欧米ではもはや常識!Wahoo(ワフー)のサイコン「ELEMNT(エレメント)」がスゴイ
date : 2017.10.06 update : 2017.10.11

業界トップのガーミンEdgeを猛追するWahoo ELEMNT(ワフー エレメント)

ライドの記録や、ルートのナビゲーションなどをしてくれるサイクルコンピューター、略してサイコン。ナビ機能がついたものはガーミンのEdge(エッジ)シリーズが長らく圧倒的なシェアを誇ってきましたが、次第に各社からライバルが出てきています。

特にこの1年ほど、こちらイギリスやヨーロッパのロードサイクリストの間で急速にシェアを伸ばしているのが2015年にデビューしたWahoo(ワフー)のELEMNT(エレメント)です。

最近のファームウェアアップデートで機能がガーミンEdge800や1000シリーズに追いつきつつあり、お値段がかなり下回っているからです(
ワフーエレメントは税別3万9800円、Edge820Jは4万9800円、Edge1000Jは現在6万9800円)。使いやすいと推す声も大きいので、わたしも長年愛用していたガーミンEdge800からWahoo ELEMNT(ワフー エレメント)に乗り換えたばかり。

Garminと比較

Garminと比較


▲Garmin Edge 800(左)とWahoo ELEMNTはだいたい同じ大きさ。重量もそれぞれ98gと103gで近い。ELEMNTのモニタは白黒で、液晶画面の左と上に一列ずつLEDが並んでいて、進行方向や心拍ゾーンなどの表示に使える。Wahooはタッチパネルではなく、合計6つのボタンと専用スマホアプリから操作する。充電はMicro USBで、本体裏面に接続する。

▲ELEMNTをバイクに固定するマウントはアウトフロント、タイラップ固定用、TTバー用の3つが同梱されている。でも、ガーミンのマウントを90°回転させ、少しだけ切り欠きを削るとELEMNTもつけられるようになる裏技も。

▲ELEMNTをバイクに固定するマウントはアウトフロント、タイラップ固定用、TTバー用の3つが同梱されている。でも、ガーミンのマウントを90°回転させ、少しだけ切り欠きを削るとELEMNTもつけられるようになる裏技も。

Wahoo ELEMNT(ワフー エレメント)は設計思想がガーミンEdgeとかなり違う

Wahoo ELEMNT(ワフー エレメント)は大きさではEdgeの800シリーズとだいたい同じ大きさと重さです。ただし液晶は白黒。画面はタッチスクリーンではなく、操作はすべて左右と画面下にある合計6つの物理ボタンで行います。

興味深いのは、エレメントでは設定のほとんどをスマートホン(iPhone、Android)の専用アプリから行うこと。エレメントの電源を最初に入れるとすぐに画面にバーンと表示されるバーコードをスマホのカメラで読み込むと、それだけでペアリング設定が完了。以降、エレメントとスマホはBluetoothで同期していきます。

表示言語は日本語もOK(時々変な翻訳があるけれどそこはご愛嬌ということで…)。本体右の上下ボタンを押すと、スピードや距離、心拍数、斜度などのデータをいくつ表示するかが変えられるのはシンプルにしてかなり気の利いた機能です。ここに表示するデータは、スマホアプリでの設定でこと細かに設定できます。

データ画面:2アイテムだけと8アイテムくらいの横並び

データ画面:2アイテムだけと8アイテムくらいの横並び


▲ELEMNTで使いやすいことのひとつが、表示データ数を本体脇のボタンで簡単に変えられること。見たいデータだけを大きな数字で表示させられるので、走行中に便利。写真でモニタ左側に3つ光っているLEDは心拍数ゾーン。ゾーンが上がると黄色から赤になるとともに、光るLED数が棒グラフのように伸びていく。

ここでSTARTボタンを押してさっそく走り出せば、走り終わったところで.fitファイルを取り出せます。が、エレメントのおいしいところは、Strava(ストラヴァ)など、メジャーな自転車系Webサービスとリンクさせるとさらに使いやすくなるところにあります。

Stravaを使っている人は多いと思いますが、ここにリンクさせておくと、走り終わった後に自動的に、あるいはクリックひとつでスマホを経由、あるいはWi-Fi経由でライドをアップロードすることができます。KOM/QOMハンターの皆さんには、Stravaのライブセグメントが使えることも大きなポイントでしょう。

ELEMNT(エレメント)、ここがいい!

