乗って分かった、ディスクブレーキロードバイクの魅力とおすすめモデル13選
【2022年8月更新】ここ数年のロードバイク界のビッグニュースといえばディスクブレーキ化。わずか数年で主流のブレーキシステムとなりました。今からロードバイクを始めるならディスクブレーキがオススメ。リムブレーキユーザーでも「ディスクブレーキが気になる」という方も多いですよね。ディスクブレーキユーザーが実際に乗ってみて感じた魅力や感想を詳細にお伝えします。
目次
ディスクブレーキとは
自転車のディスクブレーキとは、ホイールのハブ(回転軸)に取り付けられたブレーキローターと呼ばれる金属製の円盤を挟みこんでブレーキをかけるものです。
従来から一般的に自転車に用いられてきたブレーキはリムブレーキと呼ばれるもので、ホイールのリム(ホイールの外周部分)を挟み込んでブレーキをかけるものです。リムブレーキには、ロードバイクで最も多く使われている「キャリパーブレーキ」や、クロスバイクなどで見られる「Vブレーキ」、シクロクロスなどで使われていた「カンチブレーキ」などがあります。
ディスクブレーキは自動車やオートバイなどに用いられてきたブレーキシステムで、高い制動力が特徴です。もともとはMTBやシクロクロスを中心に導入されていたものですが、数年前からロードバイクへの導入も進み、今では主流のブレーキシステムとなっています。
▶︎リムブレーキとの違いは? 各ブレーキのメリット・デメリットをわかりやすく解説!
油圧式と機械式、ディスクブレーキは2種類ある
ディスクブレーキには、大きく分けて2種類あります。ブレーキレバーとブレーキをホースでつなぎ、その中にオイルを通して使う「油圧式」と、キャリパーブレーキのようにブレーキレバーとブレーキをワイヤーで繋ぐ「機械式」です。
油圧式は小さな握力でも大きな制動力を生み出すことができます。車の整備などで使う油圧ジャッキをイメージしていただけると、その効果の絶大さがわかると思います。リムブレーキユーザーからすると馴染みのない方式ですが、日頃のメンテナンスも機械式より楽な場合が多いです。しかし、油圧式を利用する場合は専用のブレーキレバー(STI等)やケーブルが必要になるため高価になりやすいのが難点です。
機械式は油圧式に比べて安価で、今使っているSTI等のパーツを流用できるので、パーツの頻繁な組み換えを考える場合にはメリットがあります。
油圧式はより軽いタッチで制動力を得られる
油圧式/機械式で制動力に大きな差はありませんが、油圧式はより軽いタッチで制動力を得ることができます。
また機械式にはブレーキキャリパー(ブレーキローターを挟み込む部分)に種類があり、ブレーキローターを片側から挟みこむものや両側から挟み込むもの、ブレーキキャリパー内が油圧式の構造になっている「半油圧式」などがあります。半油圧式にするとブレーキ感覚は油圧式に近づきますが、結局は高価になる一面も。
ディスクブレーキと相性がいい使用シーン
路面が濡れている悪天候時
ディスクブレーキの効果が最も発揮されるのは「悪天候時」です。取付位置や構造上から、雨や濡れた路面でも高い制動力を保つことができます。カーボンリム+リムブレーキで、雨天時に止まれなくてヒヤッとした方も多いはず。私は油圧式ディスクブレーキで、台風の箱根ダウンヒルやー10℃の雪道等の過酷な状況を走ってきましたが、好天時に匹敵するブレーキ性能を発揮してくれました。そんな極端な状況でロードバイクに乗ることはまれだと思いますが、いつも安心してブレーキを掛けられるメリットは非常に大きいです。
※タイヤのグリップ力以上の制動力は得られないので、スリップには注意が必要です!
