阿蘇No.1の絶景スポット「大観峰」からのぞむ雲海ヒルクライム
雲海とは、高度が高いところから足元を見下ろしたとき、雲が海のように見える現象のこと。低山や森林などが一部雲から頭を出していたりして、なんとも幻想的な光景です。有名な雲海スポットとしては、富士山の山頂や自転車乗りの聖地・渋峠、キャンプアニメ『ゆるキャン△』に登場した長野県・高ボッチ高原が挙げられます。
そんな雲海ですが、自転車でも見に行けます。ただ、明け方に出発する必要があるうえに、高台に上るヒルクライムということで、難度は高め。富士山などのように山頂まで自転車で行けないスポットも多いですしね。
そこでおすすめするのが、熊本県の阿蘇です。周囲を山に囲まれた窪地・カルデラにある阿蘇なら、宿から最短で10kmほど走れば雲海を見ることができるのです。今回は、地元サイクリストの方に教えていただいた「阿蘇お手軽雲海ライド」をご紹介しましょう!
「大観峰」を目指せ
日の出に合わせて阿蘇市街を出発。取材時は雲海を眺められるポイントにいちばん近い内牧温泉に宿を取り、朝6時にスタート。
スタート直後の風景からしてすでに印象的。雲間に見える山影は「外輪山」。阿蘇の中央には内輪山と呼ばれる山々があり、それをさらに火山活動でできた山々・外輪山が取り囲んでいます。カルデラという地形ですね。
今回の目的地は外輪山のひとつ、「大観峰」。外輪山の最高峰であり、雲海を見るには最高の場所です。
距離約8.5km、平均斜度4.3%、獲得標高430mのヒルクライムになります。最初はこのようにありがちな山林風景で、斜度は5〜8%を行ったりきたりします。激坂でこそありませんが、まとまった距離で獲得標高はそれなりなため、登坂慣れしていない人は余裕を持って出発したほうがいいでしょう。
5kmほど上ると、阿蘇の超絶景が炸裂。林が終わり、正面に外輪山が。ここからはもう阿蘇の自然に圧倒されっぱなし。
下界を見下ろすと、雲海に覆われています。人里から隔絶された、神秘的な雰囲気に包まれるはず。
少しルートを外れて、外輪山を巡るスカイライン「ミルクロード」に足を運べばこんな景色が。宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』の世界のよう。取材は3月だったので、周囲の草原は黄金色ですが、ゴールデンウィーク頃には一面鮮やかな緑色に染まるとのこと!
薄明の中、あるいは写真のように陽の光を浴びながら、非常に爽快な気持ちで駆け抜けられることでしょう。
大観峰から見る雲海の様子はこちら。阿蘇の市街地が雲の海に飲まれています。
別の日に撮った、雲海が出ていないときの写真と比べてみましょう。こちらも市街地が薄く白いものに覆われていますが、これは雲ではなく、霧なんだそうです。気象条件によっては雲海が出ていないこともありますが、それでもかなりの美しさ。右手奥に見えるのが阿蘇の中心・内輪山です。外輪から中心を一望できるわけです。
雲海から顔を覗かせる街の様子をアップで。夜の帳が明け、人間の時間が始まるまさにその瞬間と言ってもいいでしょう。
外輪山のダイナミックな姿も明らかになります。独特の形の断崖と高地的な植生がヨーロッパの山岳めいており、深い非日常感に浸れます。
阿蘇の温泉で締め
雲海は早朝にしか見られないため、前泊がマストです。しかし、温泉地の阿蘇ではそれは大きなメリットに。
▲取材時には蘇山郷という温泉宿に宿泊。左手に『弱虫ペダル』の人形やポスターがあることからわかるように、『劇場版 弱虫ペダル』に登場したお宿だったりします。
そうです、ライドの汗はすぐに温泉で流してしまいましょう。
宿の場所にもよりますが、往復で1時間~2時間ほどでしょうから、スケジュールに余裕を持たせられるのも魅力的です。そのあとは布団に戻って身体を休めてもよし、そこからさらに内輪山へ向かったり、阿蘇中心部をゆるポタしてもいいでしょう。
雲海を見るだけで終わらない、充実した自転車旅ができるのが、阿蘇最大の強みですね。
阿蘇雲海ライドまとめ
- 阿蘇市内に前泊
- 日の出に合わせて大観峰へ
- 雲海が出やすい季節は梅雨明け~秋
ちなみに、雲海が出る確率は、うんかいったーで確認できますよ。
書いている人的には、大観峰にもっとも近い内牧温泉に連泊、雲海だけでなくほかの観光名所も訪れるプランを組むのをおすすめしておきます。雲海は必ず出るわけではないため、1泊だけだと外したときのフォローが効きません。また、そもそも阿蘇は見どころが多いので、どうせならしっかり回ったほうが満足度が高いかと思います。内輪山の景色もすさまじいですし、あか牛丼などのご当地グルメもすばらしく、わざわざ行くのに逃す手はありません。
阿蘇にはふつうにはできない自転車体験が待っています。興味を持たれた方はぜひ実際に訪れてみてください。