【寝台列車輪行】香川県出身者がロードバイクで「讃岐うどん」巡りをしてきたよ(1日目)
ロードバイク乗りのみなさん。香川県で本場の讃岐うどんを食べてみたいと思いませんか。
東京在住のローディーからは「行ってみたいけど、関西はともかく首都圏から遠い」「行き方がよくわからない」「どこのうどん屋がうまいのかわからない」「水不足なのにうどん茹でるってマジ?」
なんて話をよく聞きます。
案外、香川なんてぴゅーと行けるもんです(水不足でもうどん茹でます)。
今回は、香川生まれ、香川育ちの私きこが、うどん好きローディーのみなさまのために、絶対に外さない讃岐うどんの名店を紹介しますよ。題して「きこのうどん紀行~ツールド讃岐うどん」。はじまりはじまり~。
目次
寝台列車「サンライズ瀬戸」で輪行
今回、香川までの移動手段として寝台列車の「サンライズ瀬戸(東京~高松)」を選びました。
ロード乗りが自転車旅行の輪行で重視する大まかなポイントは
- 初日早朝に出発できるか
- 自転車が安全に、そして他人に迷惑をかけずに運べるか
- 駅から目的地のアクセスが良いか
だと思ってます。
宿泊費のことを考えると、前日入りよりは当日早朝入りできるのがベストですよね。
香川の美味しいうどん屋さんは、だいたい午前~14時過ぎで閉店してしまうので、早朝現地入りはマスト。
寝台列車であれば、「アクセスの良い駅に早朝に着く」「自転車は目の届くところに置ける」「個室でリラックスして過ごせる」と、自転車乗りにとってメリットだらけです。
今回利用したのは「シングル」のお部屋。
ベッド横に自転車がすっぽり収まるスペースがあります。枕、ゆかた、紙コップ、ハンガーも常備で、想像以上に広く快適。
「わーい、シーツ気持ちいい」
「寝心地も最高~」
初めての寝台列車に大はしゃぎしてしまったため、横浜を過ぎたあたりで就寝。スヤァ。
寝返りすると腕や脇腹にスプロケットが刺さりますが、愛車と近くで眠れる幸せ。チェーンオイルの匂いさえ愛おしいくらいです。
何より、誰にも迷惑をかけず、盗難や破損の心配をしなくて済むのがうれしい。最近は新幹線輪行の風当たりが強いですしね。
着替えも堂々とでき、シャワーも利用可能。寝台列車、サイクリストに優しい。
なお、サンライズ瀬戸は電話予約か窓口予約のみ。ネット予約は不可。
車内設備は、トイレ、フリースペース、洗面台、自動販売機あり。一晩過ごすのに不自由はありません。
AM8:00 香川県坂出駅に到着
今回巡るうどん屋は、香川の西側、いわゆる「西讃エリア」の名店です。
高松は東側「東讃エリア」なので、その一駅手前の瀬戸大橋を渡ってすぐの「坂出駅」で降ります。
今回は1時間遅れましたが、本来は7時の到着予定です。
私の実家は西側の善通寺なので宿泊地は善通寺になりますが、遠方からくる人で西に宿泊したいなら「琴平」に宿をとるのがいいかもしれません(ちょっとお高めですが)。
観光地で宿泊施設も多く、温泉もあり。JRも私鉄ことでん(高松琴平電気鉄道)もあるので、いざとなれば輪行して高松や、高知、愛媛にも行けるからです。
さて、駅のコンビニで飲み物を買い、ボトルに入れて出発です。
朝ごはんはうどん屋で食べましょうね~。
1軒目:朝うどん「蒲生(がもう)うどん」
20分ほど走って、田園風景の中にある「蒲生(がもう)うどん」に到着。朝9時前にも関わらず、すでに地元の人たちで賑わっています。
さて、香川のうどん屋は店によって注文システムが違います。各店舗それぞれのオーダー方法も紹介しましょう。
注文の仕方
1.麺の熱さを伝える。「ぬくいん(あつい)」「冷たい」「釜あげ」の3種。
※ぬくい=讃岐弁で「暖かい」「熱い」のこと
2.麺の量を伝える。小(1玉)、大(2玉)、特大(3玉)。中はありませんので注意。
ぶっきらぼうに「ぬくいん(あついの)、大」「つめたいの、小」と言うだけでOK。
3.うどん入りのどんぶりを受け取って先に進み、天ぷらや練り物などトッピングをお好みでうどんにのっけます。
4.トッピングとうどんを見せてお会計。
5.ダシ(熱いのと冷たいのがある)やネギ、生姜など薬味を自分でかける。
あとは好きな席でどうぞ。うどん用の醤油なんかもあります。セルフ店なんで、麺さえ受け取れば、あとは好きに何でもかければいいんです。
外で食べてもいいですよ。立ったまま「ぞぞー」とうどんをすすってもいいんです。
地元のおじさんなんかは「ずばっ!ずばっ!」と豪快に音を立てて吸引機のように食べます。
お行儀?うどんは音を立てて食べるのがマナーですから!
