スマホの功罪は使う人次第!スマートフォンのスマートな活用法

自転車とスマホ、どちらも生活に欠かせないアイテムですよね。
先日、FRAME編集部はTwitterでみなさんにこんなアンケートをとらせていただきました。


ご回答いただいたみなさん、ありがとうございました。
このアンケートを受けての、日本で一番自転車乗りの権利を考える内海事務局長の見解はこちらです。

自転車とスマホの相性はいい

 動画を観たり、漫画を読んだり、LINEで連絡を取り合ったり。
子ども達を見ていると見事なまでにスマホを使いこなしている。長く使っている我々が知らない使い方さえ、見よう見まねで覚えて披露してくれる。
習うより慣れろとは良く言ったもので、小さい頃からスマホが身近にあった彼らに機械アレルギーはまったくない。まるで別の生き物のように親指が動いて文字を打ち込む神技は逆立ちしたって真似できないけれども、スマホは我々の生活に欠かせない存在となった。

子供の適応力には恐れ入る
子供の適応力には恐れ入る

筆者が春に訪れた中国は日本以上のスマホ大国で、彼らは買い物からシェアサイクルまで何でもスマホで支払いを済ませる。とりわけ若い人達は財布すら持ち歩かないのではないかと思うほどだ。
iPhoneのシェアは日本ほど高くないが、この小さく賢い文明の利器を使いこなすリテラシーレベルは日本より高いかもしれない。
スマホはなくてはならないものに
中国でもスマホはなくてはならないものに

 スマホの登場以前と以降では確実にライフスタイルが変容した。結論から言えば自転車とスマホは抜群に相性が良い
アンケートでも自転車のあるシーンで活用している人が多いことが分かった。走行中に画面を凝視すると注意散漫になるから避けなければいけないが、停車中に操作すれば大丈夫。
うまく使えば、この上なく便利な相棒になる。自転車とスマホの関係について、何がアリで何がダメなのか。改めて確認していこう。

ナビ端末としての利用が圧倒的

自転車乗車中のスマホ利用法として、ルートナビゲーションを挙げた人が6割もいたのには驚いた。
かつてはガーミンに代表される高級サイクルコンピュータのナビ機能に存在感があり、獲得標高や走行ログが取れるからと上級者達の人気を独占してきたが、ここにきてスマホのナビも意外に使えると評価が高まってきた。「走行中は一切画面を見ません!」という方が多くて安心したが、利用法でナビを挙げた方は本来の道案内よりも走行ログの記録用に使っているケースが多いと思われる。

ナビゲーション画面
ナビ機能よりもログ記録用?

 スマホの素晴らしいところはアプリに不具合があってもアップデートで速やかに改善されることだ。残念ながら、サイクルコンピュータのファームウェアアップデートはスマホアプリほど頻繁ではない。スマホで表示できるデータも徐々に増えている。心拍数も筆者の嫌いな胸バンドではなく手首などから検出できるようになっており、サイクルコンピュータでしか取れないデータが将来無くなるのは間違いない。
いずれ完全に役目を譲り渡す時期が来るはずだ。クルマ用ナビと違って画面サイズも今より大きくなることはないだろう。スマホ1台で何役もこなすこととなり存在感は上がる一方で、万が一紛失したり壊したりしたら大変なことになる。
また現時点ではGPSを追尾させると電池の消耗が激しいので、肝心な時に充電が切れて使えなくなると困る。積極的に使った方が良いのか、なるべく使わず温存した方が良いのか悩ましいが、もはやスマホの無い時代へ逆戻りはできない。ワイヤレス充電も確かに便利だが、むしろ飛躍的な電池の性能アップに期待したい。

    ◎:音声によるルートガイダンスや走行ログを取る目的であればスマホのナビ利用はアリ。

検索利用が二番目に来るのか

 スマホが素晴らしいのはナビ機能だけに終始しないことだ。とりわけ最新スマホは恐るべきスペックのCPUや画像処理チップを搭載しており、一昔前なら大型コンピュータでも大変だった作業を一瞬でこなしてしまうほど。
写真を撮ってインスタに上げたり、簡易ドライブレコーダーとして映像を撮ったりすることもスマホがあれば朝飯前だ。もちろんキーワードを入力すれば、美味しいお店や絶景ポイントなどをサッと調べて提示してくれる。
グルメライドという言葉があるように、自転車に乗る楽しみのひとつは様々な美味しい食べ物を仲間と一緒に味わうことだが、地図と現在地の関係もスマホを見れば一目瞭然。インターネットにつながれば、どこにいても瞬時に目的の情報にたどり着ける安心感がナビ専用機とは比べ物にならない
昔、筆者が子どもの頃に雪山へ向かうバスの中で「今、どの辺りを走っているのか分かれば良いのに」と願ったものだが、今では誰でも簡単に分かるようになった。長生きはするものである。

グルメライドも楽しい
ナビを使ってのグルメライドも楽しい

 赤信号待ちのタイミングでササっと検索しても法的に違反ではないが、操作に集中すると周囲に迷惑を掛けてしまうことがあるので、調べ物は安全な場所で焦らずやってもらいたい。

    ◎:美しい写真を撮ったり、美味しいお店の情報を調べたり。安全な場所で止まって操作する分には問題ないのでアリ。

音楽鑑賞が三番目の利用法

 これについては賛否あるだろうが、私は条件付きで認めたい。素晴らしい景色があれば音楽なんてなくても一向に構わないという方々がいるのは承知の上だが、毎日ほぼ同じルートを走るツーキニストとしては音楽があった方が楽しい。
ただし、外界の音を遮断するノイズキャンセラータイプのイヤホンはダメ。耳を完全に塞ぐと音楽に集中できるし音も素晴らしく良いのだが、緊急車両の接近や警音器など必要な音の情報までカットしてしまう。

