【アルテグラDi2】電動コンポのメリット・デメリット|パーツの価格とセット例

電動コンポ―ネント、愛用者に言わせると「一度使うとやめられなくなる」シロモノらしい。電動ならではのシフトチェンジのレスポンスは感動さえ覚えるほど。スイッチひとつで変速がきまるのだから、力の弱い女性や手の小さいライダーにもピッタリだ。
コンポは自転車の中でも1,2を争う長寿パーツ。大きな投資ともなるだろうから、アルテグラDi2経験者が教えるメリット・デメリットをしっかり押さえておきたい。最後にはアルテグラとデュラエース両方のセット例と、価格を含めた各パーツも紹介する。電動コンポを考えている人は必読だ。

電動コンポを使うということ

電動コンポーネントとは、その名の通り電力でディレイラーをコントロールする機構のこと。ワイヤーを引っ張ったり、引っ張りを解放する機械式と異なり、スイッチひとつでシフトチェンジすることができる大変便利なものだ。代表的なものとして、シマノのDi2の他、カンパニューロのEPS、スラムのeTapがあり、コンポーネント大手3社がすべて電動式を採用している。
Di2
機械式ワイヤーが必要なくなった替わりに、ケーブルに繋がれた前後ディレイラーにモーターが組み込まれ、そのモーターが駆動して変速する。あわせて、モーターを動かすためのバッテリーをフレームに装備することになる。電動コンポーネントの黎明期にはバッテリーを直接フレームにボルトで留めていたが、現在はフレーム内部に収納することが可能となり、見た目にもスマートになっている。

電動コンポーネント対応のフレームも各メーカーが取り揃えるようになった。もはや特別な存在ではなく、ロード乗りにとっては(予算があれば)普通に溶け込んだ電動コンポーネント。今回はシマノDi2の紹介とともに、その世界を今一度おさらいしてみよう。

Di2とは

初代Di2
▲初代Di2

2009年にデビューしたシマノ・デュラエースDi2。Di2とは「デジタル・インテグレイテッド・インテリジェンス」の略称。要となるのは、SIS(シマノ・インデックス・システム)を礎に、Di2コンセプトのもと開発されたコンピュータ制御による高精度なシフティングである。
そのSEIS(シマノ・エレクトロニック・インテリジェント・システム)と呼ばれる機構は、シフトスイッチからのライダーの意思を電気信号に変換し、鋭いレスポンスとともにディレイラーに伝える。そして前後ギヤの位置関係に応じて最適な動作を行ない、変速をコントロールすることが可能だ。

リアディレイラー変速イメージ。レバーフード下には「スイッチA」が装備されており、変速操作を割り当てることもできる。
▲ストローク動作はこんなにも違う

変速はレバーのスイッチを軽く押すだけの超ショートストローク。刻一刻と変化するコンディションやスピード、路面状況に応じて、ライダーは感じるがままに適切なギヤへとシフトチェンジが可能だ。レースの現場だけではなく、すべてのサイクリストが大きなアドバンテージを得ることができる。

リアディレイラー変速イメージ。レバーフード下には「スイッチA」が装備されており、変速操作を割り当てることもできる。
▲リアディレイラー変速イメージ。レバーフード下には「スイッチA」が装備されており、変速操作を割り当てることもできる。

2017年には第三世代となるR9150が発表され、着実に進化を遂げている。まずリアディレイラー。モーター部がスリム化し、材質の変更などもあり20gほど軽くなっている。形状はシャドータイプ(内側にオフセットした形状)となり、最大ローギアが30Tに対応。フロントディレイラーもロー側アジャストボルトがなくなり、軽量化が図られている。

また、2011年にはセカンドグレードとしてアルテグラDi2もリリース。こちらも2017年に第三世代となるR8050が発表され、デュラエースDi2のDNAを注入しながらも手頃な値段の電動コンポーネントとして人気を博している。

