パリ・ルーベ2017 ラスト30kmで勝敗が分かれた〜ボーネンは最後までボーネンらしく〜
パリ〜ルーベ ファンアーヴェルマートが勝利 引退するボーネンは13位
(UCI1.ワールドツアー、4/9、フランス)
「クラシックの女王」パリ〜ルーベがコンピエーニュ(Compiègne)からルーベ(Roubaix)までの257kmで行われ、フレッフ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が勝利。アーヴェルマートは、モニュメント(ミラノ〜サンレモ、ロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ、イル・ロンバルディアの5大レース)初勝利だ。このレースを最後に引退するトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)は、13位に終わった。
レースは、ラスト30kmで大きく動いた。先頭を逃げていたダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)とヤスペル・ステュイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)に、ファンアーヴェルマート、ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)、セバスティアン・ランゲフェルト(オランダ、キャノンデール・ドラパック)らが追いつき、強力な先頭集団が形成されたのだ。
この動きに、クイックステップフロアーズの絶対的なエース、ボーネンは乗り遅れてしまい、結果的にボーネンの勝利はここで消えてしまった。また、優勝候補の一角だった世界チャンピオンのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も度重なるパンクで後退を余儀なくされてしまう。
クイックステップフロアーズのチーム内では、大きな葛藤が生まれた。あくまでもボーネンの勝利のために動くのか、それともスティバルに勝負を託すのか。全員でボーネンを引けば、もしかしたらボーネンを先頭集団まで引き上げられるのかもしれない。誰も指示を出さなかったら、おそらくチームは最後までボーネンのために走っただろう。
しかし、このレースをよく知るボーネンは、それをよしとはしなかった。自分は勝てないと悟ると、「スティバルで勝利を狙おう」とチームメイト達に指示を出す。それがあくまでもチームの勝利を優先するボーネンの決断だったのだ。
ボーネンからエースを託されたスティバルは、先頭集団を積極的には引かず、ファンアーヴェルマートやランゲフェルトの後ろにつく走りをする。勝負にこだわった走りのように見えたが、実はここまでボーネンをアシストしてきたために、すでに脚は売り切れていたのだった。
ルーベの競技場に入りスプリントを開始したが、最後の直線でリオ五輪男子ロード金メダリストのファンアーヴェルマートにあっさりとかわされ、スティバルは2位、ファンアーヴェルマートが第115代チャンピオンとなった。
ボーネンは12秒遅れの集団で、大きな拍手喝采が待つルーベの競技場に姿を見せた。これまで数々の伝説を作ってきた男の最後の姿に誰もが釘付けとなったのは言うまでもない。そして13位でゴール。15年間にわたるプロ選手生活にピリオドを打った。
リザルト
- G.ファンアーヴェルマート(ベルギー、BMC)5h41’07”
- Z.スティバル(チェコ、クイックステップ)
- S.ランゲフェルト(オランダ、キャノンデール・ドラパック)
- J.ステュイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
- G.モスコン(イタリア、スカイ)
- A.デマール(フランス、FDJ)+12″
- A.グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)
- E.トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
- A.プティ(フランス、ディレクトエネルジー)
- J.デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)
- M.ヘイマン(オーストラリア、オリカ・スコット)
- F.セネシェル(フランス、コフィディス)
- T.ボーネン(ベルギー、クイックステップ)