ビアンキのエアロロードはこう来たか! 初のハイパーバイク「オルトレRC」発表

ビアンキ オルトレRC

ビアンキが初のハイパーバイクOltre(オルトレ)RCを発表した。

新しいオルトレシリーズの道を切り拓くオルトレRCは、ビアンキのレーシング部門であるレパルトコルサによるプロジェクトで、革新的な「エアディフレクター」技術を導入。アスリートとバイクを一つのシステムとして捉えることから開発をスタートさせ、エアロダイナミック性能の概念を一新する。

自転車ジャーナリスト浅野真則さんによるコメントとあわせて、リリースに準拠しながら新しいオルトレシリーズを紹介していこう。

初のハイパーバイク「オルトレRC」

これまでのエアロバイクの概念を超える、ブランド初のハイパーバイクとなるオルトレRCは、ビアンキのレーシング部門であるレパルトコルサがゼロから設計したバイクである。

アスリートとバイクを「統合された一つのシステム」として捉えるという、これまでと違った視点から開発されたオルトレRC。エアディフレクターテクノロジーと革新的なエアロコクピットにより極限のパフォーマンスとスピードを約束している。

さらにこのオルトレシリーズは、フレームのみならずコンポーネントも含めてビアンキがトータルで設計したプラットフォームへと生まれ変わっている。

ハンドルバー・ホイールセット・サドルまでトータルで設計されている

この挑戦的なプラットフォームによってAerovolution (AeroとRevolutionをかけ合わせた造語) が実現する。ビアンキはハイパーバイク・オルトレRCを筆頭に、オルトレ Pro/オルトレそれぞれのモデルで高性能エアロバイクの概念を塗り替える。

中央:オルトレRC、左:オルトレPro、右:オルトレの3グレード展開

ビアンキ・レパルトコルサの研究開発から生まれたオルトレRCは、デザインとエンジニアリングの両面で革命をもたらすという。

旧来のようにバイクとアスリート、フレームとコンポーネントのそれぞれを分けて考えるのではなく、すべての要素を一つの「システム」と見なすことから開発をスタート。エアフローを支配するだけでなく、積極的に活用することを目指したオルトレはビアンキのエアディフレクターテクノロジーにより生まれる革新的なデザイン思考アプローチだ。

新システムを象徴する「エアディフレクター」

 

ビアンキ社CEO・ファブリツィオ ・ スカルゾットのコメント

Oltre RCはサイクリング界に新たな技術基準を打ち立てるでしょう。我々はかつてないエアロバイクを作るためにゼロから開発をスタートしました。ビアンキが誇るレーシング部門であるレパルトコルサによるこのプロジェクトは、ブランドにとってターニングポイントとなるものです。Oltreシリーズはフレームからハンドルバーシステム、さらにホイール、ハブ、サドルまでビアンキが設計・製造した初の完全なフレーム/コンポーネントプラットフォームとなります。

AEROVOLUTION: エアディフレクターとエアロコクピット

ビアンキ社マーケティング&コミュニケーションマネージャーであるクラウディオ・マスナータはこう語る。

「開発にあたり我々はアスリートを中心に考え、最小限のエネルギーで可能な限り速く走ることを追求しました」

「まずエアディフレクターが革新的なポイントとして挙げられるでしょう。走行中あらゆる状況下で空力効率を最適化するため、モーターレースの世界から着想を得た技術です」

開発チームはヘッドチューブ側面にエアディフレクターを設置することで空気の流れを変え、ヘッドチューブ後部に低気圧エリアを作り出すことに成功。このエアディフレクターの働きと、新開発エアロコクピットの性能がかけ合わさり、中央に配置された穴からアスリートの脚部に向けて低圧の空気の渦を発生させる。

その結果、アスリートとバイクに対する空気抵抗が大幅に低減されることが風洞試験で証明された。

簡単にいえば「より少ないエネルギーでより速いスピードが出せる」ということだ。

理論上では旧モデルのオルトレXR4と比較して、オルトレRCは時速50km走行時に約17ワット節約時速250ワット出力で40kmを走行した際に約45秒短縮することが可能になった。特に風向きが変わりやすい状況下では、市販されている最上位クラスのエアロバイクに対する優位性が30%増し、風向きが急変した際にも極めて高い性能を発揮することが実験で証明されている。

レパルトコルサ・コンポーネント:専用のホイールセットとサドル

レパルトコルサはオルトレRCのフレーム/コンポーネントの細部に至るまで、最高レベルの性能を実現するための研究を重ねてきた。開発チームによって生み出された専用コンポーネントの製造を決めた理由は、研究成果を製品にするという情熱に動かされた結果だ。

ホイールセット

レパルトコルサのホイールセット、RC50とRC65のチューブレスレディホイールは、剛性、滑らかさ、重量、デザインの4つをガイドラインとして開発された。3Kカーボン仕上げの新しいホイールは、剛性、超応答性、重量1,540g(1セットあたり)を実現するとともに、SPBテック|超精密ベアリング技術による性能を提供する。

サドル


レパルトコルサによるカーボンエアサドルRC139は、3D技術で開発されたパッドとわずか168gの重量が特徴。人間工学を犠牲にすることなく、長距離でもエアロダイナミックなポジションを維持することが可能だ。