Di2のメリット

ここからは実際のアルテグラDi2ユーザーの声をもとに、リアルなメリット・デメリットを紹介していこう。

変速調整の簡単さ

変速のストレスフリーに加えて言うならば、調整の楽さが挙げられる。ショップで組み上げてもらった際、ディレイラーの初期調整をした後は、基本的に狂うことがない。機械式のように、時間経過でワイヤーが伸びてしまうなどのメンテナンスの頻度を大幅になくすことができる。ホイール交換などで再調整が必要な場合も、手順通り行えば数分で作業が完了するのは大きなメリットと言えるだろう。

ケーブル配置の自由度が高い

機械式のワイヤーの替わりにケーブルが繫がっているが、ワイヤーと比べて取り回しが簡単。急に曲げてしまうと引きが重くなってしまうワイヤーと異なり、いくら曲げても変速に影響が出ないという利点がある。特に最近のエアロロードは、空力のため無理なワイヤー配置を強いられることも少なくないため、電動コンポーネントを使うことで変速のロスをなくすことができる。

画像出典:GIANT
画像出典:GIANT

画像出典:GIANT
画像出典:GIANT

上がアルテグラDi2で組まれたバイク、下がワイヤー式アルテグラで組まれたバイク。ハンドル周りのケーブル量・曲がり方を見ると、その差がわかるだろう。

手の小さい人や力の弱い人でも安心

レバーのダウンサイジングと同時に、握力の弱い人でも容易に変速できるのもメリットだろう。機械式のレバーでは、ワイヤーを引っ張る必要があるため、どうしてもある程度の力を必要とする。特にフロント側をシフトアップする際はレバーを奥まで押しこむ必要があるため、手の小さい人や女性は苦労しがちだ。電動コンポーネントの場合はスイッチを指先で押すだけで済む。操作が楽になった結果、変速回数が増えるために適切なギヤを使うことが多くなり、走りのパフォーマンス向上にも繫がる

Di2のデメリット

デメリットを探すのは難しいが、あえて言うならば価格が高いこと。デュラエースDi2となれば新車が一台買えてしまうほどの価格となる。そのへんは悩みどころである。

また、当然と言えば当然だが、電動コンポーネントにはバッテリー切れという事態が起こりかねない。後述するがバッテリーの持ちは良い。ただし、うっかり充電忘れや長距離ライドに出かけた際に……という場合がある。
バッテリー切れとなったDi2の挙動は、最初にフロントの変速ができなくなる。アウターにある場合はアウターから、インナーにある場合はインナーから動かなくなり、しばらくの間リアだけは変速できる状態が続く。最終的に変速ができなくなり、シングルフリー状態となる。

Di2にまつわるQ&A

電動ならではの気になる疑問を一挙解決していこう。

バッテリーの持ちは?

シマノの公称では700km。実際はもっと保ち、1000km以上持ったという話も聞く。基本的には変速回数によって決まると言ってよい。
また内臓バッテリータイプであれば、携帯電話を充電するようなUSB式の大型のモバイルバッテリーからの充電も可能。ブルベや泊まりがけのロングライドでも安心だ。

雨でも平気なの? 洗車は?

電気で動作するので雨に弱そうなイメージがあるが、実際はまったく問題がない。大雨のレースでも使われているくらい防水性能が高い。
洗車に関しての注意点は次の3点。1,エレクトリックワイヤーがきちんと奥まで差し込まれていること。2,外装バッテリーは装着したまま、接続端子をむき出しにしないこと。3,高圧洗浄機を使わないこと。
以上を守れば水を使った洗車も可能だ。ただし、濡れた状態でのエレクトリックワイヤーの付け外しはしないよう注意しよう。

雨でも平気なの? 洗車は?

今使っているロードバイクに載せられる?

ほぼすべてのロードバイクに搭載可能
一部フレームにより装着できない場合があるが、現行のほぼすべてのロードバイクに搭載可能。互換性のある機械式変速システムが搭載されたロードバイクならば、載せ替えのための最小限のパーツでDi2システムにアップグレードできる。

実際の変速はどんな感じ?

