ASSU インタビュー プロバイクショップ

– 新旧社長インタビュー - ECで実現するスポーツバイク専門店「Probikeshop」に託す想い

「Probikeshop」というオンラインストアをご存じだろうか。

新進気鋭のスポーツバイクECショップで、2020年9月に立ち上がったばかり。メジャーブランドのヘルメットやタイヤを展開する傍ら、日本初上陸となるドイツのバイクブランド「VOLTEC」「SERIOUS」なども擁する。

手がけるのはあのイオングループ企業のイオン・シグナ・スポーツ・ユナイテッド。今年5月に代表取締役社長が交代したばかりだが、立ち上げに邁進した岡田尚也前社長と、これからを担う泊剛史現社長に「Probikeshop」の “もくろみ” を語ってもらった。

左:泊 剛史氏(現社長) 右:岡田 尚也氏(前社長・現顧問)
左:泊 剛史氏(現社長) 右:岡田 尚也氏(前社長・現顧問)

欧州トップのスポーツECと手を組み切り拓く “日本の自転車EC市場”

―― 現在イオン・シグナ・スポーツ・ユナイテッド(以下、ASSU)さんで展開しているサービスは「Outfitter(カスタムユニフォームサービス)」「Tennis-Point(テニスファン向けアプリ)」「Probikeshop(スポーツバイクオンラインストア)」の3つ。FRAMEとしてはやはり「Probikeshop」が気になるところですが、そもそもASSUさんがスポーツ領域を選んだ背景をお聞かせください。

ASSU 岡田尚也氏

岡田 尚也氏(以下、岡田):ASSUは、独シグナ・スポーツ・ユナイテッド社(以下、シグナ)とイオン株式会社で共同出資し2020年に設立した会社です。シグナは欧州No.1のスポーツECプラットフォームを展開し、主にバイク、テニス、チームスポーツ領域で高いシェアとノウハウを保有しています。シグナがアジアでの事業展開を考えた際に、まず捉えるべきとしたのが日本市場。日本の顧客志向は欧米と大きく異なるため、ローカルパートナーを探していたところに、縁あってイオンと協働することとなりました。

―― イオングループとシグナで課題認識が一致した形ですか。

岡田:そうですね、シグナ側にはアジア進出という明確な方針があった。ヨーロッパではすでに高いシェアを持つ彼らが、スポーツとテクノロジーを掛け合わせたプラットフォーマーとして世界ナンバーワンを見据えたときに、アジア市場は外せない。そこで成熟市場から始めるとすると日本になるんですね。その日本での展開ノウハウに、シグナ側で課題認識が強くあった。

イオン側の話をすると、イオンは小売業を中心としたコングロマリット企業です。GMS・金融・デベロッパーなど多様な事業がありますが、比較的マスを対象に発展してきたグループです。

そうしたときに「専門店」としての展開には課題を感じていました。例えばアパレル専門店としてのユニクロさんであったり、家具専門店としてのニトリさんであるとか。もちろんイオングループとしても、スポーツオーソリティなどの関連事業はあるのですが、どちらかというとターゲットがマス向けなんです。スポーツ分野においてもメインターゲットはエントリーユーザー。

成熟市場でニーズが細分化していく中、どうやって専門分野にアプローチしていくかがひとつの課題です。

―― 双方のノウハウを活かす形でジョイントベンチャー立ち上げに至ったわけですね。事業領域をチームスポーツ・テニス・バイクを選択した意図は?

岡田:日本のスポーツ市場の課題・差別化要因をシグナ側と議論していく中で、特にE-コマースにおけるソリューションをその3つのカテゴリーに見出した流れです。

日本においてはバイクもテニスもオンラインでの購入は発展途上で、今後の生活様式の変化を鑑みれば、欧州で起きたトレンドが今後日本で大きくなると考えます。

当然、シグナサイドの事業ドメインとしてもともと3カテゴリーが強かった側面もありますが、構造的な問題を検討したのが先です。

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バイクでいうと、オンラインでの商品購入は例えばAmazonだとか、もしくはWiggleといった並行輸入のECであって、自転車本体の購入は引き続き実店舗メインですよね。

この状況下で、もっと実質的な部分で、お客様にとってどうなったら便利なんだろう?と。ユーザーが各ブランドサイトに入ってラインナップやスペックを自分で比較している現状の中、オンライン上で一元化して比較ができたらどうだろう、とか。

必ず潜在的なニーズがある、そういうところがProbikeshopの事業立ち上げのコアになっていますね。

―― 泊さんはASSUに参画されてまだ3ヶ月ですが、どうでしょう、実はいま初めて聞いたことがありますか(笑)?

泊 剛史氏(以下、泊):いえ、さすがに初耳ということはありません(笑)。方針に共感したから今ここにいるわけですからね。

この3つのカテゴリーは日本にはほとんど浸透していませんし、シグナがやってきたことが日本でピッタリ当てはまるとは全く思っていなくて。やっぱりサービスにおいては、日本人のきめ細やかさといったものが非常に大事だなと感じています。

ASSU 社長対談

ドライなオンライン購入にウェットなサービスを

―― オンラインでシンプルに買い物が完結できてしまう、ある意味ドライなECショッピングとしての側面があるいっぽうで、Probikeshopのストアメッセージには “コミュニティ” というウェットなキーワードもありますね。

:先ほどの日本人のきめ細やかさにもつながる話ですが、日本のお客さまはサービスレベルが非常に高いんですよね。ECであっても同じで、そこをまず大事にしたい。ECにおけるサービスの質をあげたいんです、そこは海外サイトと比べても大きなアドバンテージになるはずです。

―― 具体的には?