ルート作り地図サービスとの連携がWi-Fi経由でカンタン

わたしが「コレはイイ!」と小さく震えたのは、ルート作り地図Webサービス、RidewithGPS(ライドウィズGPS)との連携機能です。RidewithGPSはルートラボと似ていてさらに機能が高く、世界中をカバーしていることから英語圏でメジャーで、日本でもユーザーが増えてきています。このサイトでルートを作成しておけば、エレメントがWi-Fi経由、あるいはスマホ経由でそのルートを同期して取り込んでくれるので、出先でもすぐにルートを選んでナビを開始できるのです。これは便利。

Ridewith..からライドを選択の画面

Ridewith..からライドを選択の画面


▲ナビゲーションに使うライドデータファイルはGPX, TCX, FITに対応。StravaやRidewithGPSなどのアカウントにリンクさせておけば、そこに貯めてあるルーツを直接利用できる。メール添付で取り寄せたデータファイルなども、スマホがあれば出先でELEMNTに入れて使える。

ルートはこの他にもStravaの有料コースPremiumアカウントなど、いくつものwebサービスから落とすこともできます。クラウドストレージのDropbox(ドロップボックス)にあるルートファイルや、メール添付のルートファイルもELEMNTに入れてすぐに使うことができます。

スマホアプリ画面

スマホアプリ画面


▲機能の多いスマホ連携アプリの画面から2枚だけ。左はライド後のデータを表示させているところ。これを見てからStravaなどのサイトにクリックひとつでアップロードできる(自動アップロードも設定可)。右はライド中にこのアプリで目的地とルートを検索したところ。右上の「SELECT」をクリックすると、このルートがELEMNTにインストールされ、ナビゲーションを開始できる。

光が曲がる方向をお知らせしてくれるナビ機能

ELEMNTのナビ機能は、必要にして十分というところ。白黒画面で地図は見やすいだろうかと心配しましたが、解像度は高いのでけっこう大丈夫。曲がるポイントが近づくとチッチリッと控えめな音がして、ポイントまでの距離、コマ図の矢印と道の名前が出てきます。

ポイントに差し掛かると、画面の上のLEDが曲がるべき方向に流れるように点滅してくれるのが、ELEMNTならでは。画面の内容を読まなくても、LEDの点滅なら視野の片隅でとらえることができて大きなボーナスポイントです。ちなみにコースを外れるとこのLEDが赤く点滅します。

ナビ中の地図画像 LEDを光らせたところ

ナビ中の地図画像 LEDを光らせたところ


▲地味にかなり便利なのが、曲がるときに進行方向を光ってお知らせしてくれるLED。地図やコマ図を凝視しなくても、目の端で確認することができる。写真は、右方向に流れるように動くLEDを一瞬捉えたところ。

ナビ中のコマ図

ナビ中のコマ図


▲ナビ情報はコマ図でなく、このようなキューシート式でも表せられる。

他にも便利な機能満載のELEMNT(エレメント)

他にも機能があまりに盛り沢山なので駆け足で行きますよ!

電池の持ちがいい

気になる電池の持ちですが、カタログ値の17時間というのはハッタリではなさそうな印象です。残量85%からナビを使って5時間半つけっぱなしにした後に55%だったので、30%使ったことになり、このままリニアに落ちていけば、たしかにそのくらいになりそう。ちなみに、機能はほぼ同じながら一回り小さい兄弟機のELEMNT BOLT(エレメント ボルト)は駆動時間は15時間ということになっています。

急な目的地変更も簡単

ナビ周りでは、出先で予定していなかった場所に行きたくなったときは、Google Mapを使っているスマホの専用アプリで目的地を検索、そこまでのルートを作り、ELEMNTに落としてナビさせることができます。このルートは自動作成で微調整ができるようになるのが待たれますが、とりあえずたどり着くことはできそう。