非常にスムーズ。スイッチひとつで確実な変速を得られる。滑らかすぎて気づかないほどストレスフリーな変速だ。一度体験すれば、その虜となるだろう。また、後述するシンクロナイズド・シフティングにより、さらに効率的なシフト操作が可能だ。

メンテナンスの頻度は?

機械式と比べて断然少ない。Di2システムのエレクトリックワイヤーは変速の指示を電気信号で伝えるため、機械式ワイヤーのような伸びやほつれがなく、定期的な変速調整やワイヤー交換が不要。最小限のメンテナンスで、優れた変速性能をキープしたままライディングを楽しむことができる。

Di2機能紹介

ここからは、電動だから出来る素晴らしい機能の数々をご覧にいれよう。

シンクロナイズド・シフティング

シンクロナイズド・シフティング
シンクロモードではひとつのシフターで前後のディレイラーを制御することが可能。フロントディレイラーがリアディレイラーの位置を検知し、ベストなチェーンラインとなるよう、もっとも効率の良いギアに自動的にシフトする。これによりフロントシフティングやトリム操作が不要となり、ライディングへの集中力を高めることができる。
セミ・シンクロモードでは、フロントディレイラーの手動シフトに合わせて、リアディレイラーが自動的にリカバリー変速を行ない、急激なギア比の変化によるストレスを軽減する。

リモートスイッチ

リモートスイッチ

Di2システムでは、様々なライディングに応えるシフトスイッチを用意しているのも特徴的だ。基本となるデュアルコントロールレバーの他、トライアスロン用、DHバー用、サテライトシフトユニット、リモートスプリンターシフターがある。
上ハンドルで流しているいるときに便利なサテライトスイッチ、または下ハンドル時の変速を楽にするスプリンタースイッチなど、ブラケット以外を握っていても指を伸ばさず変速可能。

下ハンドル時の変速を楽にする「スプリンタースイッチ」。一度使うと病み付きになる便利さ。
▲下ハンドル時の変速を楽にする「スプリンタースイッチ」。一度使うと病み付きになる便利さ。

スマートフォンとの連携

スマートフォンとの連携
スマートフォンとE-TUBE PROJECTを同期させることで、多段変速設定やライダーの繊細な感覚に合わせた変速タイミングを設定できる。また、前後ディレイラーの変速スイッチや、シフトアップ、シフトダウンのスイッチを入れ替えて設定することも可能。さらに最新のファームウェアへのアップデートも簡単に行なえる。
連動させるにはワイヤレスユニットが必要となる。

パーツ紹介

デュラエースとアルテグラ双方のDi2を、各パーツとセット例を挙げて価格&重量とともに紹介していこう。

■デュラエースDi2

デュラエースDi2

R9150シリーズ・内装用セット(一例)

以下の内容をセットとしたときの例をあげる。

リアディレーラー/フロントディレーラー/STIデュアルコントロールレバー/ジャンクションA・B/ワイヤレスユニット/バッテリー内蔵タイプ/充電器

価格:220,582円(税抜)
※別途、車体に合わせた長さのエレクトリックワイヤーが必要

デュアルコントロールレバー

ST-R9150-R
▲ST-R9150-R

価格:67,522円(左右セット/税抜)
重量:230g(ペア)

ST-R9170-R
▲ST-R9170-R

価格:88,314円(油圧式ディスクブレーキ用・左右セット/税抜)
重量:360g(ペア)

フロントディレイラー

FD-R9150
▲FD-R9150

価格:40,362円(税抜)
重量:104g

リアディレイラー

RD-R9150
▲RD-R9150

価格:65,235円(税抜)
重量:204g

ジャンクションA

EW-RS910(内装タイプ)
▲EW-RS910(内装タイプ)

価格:11,151円(内装タイプ/税抜)
重量:11g

SM-EW90-A(外装タイプ)
▲SM-EW90-A(外装タイプ)

価格:10,597円〜11,967円(外装タイプ/税抜)
重量:10g

ジャンクションB

EW-JC200(2ポートジャンクション)
▲EW-JC200(2ポートジャンクション)

価格:1,961円(2ポート/税抜)
重量:N.A.

