「初グループライドが山と向き合ったきっかけ」山は性癖です。in FRAME #3

タイトルにもあるように『山が性癖』というほどにヒルクライム好きな私ですが、
初めてのヒルクライムも、そのリベンジも上手く行かず、「自分はもしかしてヒルクライムの才能がないのではないか?」と一度嫌になってしまい、山と距離を置いた時期がありました。

今回は、そんな自分にもう一度山と向き合おうと思わせてくれた出来事を話してみようと思います。

熱しやすく冷めやすい、THE豆腐メンタル

私は何でも勢い任せでやってしまうタイプなので、自転車を始めてから7ヶ月目に新宿から自走して箱根の山に行ったことがあります。

体力がなかった上にエネルギー補給もほとんどしなかったため、ハンガーノックになってしまい、箱根湯本駅から国道1号線最高点までのたった14kmしかない坂道に3時間もかかりました。

自販機を見つけるたびに休憩を入れて10回は足着いたと思います。山がそこまで辛かったのは初めてで、泣きそうになりながら登っていました。

その日は朝4時に家を出て初めてロードバイクで200km超を走りましたが、達成感よりも登りの辛さと登り切れなかった落胆の方が大きかったです。

一気に飛ばし過ぎてだいぶお腹いっぱいになったので、もうしばらく山はいいかなと……。
このときに感じた苦手意識はそう簡単には消えず、意図的に山を遠ざけるようになりました。

『弱虫ペダル』作中で、東堂尽八が「準備しとけよバカヤロー!」と叫んだカーブ
▲『弱虫ペダル』作中で、東堂尽八が「準備しとけよバカヤロー!」と叫んだカーブ

それからは休みの日に多摩川サイクリングロード走って、自由ヶ丘のビアンキカフェでランチをして帰るような気軽なサイクリングを繰り返していました。

もちろん自転車に乗ること自体は変わらず楽しかったです。
でも辛い坂を登らずにすむサイクリングに、どこか物足りなさを感じていました。

初グループライドは刺激がいっぱい!

初めてグループライドに参加したのは2015年9月末のことでした。

漫画『弱虫ペダル』が好きで、コスプレもしていましたが、その頃の知り合いが江ノ島から箱根湯本まで走る「弱虫ペダルインターハイ聖地巡礼ライド」を企画しました。とても楽しそうなので、是非参加させていただきたいと連絡を入れました。

山から離れたことをきっかけに自転車熱が落ち着いてきて、乗る頻度が減っていった頃だったので、新たな刺激が欲しかったのだと思います。

弱虫ペダルインターハイ1日目のスタート地点・江ノ島
▲弱虫ペダルインターハイ1日目のスタート地点・江ノ島

それまでほとんど一人で走っていた自分にとっては、大人数で談笑しながらのライドがとても新鮮で楽しかったです。アニメで登場した江ノ島の石碑、小田原の集団落車ポイントで写真を撮って盛り上がりました。

走っている最中、前の人との間隔のとり方、手信号の出し方、補給や休憩のタイミングなど、すごく初歩的なことですが、人と一緒に走らないと身に付かない知識があるんだなあ……と、しみじみ思いました。

グループライドは箱根湯本駅で終了でしたが、その後に「有志だけで箱根の山を登ろう」という流れに……。

「ここまで来て引き下がったら、これからも山から逃げ続けてしまいそう……。そんなの性に合わない!」と、思ってしまった訳です。

山にではなく、自分に負けるのが悔しかったからでしょう。

「箱根登る組」と「江ノ島帰還組」と分かれましたが、私はトラウマになりかけた箱根で、もう一度山ときちんと向き合おうと思いました。

山に登るのにどんだけ覚悟が要るんだよ!という感じですが、あの頃は本当に必死でした。

弱虫ペダル作中の集団落車ポイント
▲弱虫ペダル作中の集団落車ポイント

結局、箱根登る組は私ともう一人だけでした。この記事の中では「Iさん」と呼びますね。

Iさんは山を登るのがとても速かったです。箱根湯本駅からスタートして、5分もしないうちに距離が開いていき、すぐに見えなくなりました。

函嶺洞門を通り過ぎ、千歳橋を渡って旅館街を抜けていく6%~8%ぐらいの普通の坂ですが、あの頃は死ぬほど辛く感じました。

山速い女の子と一緒走るのは初めてだったので、坂なのに足がクルクル回ってるのを目の当たりにして、本当に凄い!かっこいい!と思いました。とてもついていけなかったけれど、せめてマイペースに、最後まで登り切ろうと決めました。