長時間ブレーキコントロールが必要なロングライド
長時間のライドで握力が低下したり、手が痛くなったりすることは誰もが経験しているのではないでしょうか。私ももっぱらロングライドをしているので、キャリパーブレーキを使っているときは、ライド終盤の手の疲労に悩まされていました。そんな時に、ディスクブレーキは心強い味方になります。普段から小さな力で止まれるため、そもそも手が疲れにくいのです。
ディスクブレーキのメリットデメリット
メリット① 悪天候や握力に影響を受けにくい制動力
まず挙げられるメリットはやはり制動力です。前述の内容と重複してしまいますが、構造上、どんな天候でもキャリパーブレーキよりも軽い引きで高い制動力を発揮します。
また女性など握力の弱い方にとっては、シーンを問わず活躍してくれることでしょう。ダウンヒルで、キャリパーブレーキでは必ず下ハン(ドロップハンドルの下の部分)を持ってブレーキをかける私ですが、ディスクブレーキではブラケットポジションで指一本に力をかけるだけで下れます。ダウンヒルで楽にブレーキングができることはもちろん、普段のライドでも「走ること以外に気を使わなくて済む」というのは大きなメリットです。
メリット② カーボンホイールとの相性がいい
▲カンパニョーロの人気ホイール「BORA WTO 45」ディスクブレーキ仕様
ロードバイクで一般的になっているカーボンホイールですが、リムブレーキでの使用に関していくつかデメリットがあります。それは「ダウンヒル等での加熱・破損」や「リムの摩耗」、「制動力が低い」などです。
ディスクブレーキではカーボンのリムを挟むことはないので、それらのデメリットを解決することができます。それに加え、リムのブレーキ面の形状を気にする必要がなくなったことで、自由なリム形状のホイールを開発できるようになります。これにより、空力性能の大幅向上が可能となりました。また、リムに余計な強度を持たせる必要がないので、カーボンリムの軽さがより強調されるでしょう。カーボンホイールとディスクブレーキの相性は抜群です。
その相性の良さから、多くのディスクブレーキ用の新興カーボンホイールメーカーが登場しました。現在売られているカーボンホイールの大部分はディスクロードバイク向けで、選択肢もリムブレーキに比べると大幅に広がっています。
▶︎カーボンホイールについてはこちら!
メリット③ さまざまな太さのタイヤが装着可能
装着できるタイヤの太さは「ブレーキのクリアランス」と「フレームのクリアランス」の2つをクリアできるかで決まります。キャリパーブレーキの場合、ブレーキのクリアランス上DURA-ACEやULTEGRAでは28c以下が推奨されています。仮に装着して走行できたとしてもタイヤの太さがブレーキシューの幅を超えてしまうと、輪行などでホイールを取り外す際にタイヤが引っかるって取り外せない等のデメリットがあります。
対してディスクブレーキの場合、ブレーキのクリアランスは関係なくなるので、フレームのクリアランスさえ確保されていれば30c以上の太いタイヤも問題なく装着可能です。太めのタイヤは乗り心地の良さに直結し、最近はプロ選手の間でも28c以上のタイヤが定番となりつつあります。一方、レース以外でも「荷物を積んでキャンプツーリングをしたい」「荒れた路面も楽に走りたい」等、シチュエーションに合わせて、さまざまなタイヤをチョイスできます(フレームのクリアランスはモデルごとに大きく異なるので注意してください)。
メリット④ 目新しくてかっこいい
これは人によって好みが分かれるところだと思いますが、私は個人的にかっこいいと思っています。新しさがあり、目を引くブレーキローターがメカメカしくもスタイリッシュです。また、ホイールのリムにブレーキ面が必要ないため、デカールや塗装が全面に施せるのもポイントです!