自転車ジャーナリスト・浅野真則が見るオルトレRC

各グレードの詳細に移る前に、今回のリリースを受けての、自転車ジャーナリスト浅野真則さんによるコメントを紹介しておこう。


浅野真則

自転車専門誌・WEBメディアで活動する自転車ライター。製品インプレッションやトレーニング・ロングライドなどのハウツー記事、イベントなどの実走レポートを得意とする。本業の傍らJBCFのレースやホビーレースに参戦し、毎日少しでもサドルの上で過ごす根っからの自転車好き。


オルトレRCを一目見て印象に残ったのは、コックピットまわりです。独特な形のステム一体型エアロハンドルはサーベロ・S5のものにやや似ている気がしますが、ヘッドチューブまわりのエアロディフレクターが個性を放っています。

いずれも単に前面投影面積を減らして空気抵抗を削減するのではなく、空気の流れを整えることで空気抵抗を減らすことも強く意図していることが分かります。

よく見ると、フロントフォークのブレード先端にも空気の流れを整えるためと思われるボルテックスジェネレーターのような突起がありますね。ケーブルも完全内装されていて、こうしたマージナルゲインを積み重ねて、メーカーがいうオルトレXR4 との比較で時速 50km 走行時に約17W節約、250Wの出力で40km 走行した際に約45秒のタイム短縮を実現しているのでしょう。

ケーブルはフル内装、フォーク下部の突起に注目


最上位モデルのオルトレRCには、リムハイト前50mm、後65mmのカーボンチューブレスリムホイールがアッセンブルされています。空力性能だけでなく、チューブレスタイヤを組み合わせることで、完成車としてのパッケージで、エアロだけでなく走りの軽さ(=転がり抵抗の少なさ)も追求していると感じました。


オルトレRCは、チューブレスレディ対応ホイールと3D技術で作られたサドルを組み合わせることで快適性を向上させようという意図も感じます。エアロロードというとフレームの縦剛性が高すぎて路面からの突き上げが大きく快適性が犠牲になっているモデルも少なくありませんでしたが、最近はエアロロードでも快適性向上をうたうバイクが増えています。

キャニオン・エアロードやジャイアント・プロペルなど群雄割拠のエアロロード戦線にオルトレRCがどう切り込み、どのように存在感を示すかが楽しみです。

3グレード展開(オルトレRC/オルトレPro/オルトレ)

オルトレシリーズは3つのグレードから構成される。

※日本展開のサイズ・カラーについては未定

オルトレRC

ビアンキ初のハイパーバイクというコンセプトのもと開発されたモデル。エアロレーシングバイクのトップモデルであるオルトレRCは、最大限のスピードを求める最も過酷なアスリートのために設計されている。

ワールドツアーで戦うプロフェッショナルライダーを想定したオルトレRCは、エアフローを支配することで空気抵抗を低減、バイクとアスリートを「システム」として捉えた設計がスピードを向上させるという。これは独自の「エアディフレクター」技術によって実現され、新しいエアロハンドルバーと連動することでかつてない性能を発揮。

またコンポーネントもレパルトコルサにより設計されたものが搭載される。チューブレスレディホイールRC50 SPBTechとRC65 SPBTech(フロント50mm、リア65mm)と、RC139カーボンエアサドル(3Dテクノロジー搭載)を装備。

オルトレRCは6つのサイズと3つのカラーが用意される。

オルトレPro

最上位モデルのオルトレRCと同じフレーム構造を持ち、同様のエアディフレクターテクノロジーとエアロハンドルバーを装備するミドルグレードモデル。

フレームにはカーボンファイバーにビアンキ独自のカウンターヴェイル振動除去機能が組み込まれ、乗り心地を向上させている。

レパルトコルサによるコンポーネント、RC139カーボンサドルとRC50チューブレスレディホイール(フロント・リアとも50mmプロファイル)を装備したオルトレProは、6つのサイズと3つのカラーを用意。

オルトレ

オルトレは、ビアンキが新たに展開するエアロバイクシリーズの入口となるモデル。RCとProの派生モデルであるオルトレはスピードのスリルを求める幅広いサイクリストのための設計だ。

フルカーボンフレームとフォークを採用し、高い剛性と反応性を実現。エアロハンドル、ステム、V50Rホイール(前後50mmプロファイル)、Mitoraサドルなど、Velomannの新しいコンポーネントを搭載したオルトレは6つのサイズと3つのカラー展開。

「メタバースにおけるオルトレ」を体感しに行こう

ビアンキでは新型オルトレをより身近に感じてもらうため、VRとARを用いた先進の3Dデジタルコミュニケーション空間を開発。ウェブサイト における仮想空間体験に加えて、10月20日(木)からBianchiのすべてのソーシャルメディアチャンネル(Instagram、TikTok、Facebook)で特別なフィルターを提供する。

ビアンキファンは仮想空間での体験を通じてオルトレRCをその目で見て、まるで「触れるような」感覚を味わうことができるだろう。

 


All photos (C) CYCLEUROPE JAPAN

LINK: Bianchi

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WRITTEN BYFRAME編集部

FRAME編集部はロードバイク、MTB、ミニベロ、トライアスリートなど、全員が自転車乗りのメンバーで構成されています。メンテナンスなど役立つ情報から、サイクリングのおすすめのスポット情報、ロードレースの観戦まで、自転車をもっと楽しくするライフスタイル情報をお届けします。 https://jitensha-hoken.jp/blog/

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