【完全版】ロードバイクのパンク修理をマスターしよう!【クリンチャー&チューブレスタイヤ】

ロードバイクのトラブルで最も多いのがパンクです。ポタリング中やツーリング中でもタイヤがパンクすると走れなくなってしまいます。その後も走り続けるためには、おでかけ先でパンクした場合、自分で修理する必要があります。

楽しいツーリングのため、走り出す前に”出先で行うパンク修理”の基本的な方法をマスターしておきましょう!

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あなたのタイヤはどれ? ロードバイクのタイヤは3種類あり。

まずはパンク修理の具体的な方法の前に、ロードバイクのタイヤの種類をおさらいしましょう。大きく分けて3つのタイプがあり、それぞれに長所と短所があります。ロードバイクのタイヤについて詳しい解説はこちらから。

もっとも一般的な「クリンチャータイヤ」

クリンチャータイヤは、タイヤとリムの間にチューブを入れるタイプ。ロードバイクはもちろん、クロスバイクやママチャリなど、多くの自転車に使用されている(Image:Vittoria)

タイヤの中にインナーチューブを入れ、チューブを膨らませてタイヤをホイールに固定するタイプ。ロードバイクの完成車の多くがこの方式を採用し、現在最もポピュラーなタイプと言えます。タイヤの種類が豊富で、パンク修理も比較的しやすいのが特徴です。一方でパンクしたら一気に空気が抜けてしまうことも少なくありません。

メリット

  • タイヤの選択肢が豊富
  • 比較的安価に手に入る
  • チューブの選択肢も豊富

デメリット

  • パンク時には一気に空気が抜けてしまって、ホイールからタイヤが外れる危険性もある

主流になりつつある「チューブレスタイヤ(チューブレスレディ)」

MTBではすでに一般的だが、ロードバイクでは今後主流になると考えられるタイヤ。リム打ちパンクをしないなどのメリットも多い(Image:Vittoria)

チューブを使わず、タイヤ内の空気圧だけでタイヤをホイールに固定するタイプ。クルマやバイクのタイヤと同じ方式で、ロードバイクでは比較的新しい規格です。インナーチューブを使っていない分、走りが軽くなるという特長があります。また低めの空気圧にセッティングしても走りが重くなりにくく(転がりが軽い)、快適な乗り味を実現しやすいというメリットがあります。反面、タイヤ交換やパンク修理にはちょっとコツが必要です。最近では専用のリムテープやシーラントを使う前提で気密性が保たれるチューブレスレディという規格も出ており、勢力を拡大しています。

メリット

  • インナーチューブを使わないので、走りが軽い
  • 低めの空気圧に設定しても走りが重くなりにくいため、しなやかな乗り心地と走りの軽さを両立しやすい
  • タイヤ内にシーラントを入れると、ちょっとしたパンクは自然にふさがることも
  • パンク時にタイヤから一気に空気が抜けにくく、タイヤがホイールから外れにくいため、安全に停車しやすい

デメリット

  • タイヤの着脱にコツが必要
  • パンク修理やタイヤ交換の時にシーラントで手が汚れやすい

レース用タイヤとして主流だった「チューブラータイヤ」

乗り心地が良く、ビードがない分ホイールを軽量にできるなどのメリットが大きく、プロのロードレースの世界では多く使用されていたタイプ(Image:Vittoria)

タイヤの中にチューブを縫い込んだドーナツ状のタイヤ。ホイールには専用のテープやリムセメントという接着剤で貼り付けて使用します。パンクしてもタイヤがホイールから外れにくいため、シクロクロスを中心にレース機材として愛用する人も少なくありません。構造のシンプルさからホイールとタイヤを組み合わせたシステム重量が軽い傾向にあり、レース向けの決戦用ホイールと組み合わせて決戦用タイヤとして使うことが多いです。一方、パンク時にはタイヤ交換で対応するのが基本で、出先でパンクするとちょっとやっかいです。

メリット

  • ホイールとタイヤのトータル重量が他の規格と比べて軽い傾向にある
  • パンク時にタイヤがホイールから外れにくいため、安全に停車しやすい

デメリット

  • タイヤの装着や交換が他の規格と比べて面倒
  • パンク修理はタイヤを交換するのが基本なので、出先でパンクするとちょっとやっかい

このようにロードバイクには3種類のタイヤがありますが、ここでは現在主流になっているクリンチャータイヤとチューブレスタイヤ(チューブレスレディ)の修理を紹介します。パンク修理をする前には必ずホイールを外す必要がありますが、その方法についてはこちらを参考にしてください。

空気を入れるバルブ(口金)の形状は?

