3つのスキルでコーナリングの達人になろう(リーンイン・リーンアウト編)~自転車の処方箋#15

「自転車の処方箋」は、サイクリストの悩みに元プロロードレーサーが、スパっと回答する連載企画です。今回は、ロードバイク2年目のTETSUさんからいただいた「コーナーを見るたびに手元に力が入り、足がすくんでしまう」という悩みをいただきました。前々回の「①クランク水平のコーナリング」、前回の「②外足荷重のコーナリング」に続いて、「③リーンイン・リーンアウトのコーナリング」を解説します。それでは管さん、今回もよろしくお願いします!

レースに欠かせないリーンイン・リーンアウトのコーナリング

これまで2回にわたり「②クランク水平のコーナーリング」、「②外足荷重のコーナリング」を解説してきました。それぞれのフォームの特徴と活用するシーンは覚えたでしょうか。
今回紹介する「③リーンイン・リーンアウトのコーナリング」は、レース中などでコーナーのラインがインとアウトに限定される場合や、コーナー中に障害物や前走者が自分のラインに入ってきた時などに使うテクニックです。それではこの2つのテクニックについて紐解いていきましょう。

リーンインとは?

コーナー中に、頭をバイクの倒し込みより内側に入れるフォームをリーンインと言います。この姿勢にすると、自然とバイクを立ててバランスを保てるため、コーナーラインをわざと外側へ膨らませることができます。

リーン・インのポイントは 以下の4つです。

③-1.バイクと上体のV字関係を意識し、バイクの内側に頭を向ける
③-2.足は両足荷重のスタンスのフォーム
③-3.イン側の内ヒザをトップチューブに当てる
③-4.後ろ足のカカトを意識

大切なのは、バイクと上体のV字関係を意識することです。このとき、両足荷重のスタンスを保てば、サドルに座りながらも重心の支点をクランクに残した状態でコントロールできます。また、内ヒザをトップチューブに寄せると、無理なく頭(上体)をコーナー側へ倒し込めます。同時に後ろ足のカカトを意識すると、膨れていくコーナーラインに対してバイクがしっかりと接地した感触を得られるでしょう。
リーンインを使いこなすと、突然現れた障害物を回避できたり、ウェットな路面でも安定した走行ができます。また、このテクニックを多用すれば、レースに見られるような大きく回り込むコーナーリングで、大外のアウトラインを描けます。私はこのテクニックを使用し、オーバーランして向かってきたクルマを咄嗟によけた回数は数知れず。落車回避にも重要なテクニックといえるでしょう。

頭をバイクの倒し込みより内側に入れることをリーンインと言う。
▲頭をバイクの倒し込みより内側に入れることをリーンインと言う。

リーンアウトとは?

バイクをニュートラルな倒し込みより更に大きく倒し込むことで、V字バランスを保とうと頭(上体)がバイクの外側へフォームすることを、リーンアウトと呼びます。バイクが大きくコーナー側に寝るために鋭く小さなコーナーラインを取ることができます。特にレースシーンでの鋭く切れ込むS字コーナーやUターンなどで、このテクニックを使うとコントロールが上達するでしょう。

リーンアウトのポイントは以下の3つです。

③-5.バイクと上体のV字関係を意識し、バイクの外側に頭を向ける
③-6.イン側のヒザを少し立てて、バイクをヒザへ寄せる
③-7.クランクの位置は2時と8時

外足荷重のコーナーリング同様、イン側のヒザをすこし立てて、トップチューブにヒザを軽く押し当てるようにするとバイクの安定感が増します。このときクランクの内外のバランスは2時と8時です。コーナー側のももを2時へもち上げると、腰の位置が後方に移動してハンドル荷重を抜けます。
私がレースシーンでよく使うのは、集団でコーナーへ侵入した時に、自分が一番イン側でコーナーを抜け切らないといけない場面です。


リーンイン・リーンアウトのコーナーリングフォームの練習は、カンタンです。見通しの良い安全な広場に2本のボトルを適度な幅に配置して、ボトルを軸に8の字で回ります。周回を重ねると、次第にうまくなっていく感触が得られるでしょう。
次にボトルの幅を狭くしたら、身体をやや立ち気味に構えて小回りにコントロールします。また、幅を広くしたら胸を低く構えて緩やかなカーブラインを描くことで、奇麗に流れるようなコーナーリングを実現できます。
バイクを自在に操る楽しさを感じながら、高度な技術を習得できて一石二鳥ですよ。

●バックナンバー「自転車の処方箋」
第1回:上手い下りの走り方
第2回:楽しく上るための回転数と心拍数の関係
第3回:予習が上りを楽にする
第4回:緩い上りは“もも裏”で効率的に上る
第5回:平均勾配7.8%の激坂の走り方
第6回:斜度に合わせてシッティングとダンシングを使い分ける
第7回:バイバイ立ちゴケ! 走行スキルを高める“スタンス”とは?
第8回:「自転車が下手だな」と思うなら…各段にうまくなる“チョコチョコ乗り”を
第9回:段ボールでマスターする平地のダンシング前編
第10回:“華麗なダンシング”のための3つのポイント
第11回:スマートに止まるブレーキングの極意
第12回:安全に止まるためのバイクコントロール
第13回:3つのスキルでコーナリングの達人になろう(基本編)
第14回:3つのスキルでコーナリングの達人になろう(外足荷重編)

管洋介

WRITTEN BY管洋介

1980年生 A型 日本スポーツ協会公認コーチ 競技歴22年のベテラン。国内外で50ステージレース以上経験し、スペインで5シーズン BRICO IBERIA 、VIVEROS [現 CONTROL PACK]と契約、国内ではアクアタマを設立、インタープロ、マトリックス、群馬グリフィンを経て、国内の有望な若手選手とファーストエイドなど安全啓蒙を指南できるメンバーを集めたAVENTURA CYCLINGを2017年に設立、走りながら監督を務める。プロカメラマンでもあり、自転車雑誌の製作に長く関わっている。現在はプロライディングアドバイザーとして初心者向けのライディングレッスンなどを多く手がける。

他の記事も読む

関連記事