SM-JC40(4ポートジャンクション外装用)
▲SM-JC40(4ポートジャンクション外装用)

価格:2,958円(4ポートジャンクション外装用/税抜)
重量:8.6g

SM-JC41(4ポートジャンクション内装用)
▲SM-JC41(4ポートジャンクション内装用)

価格:2,958円(4ポートジャンクション内装用/税抜)
重量:4.1g

バッテリー

BT-DN110-A(ビルトインタイプ)
▲BT-DN110-A(ビルトインタイプ)

価格:15,172円(ビルトインタイプ/税抜)
重量:50g

SM-BTR1(外装タイプ)
価格:7,431円(外装タイプ/税抜)
重量:70g

バッテリーマウント

上からBM-DN100-S/BM-DN100-L/BM-DN100-I
▲上からBM-DN100-S/BM-DN100-L/BM-DN100-I

価格:10,676円~11,176円

バッテリーチャージャー

ビルトインバッテリー(BT-DN110)用、USB 充電ケーブル付属
▲SM-BCR2:ビルトインバッテリー(BT-DN110)用、USB 充電ケーブル付属

価格:10,378円(ビルトインバッテリー用/税抜)

価格:7,865円(外装バッテリー用/税抜)※電源ケーブル(ISMBCC13、768円)が別途必要

ワイヤレスユニット

EW-WU111A(ヘッドチューブ取付)
▲EW-WU111A(ヘッドチューブ取付)

価格:8,358円(ヘッドチューブ取付/税抜)
重量:N.A.

EW-WU101A(シートステー取付)
▲EW-WU101A(シートステー取付)

価格:8,362円(シートステー取付/税抜)
重量:N.A.

■アルテグラDi2

アルテグラDi2

R8050シリーズ・内装用セット

以下の内容をセットとしたときの例をあげる。

リアディレーラー/フロントディレーラー/STIデュアルコントロールレバー/ジャンクションA・B/ワイヤレスユニット/バッテリー/充電器

価格:129,903円(税抜)
※別途、車体に合わせた長さのエレクトリックワイヤーが必要。
 下記以外のパーツはデュラエースDi2と同。

デュアルコントロールレバー

ST-R8050-R
▲ST-R8050-R

価格:33,282円(左右セット/税抜)
重量:295g(ペア)

ST-R8070-R
▲ST-R8070-R

価格:54,964円(油圧式ディスクブレーキ用・左右セット/税抜)
重量:360g(ペア)

フロントディレイラー

FD-R8050
▲FD-R8050

価格:22,319円(税抜)
重量:132g

リアディレイラー

RD-R8050-GS
▲RD-R8050-GS

価格:26,246円(プーリーケージGS/税抜)
重量:249g

RD-R8050-SS
▲RD-R8050-SS

価格:26,839円(プーリーケージSS/税抜)
重量:242g

まとめると

革命と呼ばれたデュラエースDi2の登場から来年で早くも10年。自転車シーンにすっかり浸透した電動コンポーネントはいまだに進化をし続ける。今後も新たなアップデートを繰り広げるに違いない。そして普及もますます広がるだろう。その潮流に乗り遅れないように、あなたも導入を考えてみてはいかがだろうか? ユーザーフレンドリーなDi2システムは、必ずあなたの走りを変えてくれるはずだ。

Photos (C)SHIMANO

監修:Viking the Maintenance石橋
増渕俊之

WRITTEN BY増渕俊之

出版社勤務を経て、フリーランスの編集/ライター。編著に『これがデザイナーの道』『自転車ファンのためのiPhoneアプリガイド』『岡崎京子の仕事集』がある。現在、編集を手がけた岡崎京子の単行本『レアリティーズ』が発売中。

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