視界に入らなくても、知っている人と同じ峠道を登っていると分かるだけでとても心強かったです。

前回足着いた場所を足つかずに通る度に感動を覚えた……。

足はとっくにパンパンだったけれど、足さえ止めなければ、どんなに遅くても少しずつ前に登り進めていけるんだと。

2度目の「準備しとけよバカヤローカーブ」はとても鮮やかに見えた
▲2度目の「準備しとけよバカヤローカーブ」はとても鮮やかに見えた

久々に登る山はとてもとても辛かったけれど、これだったんだ……足りなかったものは!

自分の中でずっと感じていた物足りなさが埋められていく気がしました。
辛かったですが、普段のライドとは比べ物にならないほどの充実感がありました。

その感覚にゾクゾクした……。
今思うと、それが山に恋をした瞬間かもしれません。

山を登るのは苦手かもしれないけど、
私はやはり、山が好きなんだ……と。

自分の中で、答えが出ました。

ゴールとなる国道1号最高地点の看板が見えてきた時、本当に本当に死ぬほどうれしかったです。達成感と充実感と過去の自分を超えた喜びが入り混じって、一気に湧き上がってきて涙が出そうになりました。

箱根の頂上、国道1号最高地点の看板
▲箱根の頂上、国道1号最高地点の看板

初めての箱根に挫折したことで、山は上手く登れないし全然速くないのに、「山が好き」と言い張るのが恥ずかしい……という葛藤が少なからず自分の中にあったと思います。

でも一度も足を着かずに峠を登り切れたことが、ささやかですが自信に繋がりました。

初めて参加したこのグループライドが、私のその後のロードバイク人生を大きく変える出来事となったのです。

あの人ともう一度走りたい!が原動力に

人と一緒に走ることはとてもいい刺激になります。

箱根は何とか足着きなしに登り切ったものの、Iさんには長い時間待たせしてしまいました。それでも次も一緒に走ってもらいたいから、その機会までにもっと走れるようになろう!とポジティブに考えました。

そうした出会いが相乗効果となって、お互いを高めていくんだろうなあと、4年間乗り続けた今でも実感していることです。

今では積極的にいろんな方とライドするようになりました。
ペダリング、フォーム、ポジション、呼吸の仕方、筋肉の使い方は人それぞれで、さらに細かいことをいうと、平地でも登坂でも速度や勾配に応じてギアは何枚目を使っているのか、サドルのどの位置に座っているのかまで……人の走りは参考になることばかりです。
同じ景色を分かち合えたり、カフェでまったりしていろんなお話ができるのももちろん楽しいですが、走りへの好奇心が抑えきれずに、ちょっと違う視点からライド仲間を見ている自分もいます。

グループライド中の写真
▲グループライド中の写真

私が思う、ヒルクライムの魅力

自分の足で登頂して観る景色は最高に綺麗ですが、そこに至るまでの曲がりくねった道の先のワクワク感、木々の木漏れ日、都会では味わえない新鮮な空気など、すべてが心地よくて、登れば登るほど山の素晴らしさに心打たれました。気が付けば山ばかり登るようになりました。

ヒルクライムは平地のスピード差とは違って、同じ山を登るにしても、前回走って辛かったところが今回は少し楽に登れたと、成長を実感しやすいです。それだけのことですが、目に見える成長はやはりうれしいもので、モチベーションを高めてくれるには十分でした。

最初のうちは「山は気合!」「最後まで頑張って踏めばいい」ぐらいの気持ちでしたが、ちゃんと考えて動けば楽に上登れるといういうことにも気づきました。工夫次第で手応えが大きく変わるヒルクライムはとても美しいスポーツのように思えました。

そんなヒルクライムの良さを少しでも広められますように、もっといろんな方に山に興味を持っていただけたらうれしいと思っております。

秩父・芦ヶ久保から県民の森へ続く道
▲秩父・芦ヶ久保から県民の森へ続く道
篠 ♡ 山は性癖です

WRITTEN BY篠 ♡ 山は性癖です

ヒルクライムは芸術、峠道はロマン。/ASSOS Ambassador/TeamGOCHI/ブログ:山は性癖です。/Instagram⇒shino_138

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