【2021年8月更新】こんにちは。サイクルメカニックの石橋です。
自分でチューブ交換ができるようになれば、通勤時やサイクリング中の急なパンクにも落ち着いて対処できますよね。しかし、「どのチューブを選べば良いか分からない!」という人も多いでしょう。
今回は自転車のチューブの基本と選び方、おすすめのチューブについて解説します。
目次
タイヤとチューブの構造
自転車のタイヤは内側にチューブを入れることで空気が入り、使用できる構造になっています。最近はチューブを使用しないチューブレスタイヤが登場していますが、まだまだ数は少なく、大部分がチューブを必要とするタイヤです。
自転車のチューブは、タイヤの中に入れるいわばゴム風船のようなものです。チューブに空気を入れ、膨らませることによって初めて走れるようになります。
また、自転車のタイヤには複数のサイズがあり、700Cや20インチなど、それに対応するチューブも同じくらい数が存在します。
選ぶ際のポイント
チューブ選びのポイントは「サイズと太さ」「バルブの形状」「リム高」の3点。これで選び間違いを極力防ぐことができます。
サイズと太さ
ほとんどのタイヤは、接地面の脇(タイヤサイド)にタイヤのサイズが書かれています。その内容と同じ表記がされているチューブを選べばよいのです。
画像を見ると、23-622と(700×23c)の2つの表記があり、どちらも同じサイズを指しています。23はタイヤの横幅を表します(23mm=2.3㎝)。622というのは、車輪(ホイール)の外径(mm)のサイズです。
700というのはタイヤの外径が約700mmという意味です。計測しているのが車輪とタイヤで別物のためこのような表記となりますが、622≒700と覚えてもらうと良いでしょう。
ロードバイクやクロスバイクでよく700cと呼ばれるサイズがこれに当たります。
実際の例として、こちらのチューブには700×18-28cという表記を確認できると思います。
18-28cとは、そのまま18cから28cまでの太さに対応しているという意味です。チューブは伸縮性があるため、タイヤに対してワンサイズではなく、その前後のタイヤサイズまで対応できるのものが多いのです。18/28も同じ意味です。
バルブの長さ
自分のタイヤと合致するチューブのサイズが見つかったら、空気口の長さ(バルブ長)も確認しましょう。
こちらの商品で言うと、40mmと表記されているのがバルブ長です。
チューブを選ぶ時は、車輪のリム高よりもバルブ長が長いタイプを選ばなくてはなりません。そうでなければ、空気が入れられないからです。
バルブの形状
チューブの空気口(バルブ)は、形状の違いとして主に仏式、米式、英式と分けることができます。
仏式
仏式はスポーツバイク全般で利用されているタイプです。ロードバイクをはじめ、細いタイヤは空気圧を高める必要があるため、高圧に対応する仏式を採用しています。
米式
オートバイや自動車にも用いられる空気口が米式です。空気口が太く、強度があるので、マウンテンバイクなどの太いタイヤに採用されています。
英式
ママチャリをはじめとしたシティサイクルにはほとんど英式が採用されています。日本人には一番なじみのある空気口ではないでしょうか。一方で、英式は海外メーカーが多いスポーツバイクにはほとんど見られません。「英式」と呼ばれますが、ほとんど日本で利用されているのです。
※一般的にそれぞれの空気口には、先端を保護するための黒いキャップが付いていますが、本記事の画像では便宜上省いています。
たいていのロードバイク用チューブには仏式が採用されていますが、中には米式、英式のものも存在するため注意が必要です。
チューブのゴム素材
チューブのゴムには、主に二つの素材が用いられています。
ブチル
1つ目に、主な原料に石油を使用し、化学合成で作られるブチルチューブがあります。8割以上のチューブはこのタイプのものです。
ラテックス
2つ目に、ラテックスと言われる天然ゴムを使用したラテックスチューブがあります。ラテックスチューブは化学合成で製造されるブチルチューブよりもコストが掛かり、中には価格が倍以上するものもありますが、強度がありちぎれにくいため、軽量化することができます。そのため、スポーツ自転車の軽量化カスタムやロードバイクのレース用チューブとしても使われています。
ブチルとラテックスは見ただけでは違いがわからないものがほとんどですが、中には違いがわかりやすいようにラテックスの方には黒以外の色を使用するなど工夫がされています。