デメリット① 車体重量の増加
ディスクブレーキの宿命とも言える重量増加。ディスクブレーキのロードバイクは同ランクのキャリパーブレーキモデルと比較すると、少々重くなってしまう傾向にあります。かつては軽量化が何より重要な「ヒルクライム」に向いているとは言えませんでした。
ただ、最近ではメーカーも軽量化に積極的に取り組んでいます。5kg台の超軽量ディスクブレーキロードバイクも登場し、多くのヒルクライムレースでもディスクロードに乗った選手が好成績を収めています。ただそれは各社のハイエンドバイクでの話です。ミドルグレードのディスクロードバイクでは、軽量化はあまり進んでいないのが現状です。しかしそれも余程軽量化にこだわりがないのであれば気にならない程度かもしれません。
デメリット② 価格が高い
手頃な価格になったとはいえ、ディスクブレーキのロードバイクは高価です。少しでも出費を抑えたいユーザーからすると、手を出しにくい要因の一つでしょう(学生の私は痛いほどよくわかります……)。
しかし「安全性に直結するブレーキ性能は、どんなにトレーニングしても変えられないため、出費を惜しむべきではない」と考えます。フレームやコンポなどは性能の差をトレーニングで代替できますが、ブレーキはどれほど自分を鍛えても向上しません。むしろスピードが出せるようになるほど、制動距離は長くなります。
リムブレーキロードバイクでも安全性の観点からブレーキキャリパーだけはハイグレードにするのが良いと言われていました。学生の私が高価なディスクロードバイクを購入したのも、実は同じ論理なのです。
デメリット③ キャリパーブレーキとの規格の違い
ディスクブレーキは取付位置が異なるため、キャリパーブレーキモデルのものとフレーム・ホイールの規格が異なります。そのため、フレームやホイールも「ディスクブレーキ専用」となるのです。例えば友達とホイールの交換をしたくても、それがキャリパーブレーキ用であれば取付不可となります。
また、ディスクブレーキはエンド規格(ホイールをはめる軸の太さと幅、固定方法)がいくつかあるため購入の際には注意が必要です。ホイールの固定には大きく分けて「クイックリリース」と「スルーアクスル」というものの2種類があります。
クイックリリースはキャリパーブレーキのロードバイクで主に用いられており、ホイールをフレームのエンド部分にはめ込み、レバーで固定するものです。スルーアクスルは、MTBで多く使われている規格でディスクブレーキのロードバイクにも使用されています。太いシャフトをエンドに空いた穴に通して、ねじを締め固定するもので、高い剛性と固定の確実性が特徴です。
▲KCNCのスルーアクスル(12×142㎜ Thru)
キャリパーブレーキのロードバイクのエンド規格はほぼ100%「フロント / リア」の順で
- 9×100㎜QR(クイックリリース)/ 9×130㎜QR
です。
一方ディスクブレーキの場合
- 9×100㎜QR / 9×135㎜QR
- 12×100㎜Thru(スルーアクスル)/ 12×142㎜Thru
- 12×100㎜Thru / 9×135㎜QR
などがあり、メーカーやモデルによって異なります。多くのホイールは規格が異なってもアダプターを介して使用可能ですが、ものによっては使用不可になる可能性があるので、主流になっている規格のバイクを選ぶのがベターでしょう。現在主流なのは「12×100㎜Thru / 12×142㎜Thru」です。
デメリット④ 輪行をする際に特別な保護が必要
ディスクブレーキの場合、輪行時にいくつか気を遣う点があります。まずはブレーキローターの保護です。ブレーキローターがゆがんでしまうと走行不能になってしまう可能性が高く、フレームを傷つけてしまうかもしれません。ローターカバー(スプロケットカバーでも代用可能)などで保護したうえで、輪行時にも注意しましょう。
また、ローターカバー以外にもディスクブレーキ用の保護器具が必要になります。規格によって異なりますが、スルーアクスル用のエンド金具や、135㎜用のエンド金具が必要になります。
そして油圧式の場合、ブレーキローターを挟んでいない状態でブレーキレバーを握ってしまうと、ピストンが出てしまうためキャリパーが閉じたまま開かなくなり(ずっとブレーキがかかったような状態)走行不能になるので、スペーサー(ダミーローター)をブレーキキャリパーに挟み込む必要があります。
必要なものが多く面倒と思うかもしれませんが、私は輪行や保管などで30回以上輪行袋への収納・組み立てを行ってきて、煩わしさを感じたことはありません。
