ハンドルを抜き、代わりにこのステムを差し込んで、クランプ部にハンドルをセットして締め付けるだけです。
- 材質:アルミ合金 (A2017 ジュラルミン)
- 重量:112g
- ハンドルクランプ径:25.4mm
- コラム径:28.6mm
SLiC Star Rider ステム15をSLiC オンラインショップで見る
その他にも、様々なステムが発売されているので、いろいろ調べてみて下さい。
- DADDYLAB:https://labshop.daddylab.jp/
レース以外が目的なら、コストパフォーマンスが優れているブランドです。
おすすめのハンドルバー
カスタム用のハンドルバーは、ストレートなフラットバータイプと、握る部分が取り付け部より高くなっているライザーハンドルの主に2種類があります。
フラットバー | ライザーハンドル |
ライザーハンドルはハンドルの高さが変わってしまうため、ステムの長さを変えてハンドルポジションを調整するフラットバータイプが人気です。ハンドルの高さは、スペーサーで調整するのが、良いかと思います。
材質はもっともオススメなのがカーボン、次にアルミとなります。どちらも十分軽いと言えますが、「今回はあえて、これ以外の材質で出来ているハンドル」をご紹介します。
KCNC(ケーシーエヌシー)SC Bone (エスシーボーン)25.4mm
価格:税込11,880円
このハンドルバーは、スカンジウム合金という金属でできています。おそらく、聞き覚えのない金属だと思いますが、スカンジウム合金とはアルミニウムとスカンジウムの合金です。
アルミニウムにスカンジウムを少量加えることにより、強靭なアルミニウム合金へと変化します。この合金は剛性と強度が非常に高いので、アルミ製よりも肉厚を薄くすることができ、結果として軽いハンドルバーを作ることができます。
一方、スカンジウムは市場における流通量が少なく、非常に高価なものとなります。しかしながら「カーボンと違って強度があるので、折れる心配がない!」ので、「これほどの逸品」は、なかなか世に存在しないと思います。カーボンでも、安物は折れやすいので、しっかりとした見極めが必要になります。
- 材質:スカンジウム
- 幅:600mm (切断が必要です)
- ライズ:0mm
- クランプ径:25.4mm
- バックスイープ:8°
- 参考重量:116g
LINK:ZERO BIKE FACTORY
その他にも様々なハンドルが発売されているので、調べてみて下さい。
- DADDYLAB:フラットバーハンドルV2 SDL-F-HF-V2
レース以外が目的なら、コストパフォーマンスが優れているブランドです。
おすすめのハンドルグリップ
SOYO(ソーヨー)ハイグリップ スリム
このグリップは、競輪選手も愛用している優れもの。SOYOオリジナルのウエーブライン+ドットパターンのラバー製で、耐久性がものすごくいいです。
- 長さ:180mm
- 厚さ:2mm
※長いようならカットして使ってください。
※ハンドルによって、若干動く可能性があります。その場合は、中に両面テープなどで固定することをおすすめします。
SOYO ハイグリップ スリムをZERO BIKE FACTORYで見る
CHAMP チャンプグリップ
ランニングバイクレースで、大人気のチャンプグリップ。
カラーバリエーションも豊富なので、POPなカラーカスタムが楽しめます。
- 長さ:165mm
- 厚さ:1.5mm
- 適合ハンドル径:22.2mm
※長いようなら、カットして使ってください。
CHAMP チャンプグリップをZERO BIKE FACTORYで見る
ステムを購入する前の注意点
- ストライダークラシック/スポーツ(鉄フレーム)φ22.2とストライダーPRO(アルミフレーム)φ20.8では、コラム径が違います!お使いのフレームによって、コラム径が変わるので、注意して下さい。
- 市販されているステムのコラム径はφ28.6なので、ストライダーにステムを取り付けるには、「コラムアダプターが必要」です。
- 例:φ22.2→φ28.6に変換します。
ただし、ステムとコラムアダプターが一体式となった、上記のSLiC StarRider ステム15のようなモノもあるので、 購入する前にコラムアダプターが必要かどうかを、あらかじめ確認して下さい。
- 例:φ22.2→φ28.6に変換します。
以下に、コラムアダプターをご紹介します。
SLiC (スリック)StarRider(スターライダー)
ステムの位置を高くしない方用のショートタイプ、もしくは高くして使いたい方用のロングタイプ(PRO用のみ)があります。取付方法は、コラムアダプターを差し込んで、ハンドルクランプを締めるだけです。
※必ず下に当たるところまで挿入してください。
クランプ径がストライダーPRO用と鉄フレーム用の2種類あるので、注意が必要です。
- 材質:アルミ合金2017(ジュラルミン)
- 重量:PRO用60g CLASSIC/SPORTS用61g PRO用(ロング)81g
SLiC StarRiderをSLiCオンラインショップで見る
その他様々なコラムアダプターが発売されているので、調べてみて下さい。
- DADDYLAB:https://labshop.daddylab.jp/
レース以外が目的なら、コストパフォーマンスが優れているブランドです。 - サイクルパーク トミー:http://cycleparktomy.com/strider
- 自転車屋ビッちゃん:http://vitwebshop.cart.fc2.com/
※ハンドル周りのカスタムには、グリップ・ハンドル・ステム以外にも、カスタムブッシュやヘッドパーツがあります。
特に『ヘッドパーツ』は、ハンドリングに大きな影響を与えるので、導入すると圧倒的なコーナーリングができるようになります。ヘッドパーツは、ママチャリにも付けられているので、特別なカスタムパーツでもありません。またの機会に、この話をさせて下さい。
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まとめ
たくさんの中から、カスタムパーツのどれを選ぶかは、カスタムする方のセンスが問われることになります。オリジナリティあふれる『世界に一つだけのストライダー』にするのは、粋なものです。カスタムを楽しみながらストライダーについての勉強をして、色々と学んでいくのも、魅力的な時間の過ごし方だと思います。「親子で楽しめるストライダー」って、最高ですよね!
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