おすすめのメーカーとチューブ
Continental(コンチネンタル)
自動車用タイヤでもおなじみ、ドイツ生まれのタイヤメーカーContinental。自転車向けのラインナップも豊富で、ロードバイク乗りにピッタリです。
Race28は価格が手頃なこともあり、定番のチューブとして有名です。
SCHWALBE(シュワルベ)
SCHWALBE(シュワルベ)はドイツのタイヤ、チューブメーカー。ラインナップが豊富で、仏、米、英式全てのタイプに対応しています。耐久性の面でも高い評価を得ているメーカーです。
ロングバルブはこちら
TIOGA(タイオガ)
TIOGAのチューブは他社よりも非常にリーズナブルな価格設定で人気です。私もこちらを使用しています。
ロングバルブはこちら
Vittoria(ヴィットリア)
VITTORIAはイタリアのタイヤ、チューブメーカーです。ロードバイク用を中心にラインナップされています。ロードバイク乗りには定番のチューブメーカーです。
ラテックスチューブはこちら
メカニックが伝授するチューブ交換の方法
適切なチューブを購入したら、パンク修理やタイヤ交換を自分でできるようにチューブ交換の方法も練習しておきましょう。これができるようになれば急にパンクした時も慌てずに対応できると思います。
- タイヤの空気を抜く(パンクしている場合は不要)
仏式の場合は、バルブの先端のネジを緩めてから押し込むと空気が抜ける仕組みです。
- 空気がすべて抜けたことを確認
空気がすべて抜けると、このようにホイールの中が見えるようになります。この時、チューブはタイヤの中に隠れている状態です。
- タイヤレバーを使いタイヤを外していく
タイヤを外すときはタイヤレバーを使います。てこの原理を使い、少しずつタイヤを外側にはがしていくようなイメージで外します。タイヤや車輪を傷つけないためにプラスティック製のタイヤレバーの使用をおすすめします。
- タイヤの片側をすべて外す
タイヤレバーを使い少しずつ外していくと、やがてタイヤの片側をすべて外せるようになります。
- チューブを取り出す
タイヤの外側が外れると、その間から簡単にチューブを取り出すことができます。
- 最後に空気口を取り出す
タイヤの片側からチューブを取り出したら、最後にバルブを車輪から取り出します。
ここからは、交換用のチューブをタイヤに入れていく作業です
- 交換するチューブに微量の空気を入れる
まず新しいチューブのバルブをセットする前に、チューブに微量の空気を入れます。チューブが入りやすくなります。空気入れを1、2回押す程度の量で構いません。
- タイヤ全体にチューブを入れる
タイヤ全体にチューブを入れていきます。この時にチューブがねじれて入ってしまうと、最終的に空気を入れたときにパンクや破裂の原因となるので注意が必要です。先程微量な空気を入れたのも、中でねじれないようにするためです。
- 車輪にタイヤをはめ込む
タイヤ全体にチューブを入れ終えたら、タイヤを車輪にはめ込んでいきます。タイヤと車輪の相性によって、はめるのに苦労するかもしれません。その際は無理せずショップに任せましょう。
- チューブの噛みこみをチェック
ひと通りタイヤが車輪にはまったら、タイヤの端にチューブが噛みこんでいないか、チューブが中でねじれていないか確認します。画像のように、タイヤをつかみリムの中を覗いてみて、チューブが隠れていたらOKです。もしタイヤが噛みこんでいたり、ねじれていたりすると、タイヤの中からチューブが飛び出して見えるはずです。その場合にはチューブを内側に入れ、ねじれていない状態にしましょう。
- 空気口の根元もチェック
- 空気を入れて完成
すべてのチェックが終了したら、空気を入れて完成です。
おわりに
ここまで解説してきた通り、選ぶ際にはサイズと太さ、バルブの長さ・形状、ゴムの素材といった点で選ぶとよいでしょう。
パンクしてからでは大変なので、あらかじめ準備しておくことをおすすめします。特に出先でのパンクは自走で帰れなくなってしまうおそれがあるため、交換用のチューブ、タイヤレバー、携帯用の空気入れは必携品だといえます。ツールボトルに入れてサイクリング時に持ち運べば、万が一の時に役立つでしょう。
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