デメリット⑤ 事故時やメンテナンス時のケガ
UCIのロードレースで落車時のケガが問題となり、一時UCIのロードレースでディスクブレーキが禁止となりました(現在では使用されています)。その問題となったケガというのが「落車時に高速で回転するブレーキローターによって体を切った」というものでした。
ブレーキローターは鋭利に作られている訳ではないので、通常の利用ではそれほど危険という感じはしませんが、レースに出ないという方でもメンテナンスの際に自分の手等を切らないように注意が必要です。
また、ブレーキローターは表面積がリムブレーキのブレーキ面よりも小さいため、ブレーキ時に熱が発生しやすいです。ブレーキ直後のローターは非常に高温で、触れると火傷の危険性もあるほど。走行の際は十分注意が必要です。
デメリット⑥ ブレーキローターが曲がることでの走行不能
落車や休憩時にバイクを倒してしまった等の理由で、ブレーキローターが曲がってしまうと、走行不能になる可能性があります。キャリパーブレーキの場合、リムとブレーキシューとのクリアランスが数ミリ作れますが、ディスクブレーキの場合クリアランスが1ミリ程度になるため、小さなゆがみが命取りになるのです。
ただ、ブレーキローターはそんなに簡単に曲がるものではありません。それほどのダメージがある落車等では、キャリパーブレーキであったとしてもバイクの他の箇所や身体への影響から走行は困難だと考えられます。
デメリット⑦ 縦置きでの保管に適さない
油圧式の場合、オイルラインにエア(気泡)が入ってしまうと、エアの入り具合によって、ブレーキの効きが変わります。入ったからすぐに効かなくなるわけではありません。エアが入るとタッチが重くなるのでそれがサインです。通常の利用ではエアが入ることは考えにくいですが、バイクを縦に保管していると、エアが入る危険があります。輪行の縦置き程度であれば問題ありませんが、自宅での保管が縦置きという方は要注意です。
▲縦置きのサイクルスタンド
デメリット⑧ メンテナンスやセッティング不良でのブレーキの鳴き
ディスクブレーキは、ずっとメンテナンスをせずに利用したり、正しくセッティングされていなかったりすると、ブレーキをかけた時にキーキーと鳴いてしまいます。ひどくなるととても煩いですし、オイル切れのママチャリのようでカッコ悪いです。
ディスクブレーキはキャリパーブレーキに比べセッティングがシビアなので、メンテナンスに気を遣いつつ、定期的にプロショップで診てもらいましょう。
手持ちのロードバイクに導入できる?
「フレーム」もディスク対応のものに買い替えが必要
「今乗っているロードバイクをディスクブレーキ化できないの?」という疑問をお持ちの方もいるかと思います。しかし、基本的にはディスクブレーキ用のモデルは専用設計になりそもそもの規格が異なるので、丸ごと新車を購入してしまった方が無難です。アダプタ等を使い無理やりディスクブレーキを装着できることもありますが、フレーム設計で想定されていない力がフレームにかかることになり危険です。
最も無難なカスタムとしては、フォークとフロントホイールを交換しフロントのみディスクブレーキ化する方法です。これなら専用パーツの構成でディスクブレーキ化が出来ます。ただしコストがそれなりにかかるので、特別なこだわりがなければ無理に改造する必要もないのではないかと思います。
「ホイール」もディスク対応になっている必要がある
ディスクロードバイクで使用するホイールはディスクブレーキ専用となるため、きちんとディスクブレーキ対応モデルを選ばなくてはなりません。ディスクブレーキ用のホイールは各社からさまざまな種類が発売されています。定番のシマノ、マヴィック、カンパニョーロ、フルクラムなどに加えて、多くの新興カーボンホイールメーカーも参入して性能・価格での熾烈な競争が進行中です。
ただ、「自分のバイクで使用可能か」は必ず確認してください。多くのホイールには数種類のアダプターが付属し複数のエンド規格に対応していますが、対応していない場合使用できないので注意してください。
また、ブレーキローターの固定方法がホイールによって異なります。固定方法は2種類あり、「センターロック」と「6ボルト」です。それぞれの固定方法に合ったブレーキローターが必要になるので、新たにブレーキローターを購入してしまうなら関係ありませんが、今使っているブレーキローターをそのまま使いたい場合は同じ固定方法を選ぶ必要があります。
▶︎リム用・ディスク用のホイールについてはこちら!