かけうどん(ぬくいん)に、がもう名物のお揚げをトッピングしました。このでっかいお揚げが甘くて、うどんの出汁と絡めると絶妙な甘じょっぱさになるんですよね。お揚げに出汁をたっぷり含ませて「じゅるじゅるっ」といただくのが最っ高にうまい!
讃岐うどんは歯で噛むものじゃなくて、喉で食べるもの。
「ぞぞー」とすすって「ひゅーん」と胃に落ちていく。これがうまいうどん屋の条件だったりします。がもうはその条件をまったく外しません。
朝うどん、250円。
がもうは、小150円、大250円、特大350円。トッピングはだいたい100円前後ですが、製麺所やセルフタイプのうどん屋の相場はだいたいこれくらいでしょう。
地蔵にすらうどんを食わそうとする香川県民。その名も麺喰地蔵。 「今日も1日美味しい饂飩が食べられますように」”
うどん屋タイプ:製麺所
2軒目:補給で「山下うどん」
さて、朝ごはんのうどんも済んだことだし、うどんでも食べますか。
2軒目は蒲生うどんから1km足らずのところにある「山下うどん」です。
注文の仕方
1〜3は蒲生うどんと同じですが、会計のタイミングだけ違います。
1.麺の熱さを伝える。
2.麺の量を伝える。小(1玉)、大(2玉)、特大(3玉)。
3.トッピングをのっける
4.出汁(あついの、つめたいの)を自分でかける。
5.会計。自己申告制なので、何を食べたか覚えておいてね。
冷たいうどんに、あつい出汁(ひやあつ、という)、生卵をトッピングしてみました。
冷たい麺はのどごしさっぱりなんですよね。いりこが効いた出汁に、卵の黄身を馴染ませると、スルスルっと喉に落ちていきます。
糖質に加えて、たんぱく質の補給も完璧。
香川の補給はうどん屋に限るなぁ。コンビニの数よりうどん屋の数の方が多いですからね。
補給うどん:200円
うどん屋タイプ:セルフ
3軒目:補給で「山越うどん」
さて、続いては超人気店の「山越うどん」へ。
ここは昼時はかなりの行列ができるので、混雑前にはたどり着きたいところ。山あいの道を踏んで駆け抜け、11時頃に到着です。
スーパーファーストフードうどんは行列が出来ていても意外と早く順番が回ってきます。
注文の仕方
1.うどんのメニュー名をカウンターで伝えると、ほぼ完成に近いうどんが出てきます。
2.トッピングをのっけます。
3.お会計。
4.薬味や醤油の追加などは、お会計場所からさらに進んだ通路で。
山越といえば、釜玉うどん発祥の地なんですよね。釜玉うどんって実は歴史的には割と新しくて、私が小学生の頃にはまだありませんでした。
釜玉にやまかけがプラスされた「かまたまやま」も非常に魅力的で悩みましたよ。
釜あげうどんは、思いっきりぐちゃぐちゃーとかき混ぜていただくのが正義。
「ちゅるりん、ずっずー」
…うまっ!