仏式ポンプ、米式ポンプ、英式ポンプの全てに対応
スポーツバイクのタイヤに多いのが仏式(中央)と米式(右)。英式はママチャリなどのタイヤに多く使用されている 

タイヤに空気を入れる時に気をつける必要があるのがチューブやチューブレスホイール用の口金の形状です。ロードバイクをはじめ多くのスポーツバイクに採用される仏式(フレンチバルブ)/画像中央、一部のMTBに採用される米式/画像右、ママチャリなどによく採用されている英式の3タイプあります。ロードバイクは仏式バルブが採用されているので、パンク修理や日々の空気の補充には仏式に対応したフロアポンプや携帯ポンプが必要になります。空気の入れ方についてはこちらから。

【クリンチャータイヤ】2種類の修理方法

まずはクリンチャータイヤのパンク修理から紹介していきますが、チューブ交換、パンク修理キットでチューブの穴を塞ぐという2種類の方法があります。それぞれの手順とともにメリット・デメリットも紹介します。

①一番手軽な「チューブ交換」の手順

まず紹介するクリンチャータイヤのパンク修理は「チューブごと交換する」方法です。後で紹介する「パンク修理キット」よりも手間が省けてスピーディーに作業できます。

ただチューブの保管状態によってはチューブが劣化していて使い物にならないケースも。ツールボトルなどで携行する際、予備のチューブはラップで包んだり防水バッグに入れるなどして、なるべく空気に触れないようにするのがポイントです。

またチューブを使い切ったときのために、一緒にパンク修理キットも携行するのがベターです。

1.パンクしたタイヤがついたホイールを外し、タイヤのどのあたりにパンクの原因があるか、表面を目視で確認します。

2.タイヤの片側のビードをホイールから全周外していきます。手で外せることもありますが、硬くて難しい場合はタイヤレバーを使います。

※タイヤレバーを使う場合は爪の内側をタイヤのビードに引っかけますが、このとき差し込みすぎて奥にあるチューブを傷つけないように注意しましょう。

3.タイヤのビードが外れた側からタイヤの中にあるインナーチューブを取り出します。

4.タイヤの内側にも異物が刺さっていたり傷が付いたりしていないかチェック。異物がある場合は取り除きます。

※遺物は尖っている場合もあるのでウエスがあると安全に作業ができます。携帯する場合は小さくカットしておくと持ち運びしやすく便利!

5.予備チューブを用意し、空気を入れて少し膨らませます。ペタンとした状態よりも空気が入っていた方がタイヤ内に入れやすくなるからです。

6.少し膨らませた予備チューブをタイヤの中に入れます。まずはバルブを差し込んで、そこから全周にわたってリムの上に載せるようなイメージで指で押し込むようにするといいでしょう。

7.外れている側のビードをバルブの反対側からはめていきます。左右均等にはめていき、最後はバルブ付近をはめていきます。はまりにくいときはすでにはめた部分のビードをリムの中央に寄せるとはめやすくなります。タイヤレバーを使う場合はチューブを傷つけないように注意しましょう。

8.ビードとリムの間にチューブが飛び出していないか、挟まっていないかを確認します。飛び出している場合はしっかりと奥に押し込んでいきます。チューブが飛び出している状態で空気を入れてしまうとチューブが破裂することもあるので、しっかりと確認しましょう。

9.チューブに空気を入れていきます。出先で使用する小型携帯ポンプの場合は、かなりたくさんポンピングする必要があります。大変だな、と思う時には「CO2カードリッジ」や「携帯型の電動ポンプ」を使うのもアリ!

10.好みの空気圧まで空気を入れたら「エア漏れ」がないか再度チェック。エア漏れがなければホイールをはめてパンク修理完了です! ホイールを装着して走り出しましょう。

②「パンク修理キット」を使う手順

パンク修理キットとは、パッチと呼ばれる薄いシートをチューブの穴が空いた部分に貼り付けてパンクを修理するアイテムです。

パッチはゴムのりを塗って貼り付けるタイプと、パッチ自体に接着剤が塗られているタイプがあり、ここではより手軽にパンク修理が可能な後者の方法を紹介します。

パンク修理キットを使うパンク修理は、穴が小さいなど、パンクの原因となる傷がそれほど大きくない場合には替えチューブを使わなくても修理できますが、チューブ交換に比べるとやや時間がかかるデメリットがあります。

▼パーツツールのパンク修理キット「GP-2Cスーパーパッチ」。携帯しやすいケースに接着剤が付着したシールとヤスリがセットされています。

1.パンクしたタイヤがついたホイールを外し、タイヤのどのあたりにパンクの原因があるか、表面を目視で確認します。

2.タイヤの片側のビードをホイールから全周外していきます。手で外せることもありますが、硬くて難しい場合はタイヤレバーを使います。

※タイヤレバーを使う場合は爪の内側をタイヤのビードに引っかけますが、このとき差し込みすぎて奥にあるチューブを傷つけないように注意しましょう。

3.タイヤのビードが外れた側からタイヤの中にあるインナーチューブを取り出します。

4.タイヤとチューブの双方の空気漏れの箇所を確認します。タイヤの内側にも異物が刺さっていたり傷が付いたりしていないかチェック。異物がある場合は取り除きます。

※遺物は尖っている場合もあるのでウエスがあると安全に作業ができます。携帯する場合は小さくカットしておくと便利!