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ディスクブレーキのメンテナンス方法
ディスクブレーキのメンテナンスの基本は、他のブレーキと同様に清掃です。ライド後はきちんと汚れを落としてあげましょう。ブレーキキャリパーが他のブレーキに比べ細かいので、小さめの歯ブラシなどを使うと綺麗にしやすいです。
手順は以下の通りです。
①ホイールを外す
②ブレーキパッドを外す
③ブレーキローター・ブレーキパッドの洗浄
④ブレーキキャリパー内を清掃
⑤元に戻す
このような具合で、特に難しいと感じることはありませんでした。
注意点
清掃の際の注意点は、絶対に油分をブレーキローター・ブレーキパッドにつけないこと。ブレーキパッドにパーツクリーナーもNGです。油分がついてしまうとブレーキが利かなくなってしまい、パーツ交換となってしまいます。
消耗品の交換
ディスクブレーキの消耗品は、ブレーキパッド(前後で1500円~4000円程度)とブレーキローター(前後で3000円~10000円程度)の2つ。交換時期は利用環境やパーツによって異なりますが、ブレーキパッドの交換頻度は最低でも5000kmに1度くらいだと思います。パッドがすり減ると音鳴りがして交換時期になったのを教えてくれる仕組みになっています。ブレーキローターの場合はもっと長く、1万~2万kmに1度くらいです。こちらはノギスで厚みを測ってのチェックになります(あくまで距離は目安なので、清掃の際にチェックし、不安があればショップに見てもらいましょう!)。
その他のメンテナンスとしては、油圧式の場合はホースの中に入っているオイルの交換(1~2年に一度)が、機械式の場合はパッドの消耗に合わせたブレーキの引きしろの調整があります。これらの作業は自分でもできますが、少し難易度が高くショップに任せた方が安心な作業ですので、はじめのうちはお願いするもの良いかもしれません!
▶︎ディスクブレーキのパーツ交換についてはこちら!
価格帯別ディスクブレーキロードおすすめモデル13選
10万〜20万円:初めてのエントリーロードバイク
トレック DOMANE AL2 Disc
アメリカンブランドが販売する、初めてのロードバイクに最適な一台。15万円を下回る圧倒的なコストパフォーマンスが最大の特徴。長距離を快適に走れる「エンデュランスロードバイク」というカテゴリに属し、フレーム各所にダボ穴があるためキャンプ用具などの持ち運びにも向いている。32cの太めのタイヤを装着することで、非常に高い快適性を実現すると同時に悪路の走行も可能となっている。
- 価格:133,100円(税込)
- ブレーキ:機械式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO CLARIS
- カラー:Gloss Mulsanne Blue、Matte Trek Black
- サイズ:44、49、52、54、56、58
LINK:DOMANE AL2 DISC|TREK
スコット SPEEDSTER 40
軽量なカーボンロードバイクで有名なスコット。ただし、アルミモデルのSPEEDSTERでは軽量性を追求することよりもしっかりとした造りのロードバイクにすることを優先して作られた。2022年モデルの大きな特徴は、ケーブルのフル内装化。普通は30万円超えのモデルに用いられる技術だが、この価格帯で実現されるのは他に例がない。スコットがかなり気合を入れて開発したモデルと言えるだろう。
- 価格:143,000円(税込)
- ブレーキ:機械式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO CLARIS
- カラー:ー
- サイズ:XXS/47、XS/49、S/52、M/54、L/56
LINK:SPEEDSTER 40|SCOTT
ジャイアント CONTEND AR4
AR:オールロードをコンセプトとして開発されたアルミのディスクロード。フロントフォークは振動吸収を狙いカーボン製となっている。最大38mm幅の太いタイヤまで対応することで、荒れた路面などを走行するアドベンチャーライドも可能だ。
- 価格:159,500円(税込)
- ブレーキ:機械式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO CLARIS
- カラー:ブラック、ヘマタイト
- サイズ:410 (XS) 、445 (S) 、480 (M) 、515 (ML)
LINK:CONTEND AR4|GIANT
20万〜60万円:万能ミドルグレードロードバイク
キャノンデール CAAD13 Disc TIAGRA