釜あげしたあっつあつのうどん。うどんの表面はとろりとした白い膜。そこに絡まる卵。噛むともっちり。いりこの深くて濃ゆ〜い出汁。相変わらず電撃が走るほどのうまさ。
そうだ。かつて地元で「日常的に食べる当たり前のもの」だったうどんを「うまい食べ物」として教えてくれたのが、山越うどんでした。あの時の感動と今も変わらずです。
補給うどん:250円
うどん屋タイプ:セルフ
午後に入り、気温は36℃に。
名店うどんタイムのリミットも近い。製麺所、セルフ系のうどん屋は午後のうどんが切れたら閉店してしまうところが多いのです。
気温はすでに36℃。山越での炎天下の待ち時間が想像以上にこたえたので、コンビニで体を冷やすことに。
さてさて、体温が落ち着いたところで琴平まで移動ですよ。
4軒目:お昼ごはん「こんぴらうどん」
昼時になると、補給をしていてもなぜか腹が減るのがサイクリング。さあ、お昼ご飯はうどんにしましょう。
お昼はちょっと豪華に、金刀比羅宮の表参道にある由緒正しい老舗「こんぴらうどん」で。
補給時は胃もたれ防止のために油ものを避けていましたが、お昼時はさすがに天ぷらのトッピングが欲しい。ということで、ちくわ天うどんにしました。
セルフ系のうどん屋の作り置きの天ぷらも家庭的な味で美味しいのですが、ここは注文してから天ぷらを揚げてくれます。
サクッ、サクッ!
こ、これ本当にちくわなの?というくらい天ぷらがサクサクで香ばしい。天かすも同じサックサクの歯ごたえです。
うどんの角はきれいに立っていて美しい。出汁の色は濃いけど甘めで、琴平、善通寺のお店は濃い出汁の色のお店が多い気がします。
注文の仕方
店員さんがオーダーをとり、うどんを運んでくれます。食べ終わったら伝票をもってお会計。座りっぱなしでOK。特にすることはありません。
お昼うどん:590円
うどん屋タイプ:一般店
入り口では、うどん片手の恵比寿様がお出迎えしてくれますよ。神様にもうどんを食べさせるのがうどん県民。
うどんや醤油他、こんなうどん柄の手ぬぐいも。かわいい。お土産に購入。
向かいに、おいり横丁なるソフトクリーム屋がありました。お、あれはもしや今instagramで人気らしい香川の祝い菓子「おいり」を使ったソフトクリームでは。
カロリーがほとんどない希少糖を使ったソフトクリーム~。ローディー的にはカロリーはあってもいいけどね!
香川県最後のミステリー「うどんタクシー」
琴平に来たもうひとつの目的は「うどんタクシー」(FRAME編集長の命令)。
「香川にはうどんタクシーがある」と言うと誰も信じてくれないんだけど、本当にあるんですよ…。「絶対に誰にも言わない」と約束すれば、ガイドブックにも載っていない、讃岐さいごの穴場と呼ばれるうどん屋に連れて行ってくれます。これぞ、うどんミステリー。#きこの自転車うどん紀行 pic.twitter.com/mMYokAsbib
— FRAME-フレイム (@frame_bike) August 23, 2017
街中で見かけるかな?と思っていたのですが、平日のせいかまったく見かけません。思い切って運営会社の「琴平バス」の営業所まで行ってみることにしました。
営業所に着き、事務所の窓をコツコツと叩いて「すみませーん」と声をかけてみます。
汗だくでピチピチ、暑さと日焼けで顔が真っ赤の私は明らかに不審者。
ところが、事務所の女性のひとりが最近ロードバイクに乗り始めたとかで、私の姿を見るやいなや「ロードバイク乗るんですね!私もGIANT Livに乗っています」と、笑顔。快くうどんタクシーの撮影に協力してくれることになりました。
女性「ロードバイク、何でかわからないけど、楽しいですよね」
きこ「そうなんですよね。わからないけど、楽しいですね!」
普段は普通のタクシーで、予約が入ったときに行灯をうどんにつけかえて運行するそうです。着脱式だったとは…。
「うどんタクシー」運営の琴平バスは、酒蔵を巡る「酒タクシー」も始めたそうですよ!うどんの行灯を酒瓶に変えてGo? 讃岐の酒蔵「金陵」はじめ、3つの酒蔵で試飲が楽しめます!酒豪サイクリストは、朝はうどんサイクリング、夜は宿から酒タクで決まりだね✨#きこの自転車うどん紀行 pic.twitter.com/RunVN3Wkka
— FRAME-フレイム (@frame_bike) August 24, 2017
酒タクシーも最近できたらしい。