5.パンクの原因になっているチューブの穴あきの箇所を確認します。少し空気を入れて空気が漏れる音でチェックしたり、水をかけてたりして空気が吹き出す箇所を特定しましょう。

6.パンクの原因となっている穴の周囲を付属のヤスリを使って軽くやすりがけします。パッチを圧着しやすくするために必要な作業なので丁寧に。

7.パンクの原因となっている穴の上にパッチを貼り付けます。パッチを持つ際は、接着力が下がるのを防ぐためなるべく裏側の接着部に指が触れないように注意!

8.パッチを貼り付けたら、タイヤレバーやポンプなどでこするようにしてチューブとパッチを圧着させます。

9.軽く空気を入れ、修理した箇所から空気が漏れていないことを確認します。

10.軽く空気を入れた状態でタイヤの中に修理したチューブを戻します。全周にわたってリムの上に載せるようなイメージで、指を使ってタイヤの中に押し込んでいきましょう。

11.外れている側のビードをバルブの反対側からはめていきます。左右均等にはめていき、最後はバルブ付近をはめていきます。はまりにくいときはすでにはめた部分のビードをリムの中央に寄せるとはめやすくなります。タイヤレバーを使う場合はチューブを傷つけないように注意しましょう。

12.ビードとリムの間にチューブが飛び出していないか、挟まっていないかを確認します。飛び出している場合はしっかりと奥に押し込んでいきます。チューブが飛び出している状態で空気を入れてしまうとチューブが破裂することもあるので、しっかりと確認しましょう。

13.チューブに空気を入れていきます。出先で使用する小型携帯ポンプの場合は、かなりたくさんポンピングする必要があります。大変だな、と思う時には「CO2カードリッジ」や「携帯型の電動ポンプ」を使うのもアリ!

14.好みの空気圧まで空気を入れたら「エア漏れ」がないか再度チェック。エア漏れがなければホイールをはめてパンク修理完了です! ホイールを装着して走り出しましょう。

タイヤの横が裂けるようなパンクをした場合は・・・

▲パークツール「TB-2タイヤブート」。タイヤ内側に貼ったシートが壁の役割をしてチューブがはみ出すのを防いでくれる。

タイヤの側壁(サイドウォール)を傷つけてしまうと、その部分から押し出されたチューブが飛び出してきてしまい、チューブが破裂する恐れがあります。このようなケースではチューブが飛び出さないようタイヤの裏側からクリアファイルを小さく切ったものやタイヤブートというシートを当てて、チューブが飛び出さないようにすることで応急処置をします。

【チューブレスタイヤ】2種類の修理方法

ここからはチューブレスタイヤの修理方法について解説します。チューブ・レス(=なし)という文字通り、タイヤ中にインナーチューブを入れなくても使用できるタイヤです。

「チューブレス」の場合はタイヤとリムだけでも気密性を確保できますが、「チューブレスレディ」の場合はリムテープとシーラント、チューブレスレディタイヤの3点で気密性を確保するという違いがあります。

細かい繊維と液状のゴムなどでできているシーラントにはパンク修理剤の役割もあるため、ちょっとした穴が空く程度の軽微なパンクであれば、走行中に勝手に穴がふさがることも少なくありません。

もしシーラントでふさがらない穴があいてしまった場合も、タイヤの中にクリンチャータイヤ用のチューブを入れて復旧することもできます。タイヤの中にシーラントを入れている場合はシーラントで手が汚れてしまうというデメリットもありますが・・・。サイドカットしてしまった場合も裏側からクリアファイルの切れ端を当てて、チューブが飛び出さないようにすることで応急処置が可能です(先に紹介した「タイヤブート」はチューブレスタイヤにはうまく張り付かないので注意)。

ここからは「チューブを挿入する」「パンク修理キットを使う」の2種類を紹介していきます。

①「チューブ挿入」の手順

チューブレスタイヤ、チューブレスレディタイヤは、チューブを使わずタイヤ内の空気圧だけでタイヤをホイールに装着させている構造です。一方でクリンチャータイヤと同様にチューブを入れて空気圧を高めてホイールにタイヤを装着することもできます。

ここではチューブレスタイヤにチューブを入れる手順を紹介していきます。クリンチャータイヤのチューブ交換とほぼ同じですが、チューブレス特有のものもあるのでしっかり確認しましょう!