究極のアルミレーシングフレームを目指して開発され、カーボンキラーと呼ばれるほど高い走行性能を誇るのがCAAD13だ。前作のCAAD12からは空気抵抗を大幅に減らすことに成功すると同時に、アルミフレームの欠点である振動吸収性を向上させ、剛性と快適性のベストバランスを実現した。光の当たり方によって色が変わる塗装も特徴。
- 価格:253,000円(税込)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO TIAGRA
- カラー:Purple Haze
- サイズ:44、48、51、54、56、58
ビアンキ SPRINT DISC
チェレステと呼ばれる鮮やかな水色が特徴のイタリアの老舗、ビアンキが2020年にリリースしたミドルグレードのカーボンディスクロードバイク。平地も山も走れるオールラウンダーで、空気抵抗を意識したセミエアロ形状のフレームを採用している。直線的なフレーム形状ながら細部には曲線的な美しさも併せ持つ。デザイン性の高さは、さすがイタリアンブランドだ。20万円台という価格設定も大きな長所。
- 価格:283,800円(税込)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO 105
- カラー:CK16 Glossy、Black/Graphite Glossy
- サイズ:47、50、53、55、57
LINK:SPRINT DISC|BIANCHI
ウィリエール GranTurismoR Team Disc 105
GTR-Teamディスクは、ウィリエールのラインナップの中でカーボンのエントリーモデルという位置づけであり、尖った性能は持ちあわせていないが、エントリーユーザーがまず始めるであろう『休日サイクリング ~ 市民レース ~ グランフォンド』まで幅広く対応する。この価格帯のバイクに採用される素材としては珍しい高弾性の46トンカーボンを用い、イタリアンブランドらしい魅力的な塗装と相まって、エントリーモデルらしからぬ高い所有欲が湧くモデルだ。
- 価格:363,000円(税込)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO 105(105 Di2、ULTEGRA Di2モデルもあり)
- カラー:ヴェルベットレッド、ブラック/ヴェルベットラマート
- サイズ:XS、S、M、L、XL
LINK:GRANTURISUMO R TEAM DISC|Wilier Triestina
メリダ REACTO 4000
日本の新城幸也選手も所属するヨーロッパを主戦場とするプロチーム「バーレーン・ヴィクトリアス」のチームカラーをまとったエアロロードバイク。戦闘機のような見た目に憧れる方も多いのでは。高い空力性能と上位グレードでも採用されているジオメトリーが平地を高速走行するのに適している。ケーブル内装でスマートかつ高級感あるルックスも魅力だ。
- 価格:374,000円(税込)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO 105
- カラー:RED/BLACK(TEAM REPLICA)、GUNMETAL GREY(BLUE)
- サイズ:47、50、52、54、56
LINK:REACTO 4000|MERIDA
グスト RANGER DISC TEAM LIMITED (TL)
台湾の新興ロードバイクメーカーのグスト。日本で見かける機会も多くなってきた。フレームは主にハイエンドバイクで用いられる東レのT1000カーボンを使用し、カーボンホイールを装着。コンポーネントはフルアルテグラながら、40万円を切る価格設定はもはや異常だ。さらに、ヨーロッパ、オーストラリア、アジアなどの各国のチャンピオンも使用するバイクであり、性能は折り紙付き。
- 価格:388,000円(税込)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO ULTEGRA(105モデルもあり)
- カラー:ー
- サイズ:XS、S、M、ML、L、XL
LINK:RANGER DISC TEAM LIMITED(TL)| GUSTO
ルック 785ヒュエズ DISC 105
高級ブランドとしての地位を確立しているLOOK。785ヒュエズはツールドフランスに登場する有名峠「ラルプ・デュエズ(L’alpe D’huez) 」から名付けられ、LOOK社の威信をかけて開発されたクライミングバイクだ。コンセプト通りクライマーからの絶大な人気があり、ヒルクライムイベントで見かけないことはないほど。登りだけでなく、下りの安定性も追求されている。