ついでに岡山のサイクリングロードも教えてもらい、しばしの間、ロードバイク談義に花が咲きます。うんうん、こういう出会いこそが旅の醍醐味ですよね。
「サイクルトレイン」もある琴電
香川県の私鉄「ことでん(高松琴平電気鉄道)」は、自転車をそのまま車内に持ち込めるサイクルトレインを実施しているという情報を入手しました。
トレインは土日のみ、瓦町〜志度。今回のエリアは対応していなかったのですが、香川の東側を回るときは利用してみたいですね。
ことでんは、のどかな田園風景をことんことんと走る風情のある汽車ですよ。
本日は、琴平駅のことでんを見に行きます。鉄道ファンの間では根強い人気があるらしく、この日も撮影している人がちらほらといました。
イルカにすらうどんを食べさせようとする香川県。
参照リンク:高松琴平電気鉄道株式会社|志度線 サイクルトレイン運行について
ツールド讃岐うどん1日目の予定はすべて終了。あとは実家に帰るだけです。
実家到着。
盗難対策として、納屋に入れて鍵をかけましょうね。地球ロックとして手頃なものがトラクターしかなかったので、トラクターに繋いでおきましょう。
これで「お、ええ自転車があるやないか」と言って勝手に畑に乗っていきかねない父からの盗難が防げます。
ツールド讃岐うどん1日目所感
初めてのグルメハシゴ旅ということで、いくつか気づきや反省点もありました。
うどん屋toうどん屋の距離がやや短かった
うどんを最大限に美味しく味わうためには、空腹であることが一番。お腹いっぱいなのにうどんをハシゴして食べても、そもそも美味しく食べられるわけがないです。
サイクリングの利点である「消費カロリーが大きい」点を活かし、車移動では食えない量のうどんを食う!という企画でしたが、それにしても走行距離、つまり空腹感がちょっと足りなかったなぁと思います。
「腹が減る前の補給」として考えると、これでちょうどいいんですけどね。
うどん屋同士の距離が15km~20km以上は欲しいですね。
今回のルートは一応置いておきますので(琴平ゴールにしてあるのでやや短めですが)、胃袋に自信のある方、そもそもそんなに走りたくないんだが?という方は参考にどうぞ。男性ならもう1,2件はいけるんじゃないかなと思います。
消費カロリー1500kcal(ガーミンデータ参照)
摂取カロリー内訳
うどん4杯x270kcal
天ぷら100kcal
おあげ50kcal
卵2個x100kcal
ソフトクリーム220kcal
合計消費カロリー1650kcal
理論上のカロリー計算だとややオーバー気味ですが、補給としては良い感じです。
塩分摂取は十分
ドリンクはポカリスウェットと水。一応バータイプの補給食も持ってはいましたが食べなかったので、摂取した補給はほぼうどんでした。
気温36℃の中かなり大量の汗をかき、塩分補給も大切ではあったのですが、塩タブレット等まったく不要でした。
ただ、次の日の朝は手足がパンパンに浮腫んだので、どちらかというと塩分過剰だったかもしれません。まあ、たまにはこういうのも、ね。
自転車に優しい車が多い
どの道も広くて信号が少なく快適だったのですが、どうしても国道は外せなかったのと、田舎は国道といえど狭い道はやはりあります。
追い越してく車が車間距離をかなり大きくとってくれました。ロードに乗っててもものすごく気を使ってくれているのがわかるほどです。
平日昼間の時間帯でそもそも車が少なかったから、というのもあるかもしれませんけど、非常に快適なライドでした。
1日目は以上です。
帰宅してから、両親に「どこのうどん屋がうまい?」と聞くと「あそこがうまい」「いやあそこはまずい」「それよりもあっちが」「なにいうとんや!!」とうどん戦争勃発。どうも禁断の質問だったようです。
名店である一定以上の評判があれば、あとは好みなのかもしれないですね。香川を旅したみなさまには、自分のお気に入りのうどん店を見つけてほしいと思います。
こちらはアプリReliveで作成した本日のルート動画。
ツールドうどん紀行2日目に続きます。
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WRITTEN BYニシハタ キコ
ミニベロを買った2週間後にロードバイクを買い、どハマりしたロード初心者。経験者によく騙されてハードなライドをして泣く。得意なこと、水浴び。斜度8%越えの坂を登ると心が無になる。 http://cyclestreet.hatenablog.com/