自分の動きをライブでお知らせできる

家で留守番をしている人や友だちに自分の居場所を見てもらえるライブトラッキング機能や、同じELEMNTシリーズを使っている友人同士でお互いの居場所をELEMNT画面上で見られるグループトラッキング機能もあります。後者は、脚力の違う友だちといったん離れた後に合流なんていうときに便利ですね。

ライブトラッキングPCキャプチャ

ライブトラッキングPCキャプチャ


家で留守番の家族や、合流予定のライド仲間に居場所や走行データをブラウザ上で見てもらえるライブトラッキングページ。スマホのデータ通信ができる環境なら世界中に対応。

世界中の地図が使える

ベース地図は、世界中の人が参加して作っているオープンソースのOpen Street Mapを使っているので、ほぼ全世界に対応しており、アップデートもしていそうです。もちろん日本は日本語の地名になっています。専用アプリで、ELEMNTに入れて使いたい国や地域を選んで同期すると、海外ツーリングにも安心。

ベース地図はOpen Street Mapで、日本の中なら日本語で表示される。地図データは無料で、世界中の国・地域から選んでELEMNTに入れておく地図を決められるので、海外遠征にも問題なし。

ベース地図はOpen Street Mapで、日本の中なら日本語で表示される。地図データは無料で、世界中の国・地域から選んでELEMNTに入れておく地図を決められるので、海外遠征にも問題なし。

その他にもこんな機能が

Edge 1000などに搭載の、スマホに電話やメールが来たときに、音と画面表示によるお知らせ機能もあり。

Wahooはじつは米欧ではスマートトレーナー(コンピューター制御で負荷が変わるローラー)や心拍計などですでによく知られたメーカーになってきているのですが、ELEMNTは自社のスマートトレーナーのほか、FE-C規格のスマートトレーナーの制御もできるようになっていて、TrainingPeaks(トレーニングピークス)などのWebサービスにリンクしたり、ERGファイルなどを入れてストラクチャード・トレーニングをすることも可能になっています。

「割り切り」と「攻め」の姿勢のWahoo(ワフー)

▲世界のトップチームであるチーム・スカイもWahooを使用

…と、まだまだ細かく機能があるのですが、とりあえず今回は以上で。ここまで見てきてわかるのは、ELEMNTはガーミンEdgeシリーズに比べると、かなり機能の多くをスマホに依存していることです。ELEMNTでは、表示されているマップのスクロールすら現在ではできません。

でも、たしかにこれだけ高性能なスマホがあるのだから、重たい処理や細かい設定はスマホ側で処理させようというのは合理的だなとも思うのです。地図だって、いまいるところ以外を見るならスマホの地図で見るほうが早いし情報も多い。新しい目的地の住所を入力するにも、スマホのフリック入力のほうが断然快適です。

また、ファームウェアとスマホアプリのアップデートが頻繁かつ、毎回けっこう大きな機能が追加されてきていることも、巨人ガーミンに追いつけ追い越せというWahooの攻めな企業姿勢が見えて面白くもあります。

ちなみに、先日、ナビ中の地図が進行方向に回転していくのを北固定にする方法がわからず、サポートに質問メールを投げたところ、翌日には「すみませんその機能はまだないのです。でも開発チームに追加要望機能として伝えましたのでご期待ください」と担当者名入りの返事があり、なんだか好ましいなぁ、頑張ってほしいなぁと思わされたのでした。

肝心の日本で買えるところですが、輸入代理店の変更などもあり、現状では扱っているお店が少ないようですが、これもあくまで10月初旬現時点での話。今後の展開には要チェックです。


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Written by 青木陽子(Yoko Aoki)

いくつかの雑誌編集部を経て、女性サイトの草分け「cafeglobe.com」の創刊編集長に。現在はロンドンで雑文書き、翻訳などをしつつ、自転車中心の生活を送っています。サステイナブルな社会を作ることと世界を自転車で移動して味わうのがたぶんライフテーマ。 www.yokoaoki.com