- 価格:462,000円(税込)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO 105(ULTEGRAモデルもあり)
- カラー:ブラックメタリックレッドマット
- サイズ:XS、S、M、L、XL
キャニオン Aeroad CF SL 8 Disc
代理店を通さず、インターネットを用いたメーカー直販による圧倒的なコストパフォーマンスの高さが魅力のキャニオン。エアロードは、世界最速のエアロバイクを目指して開発され、ヨーロッパのプロレースでも勝利を量産している。CF SLはミドルグレードながら、重量7kg台という驚くべき軽さを得たエアロロードバイク。税抜50万円以下の価格でこのスペックのバイクは他にはなかなかないだろう。
- 価格:479,000円(別途、輸入時に課税)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO ULTEGRA
- カラー:Gray In Gray、Team Replica Alpecin-Fenix
- サイズ:3XS、2XS、XS、S、M、L、XL、2X
LINK:AEROAD CF SL 8 DISC|CANYON
コルナゴ V3 Disc 105 Di2
タディ・ポガチャル選手による2020、2021年のツール・ド・フランス2連覇を支えたのはコルナゴV3RS。その弟分にあたるモデルがこのV3だ。V3RSとフレーム形状は全く同じ。異なるカーボン素材を用いることで、ピュアレーシングモデルながらハンドリングのしやすさと振動吸収性の高さを備え、ロングライドも問題なし。
- 価格:649,000円(税込)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO 105 Di2(SHIMANO ULTEGRA Di2、SRAM RIVAL AXSモデルもあり)
- カラー:MKBL(マットペトロールブルー)、MKWK(マットカーボン)、MKWK(ホワイト)
- サイズ:420S、450S、480S、500S、520S
LINK:V3 DISC|COLNAGO
50万円〜:憧れのハイエンドロードバイク
スペシャライズド S-Works Aethos – SHIMANO DURA-ACE Di2
今までの「勝つ」ことを第一に開発されていたロードバイクとは一線を画し「純粋に自転車を楽しむ」ことを主目的とした新時代のスーパーバイク。完成車重量はわずか5.9kgと、プロレースを運営するUCIの重量制限6.8kgを大幅に下回っており、発表時には世界中を驚かせた。重量だけでなく、どの部位を取り上げても完璧となるように開発された妥協のない一台。
- 価格:1,650,000円(税込)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO DURA-ACE Di2
- カラー:カーボン/カメレオンアイリスカラーラン/クロームフォイル、クールグレー/カメレオンアイリスティント/ブラッシュドクローム
- サイズ:49、52、54、56、58
LINK:S-WORKS AETHOS |SPECIALIZED
ピナレロ DOGMA F DISK
唯一無二の究極のバイク DOGMA。他社が平坦用エアロバイクと山岳用クライミングバイクを別々にラインナップする中、ピナレロはDOGMAのみをレースに投入し続け、数えきれないほどの輝かしい勝利を獲得し続けている。その最新機種DOGMA Fのキャッチコピーは「THE ART OF BALANCE」。究極の性能を追い求めた結果得られた曲線美と左右非対称のフレーム形状はもはや芸術。
- 価格:2,035,000円(税込)
- ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ
- コンポーネント:SHIMANO DURA-ACE Di2
- カラー:SUMMIT RED(完成車)
- サイズ:430、465、500、515、530、540、550、560、575、595、620
まとめ
エントリーモデルから各社のフラッグシップモデルまで、わずか数年の間でディスクブレーキのロードバイクが覇権を握るようになりました。数年前まではデミメリットを多く指摘されていましたが、技術の進歩と共に着実に改善され続けています。カーボンホイール、太幅タイヤ、チューブレスタイヤなどの自転車界の最新トレンドの背景にはディスクブレーキ化が関わっており、今後数年も主流のブレーキシステムとなることはほぼ確実でしょう。
ディスクロードバイクで、ぜひ最先端を覗いてみてください!
Bike model article by Yuya Minekawa
監修:サイクルアシストオオバ 大場忠徳