:オンライン購買であってもお客さまへ安心を与えていきたいと考えています。具体的には、発注いただいたお客さまに対しての頻繁なコミュニケーション。例えば、商品がどのステージにあるのか(ドイツを出荷した状態なのか、日本に到着した状態なのか)を細かくメールや電話でやり取りをします。システムで自動化すればよいという考え方もありますが、直接コミュニケーションをとることでお客さまの満足度も上がるし、お客さまの課題も聞くことができます。

ASSU 泊氏

:我々の商品はほぼドイツからの輸入商品なんですが、ドイツから輸入した商品は一度弊社の倉庫へ入れて、専門のスタッフが細かく検品してお客さまの元へ届けます。少しでもお客さまに安心感を与えるための施策です。

―― ユーザー目線に立ったとき、スポーツバイクのオンライン購入でどうしてもネックとなるのがメンテナンス面。このあたりはどうでしょうか?

:アフターサービスは力を入れて進めている部分です。実際、お客さまからの要望もすごく多い。自転車メンテナンス企業と提携して、出張組み立てサービスや修理サービスの付帯を考えています。前述のお客さまとの密なコミュニケーションを含め、サービスの拡大がコミュニティの創出につながると考えています。

ASSU 泊氏

岡田:ECで手軽に商品を比較し購入検討するという、これまで本、家電、日用品、衣料、食品と不可逆的に発展するトレンドにおいて、スポーツ用品も同様だと考えています。単に物販サービスを提供するのみならず、コンテンツなどの非物販サービスとの連携が価値を生むと考え、スポーツを通じたコミュニティの創出についても意欲的に関わっていきたいですね。

すでに欧州ではこうした試みがはじまっているほか、日本でも同様のサービスは拡大しています。

実際にProbikeshopのコンテンツ欄には、メンテナンス動画や業界人による対談記事など、濃いコンテンツが並ぶ。

岡田:Eコマースに限った話ではないですが、どんなものを売っていても本格的に普及していくまでは少なからず抵抗感がある。Amazonが本をオンラインで売り始めたときだって、今じゃ考えられないけど、触ってみないと・中をめくってみないとという抵抗感がありました。実際は違うという観念が浸透したのは一種のイノベーションといえますよね。

同様にコロナ禍の現在において注目しているのが、家。VR内覧とか、徐々に受け入れられてきていますよね。じゃあ2年前はどうだったかって、やっぱり家は実際に訪れてみないとどこに傷があるだとか、日当たりがどうだとかって言われていたはずなんですよ。外部要因含めて、変化は絶対に起こってくるんですよね。

スポーツバイクの購入だって、実際に乗ってみないとといったニーズは残りつつも、やっぱりオンライン上で購入できるシチュエーション自体にすごく発展性があると思っていて。もちろん実店舗が必要という点も理解はしているんですが、模索しながら進み続けていった先にすくいあげるべきニーズがあると思っています。

実際、ドイツでは変わってきている。今どうかではなくて、サービスを拡大していく中で購買体験の質が良い方向に変わっていく、そのルーツを作っていきたいという思いがありますね。

社長対談 新旧社長 インタビュー ASSU
オンライン購入の基盤構築は必須としながら、「オフラインでしか提供できない」という前提を外すことこそイノベーション発生の要素だ、と岡田氏は語る。

『ECなのにサービス手厚いんだよね』と言われたい

―― Probikeshopが扱うブランドには日本初上陸のものもありますよね、いちユーザーとしても期待値は大きいです。

:バイク領域では、海外で人気があり日本ではまだ知られていない商品がたくさんあります。例えば、SERIOUS(シリアス)。僕も実際に試乗したことがあるのですが、乗り心地に安定感があって、長く走っても疲れにくいのが特徴です。デザイン性も優れているし、使われてるパーツもいい。それが10万円以下ってコスパは抜群です。きっと日本のお客さまにも受けると思いますね。

―― ProbikeshopにおけるASSUさんの「次の一手」を教えてください。

:オンラインでの基盤に加え、先ほどから話にあがっている出張組み立てや修理サービスは8月から実装しようと考えています。

アフターサービス強化の一環で、将来的には地方の修理工場などと提携し、都市部のみならず地方でも同じようにサービスを受けられる環境構築も視野に入れています。

また我々は日本ではまだ出回っていない商品を販売するので、多くのユーザーに知ってもらう必要があります。近々でいうとイオンモール幕張新都心で催事を予定していますが、試乗できる機会は多く創出していきたいですね。お客さまのご要望があるエリアと判断すれば、グループ内の実店舗だけでなく様々な店舗と提携していく予定です。

ASSU 社長 泊氏
「ECなんだけどサービス手厚いんだよね、と言われたい」と話す泊氏。

Probikeshopがローンチしてまだ10ヶ月。近い将来、これまでオフラインが当たり前だった購買体験に変化が起こるかもしれない。

岡田氏も泊氏も、またASSUとしても、根底にあるのは顧客視点。スポーツを通じた健康需要にはまだまだ発展の余地があると語る岡田氏が立ち上げ、元スポーツプレーヤーとしてユーザーをサポートしていきたいと力強く話す泊氏がリードするこれからの「Probikeshop」に大いに期待したい。

>> LINK: Probikeshop

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インタビューは終始なごやかな雰囲気で行われた
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WRITTEN BYFRAME編集部

FRAME編集部はロードバイク、MTB、ミニベロ、トライアスリートなど、全員が自転車乗りのメンバーで構成されています。メンテナンスなど役立つ情報から、サイクリングのおすすめのスポット情報、ロードレースの観戦まで、自転車をもっと楽しくするライフスタイル情報をお届けします。 https://jitensha-hoken.jp/blog/

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