1.まずはパンクした車輪を外して、タイヤのどこにパンクの原因があるかタイヤの表面を確認します。

2.タイヤの片側のビードをホイールから全周外します。チューブレスやチューブレスレディのタイヤは気密性を高めるために、ビードが硬くはまっていることが多いのでやや力が必要です。

※タイヤレバーを使う場合はチューブレスタイヤ対応のものを使うこと!

3.タイヤに異物が刺さっていたり傷が付いたりしていないか実際に触ってチェック。異物がある場合は取り除きます。尖っているものもあるので、指を傷つけないようにウエスなどを使うと安全に確認できます。

※タイヤの中にシーラントが残っている場合は、ティッシュやウエスなどで拭き取ると手が汚れず作業しやすくなります。

4.チューブレスホイールにはバルブがついているので、あらかじめ外しておきます。さらに予備チューブを用意し、少し空気を入れて膨らませます。これをすることで入れやすくなります。

5.タイヤの中にチューブを入れていきます。全周にわたってリムの上に載せるようなイメージで指で押し込むようにするとスムーズに入ります。

6.外れている側のビードをバルブの反対側からはめていきます。左右均等にはめていき、最後はバルブ付近をはめます。はまりにくいときはすでにはめた部分のビードをリムの中央に寄せるとはめやすくなります。タイヤレバーを使う場合はチューブレス用のレバーを使用。チューブを傷つけないように注意し、爪の内側をリムに引っかけるようにします。

7.ビードとリムの間にチューブが飛び出していないかを確認。飛び出している場合はしっかりと奥に押し込みます。その状態で空気を入れてしまうとチューブが噛みこんで破裂する恐れがあるので、しっかり確認しましょう。

8.空気を入れていきます。小型の携帯ポンプの場合はかなりたくさんポンピングする必要があるので、CO2カートリッジや携帯型の電動ポンプを使うのもアリです!

9.好みの空気圧まで空気を入れたら、エア漏れがないか再度チェック。エア漏れがなければホイールをはめてパンク修理完了!

②チューブレスタイヤの修理その他の方法

出先でのタイや補修に役立つ「スタンズノーチューブ ダートツール」。チューブレスタイヤユーザーはツールボトルに入れておくと安心

チューブレスタイヤにもパンク修理キットがありますが、クリンチャータイヤ(チューブ補修)とは違い、穴が空いているパンク箇所にゴム片を押し込んで空気が漏れないようにして修理するものです。タイヤを外さなくても修理できるため、チューブを入れて復旧する方法より素早く復帰できますし、シーラントで手が汚れにくいというメリットがあります。

パンク修理したタイヤやチューブは使い続けて大丈夫?

クリンチャータイヤの場合、小さな穴が空く程度のパンクならタイヤはそのまま使っても問題ないことが多いですが、タイヤが明らかにひび割れて劣化していたり、摩耗したりしている場合は交換しましょう。チューブをパッチで修理した場合、チューブはできれば新品に交換した方が安心です。

チューブレスタイヤの場合、シーラントでパンクの穴がふさがっていて、規定空気圧にした状態でも空気がすぐに抜けなければ使い続けても問題ないでしょう。ただし、空気の抜けが早くなっているならタイヤを交換した方が安心できます。また、チューブを入れる応急処置をした場合は、チューブを抜いた状態でシーラントを規定量入れてみて様子を見ましょう。

いざというときに備えてパンク修理の予行演習しておこう

屋外でロードバイクに乗る限り、現行のクリンチャータイヤやチューブレスタイヤではパンクのリスクはゼロにはできません。つまり、サイクリストにとってパンク修理は必須のスキルなのです。

パンク修理の方法を知っているだけでも、器用な人なら実際にパンクしたときに対処できるかもしれません。しかし、事前に一度は予行演習しておいた方が安心です。知っているのと体験したことがあるのでは、経験値に大きな差があります。

一人で予行演習するのが不安なら、サイクルショップで開催されているパンク修理講座を受講するのも一つの方法です。ショップのスタッフさんに手取り足取り教えてもらえるので、パンク修理のコツも教えてもらえて上達も早いはずです。

皆さんもパンク修理をマスターして、サイクルライフを満喫しましょう!

Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

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WRITTEN BY浅野真則

自転車専門誌・WEBメディアで活動する自転車ライター。レース志向のガチ勢で、インプレやトレーニング系の記事だけでなく、カメラを担いで自ら被写体になりながら走り、原稿も書く“自作自演”の実走取材も得意。乗りたいバイクが青くないと新品でもわざわざ青く塗り直すほどの青好きで、もみあげの長い風貌から“青ゴルゴ”と呼ばれている。

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