耳を完全にふさいでしまうのはNG
耳を完全にふさいでしまうのはNG

イヤホンで思い出すのが2年前の道交法改正でイヤホンをしたまま自転車に乗った場合に捕まるか、捕まらないかで東京警視庁と神奈川県警の見解が違うと騒いだこと。
片耳ならオッケイではとか、塞いでいても聞こえていれば大丈夫なのでは、など様々な憶測が出ては消えた。実際に捕まるか、捕まらないかで言えば現場の警察官判断になるので相変わらずグレーだが、つまらないことでリスクテイクするのは意味がない。
基本的に耳を塞がない状態で音楽以外の音情報を遮断せず、外界の音が常に聞こえている必要がある。音楽を鑑賞する環境としては雑音が多くなり純粋に楽しめないと言えば確かにそうだが、車両の運転をする上では安全が第一優先になるのは仕方がない
クルマの場合でもカーステレオの音が大きすぎて周囲の音が聞こえない状態で走るのは違反なのと同じ。ワイヤレス接続するポータブルスピーカーや骨伝導タイプのヘッドホンがあれば、風の音や周囲の雑音も入って来るけれども確実に音楽を聴きながら走ることができるし、お気に入りの曲が流れると疲れていてもペダルをこぐ脚が軽くなる気がする。雑音が入って来ても十分に楽しめるのだ。

    △:耳を塞いで音楽を聴くのはダメ。ワイヤレススピーカーや骨伝導ヘッドホンを使おう。

様々な記録媒体としても

 ストラバのアプリなど走行ログの蓄積でトレーニングに利用している方もおられるし、同じ場所で写真を撮り続けている方もいる。筆者の友人はiPhoneに360°撮影できるカメラを取り付けて定点観測しているが、街の移り変わりを撮影しておくと後で思い出す時に便利だ。
CPUの進化もさることながら、メモリの価格破壊が凄まじく、友人が言うにはマイクロSDに放り込んでおけば撮りためておくことができるから、メモリカードを何枚も買って持っているそうだ。10年前なら1GBで1万円ほどした記憶があるが、最近では128GBでも7千円以内で買える。
写真や動画はメモリを食うのでスマホ本体には積極的に保存できないが、外付けメモリが使えれば気軽に保存しておける。消費者にとっては良い時代になった。
 またカメラの性能が素晴らしく進化している。デジカメ黎明期を知っているだけに感慨深いものがあるが、スマホのカメラがこれほど短期間で劇的に進化すると思わなかった。ポータブルなデジカメのことをコンパクトデジタルカメラ略してコンデジと呼ぶが、最近のスマホは防水だし画像もキレイでコンデジと遜色ない。
メーカー達は一所懸命に差別化を図っているものの、わざわざスマホと別に携帯するほどの必要性を感じない。それどころか大きな一眼レフの高級機すら出番が減っているに違いない。

カメラ好きの人以外はスマホで十分なのかも
カメラ好きの人以外はスマホで十分なのかも

もちろんプロカメラマンにはレンズ交換ができるデジカメが必需品だが一般人はスマホで十分だし、自転車で出掛ける際に荷物は少ない方がいい。素晴らしい景色をバックにマイ自転車を撮影しようと思った時にもスマホが1台あればいい。最近では逆光でも素晴らしい写真が撮れる。

    ◎:様々な記録媒体としてもスマホは真価を発揮する。これも安全な場所で止まって操作する分には問題ないのでアリ。

では一体何がダメなのか

 自転車とスマホは相性がいいと冒頭で申し上げたが、絶対にやってはいけないことがある。それは走行中にスマホを見ながら運転することだ。
アンケートに回答してくれたのはスポーツバイク乗りの皆さんだと思われるので意識が高いけれども、世の中にはスマホを見ながら運転している輩が少なからずいる。なぜ、そこまでして常時スマホをチェックしなくてはならないのか皆目見当がつかないのだが、とにかく画面を凝視しているから安全確認がおろそかになっており、同じ片手運転の傘さし運転より始末に負えない。
全身全霊を集中してとは言わないが、不意に脇道から子どもが飛び出して来ることだってあるし、急な操作が必要になることもある。周囲の確認ができていないと最低限の安全さえ担保されないから、自転車であっても車両を運転しているという意識を持ってもらいたい。

救急車や担架のお世話にはなりたくないものだ
救急車や担架のお世話にはなりたくないものだ

うまく付き合えば頼もしい相棒になってくれるスマホだが、使い方を間違えて画面に集中してしまうと前方不注意などで事故の原因になるので、安全な場所で止まって使ってほしい。楽しいはずの自転車が地獄の入口になるのは何としても避けたい

    ×:スマホの画面を見ながら走るのは危険なので絶対にダメ!イヤホン+スマホ凝視+逆走で地獄へまっしぐら。

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WRITTEN BY内海潤

NPO法人 自転車活用推進研究会 事務局長 東京サイクルデザイン専門学校の非常勤講師として次世代の自転車人を育てる一方、イベントや講演会などを通じて自転車の楽しさや正しい活用を訴える活動を続けている。テレビへの出演多数。共著書に「これが男の痩せ方だ!」「移動貧困社会からの脱却」がある。別名「日本で一番自転車乗りの権利を考えている*事務局長」(*FRAME編集部見解)

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