
ビンディングペダル基礎知識とおすすめペダル7選
今回は、自転車に乗っているけどまだビンディングデビューしていない方向けに、おすすめのビンディングペダルをご紹介したいと思います。
ビンディングペダル・・・ロードバイクに乗っている方は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?どんな効果があって、どんなペダルを買うべきなのか説明します。
目次
ビンディングペダルのメリットとデメリット
(出典:ぱくたそ)
自分が自転車店で何年か働いていた頃、ビンディングペダルの使用をためらう方からは
「足がペダルとくっつくのは怖い…」
「はじめは必ず落車すると聞く」
「自転車を降りてから歩けないのは嫌」
と様々な声が聞かれました。実際これは当然のことで、雑誌も自転車店員も「引き足が使える!」とか「プロはみんなビンディング!」とかいろいろな利点(?)を伝えてきますが、デメリットの話になるとトーンが下がって「まぁそれはしょうがないよね」とか適当にお茶を濁される状態では、他でもない自分が本当に使いこなせるのかはわかりませんよね。
この記事では一概にビンディングペダルをゴリ押しするつもりはありません。下記のメリットとデメリットよく理解して、導入する場合はそれに納得した上で導入しましょう。そうすれば、「こんなはずじゃなかった!」となることは避けられるはずです。
それではメリットから見ていきます。
1.ペダリング効率が上がる
何遍も繰り返されているフレーズかとは思いますが、これは事実です。長く走れば走るほど、ただのシューズとビンディングペダルでは疲労度が違ってきます。
ペダリング改善の記事「楽に速く長く!今日からできるロードバイクのペダリング改善」にも書かれているように、スポーツ自転車のペダリングにおいてはただ踏むだけではなく前にスライドさせたり、後ろ側に引いたりといったテクニックが必要になります。
もちろんこれをフラットペダルで行なうことも可能ですが、ビンディングペダルのほうが簡単に、しかも効率的に実現できるのは容易に想像できるかと思います。
またペダル軸の直上に拇指球を固定できるため、常に一定のフォームでペダリングをすることができます。ペダルと足の位置関係はライディングフォームの基礎中の基礎なので、ここがずれるとフォームもなかなか決まりません。
2.ペダルと足がすべらない
あまり語られませんが、私としてはかなり大きなメリットだと思っています。そもそもペダルと靴がくっついているので、不意にペダルから足が外れることがありません。
それゆえ雨の日に走ったり濡れたシューズで乗っても、ツルッと行ってふくらはぎをペダルで強打したり(かなり痛い)、バランスを崩して落車したりといった危険性がほぼ無くなります。
雨の日や雨上がりも自転車に乗らなければならない通勤ライダーはもちろん、一般ライダーが不意の雨に降られた場合でも安心です。
ペダルから足が外れての落車は高速巡航時にも十分起きうるので、実はみなさんが恐れる「立ちごけ(後述)」よりも深刻な事故に繋がる可能性があります。ビンディングペダルは危ないというイメージがあるかもしれませんが、実は上記のような事故を防いでくれる一面もあります。
3.別に歩けないわけじゃない
これをメリットと言っていいのかは微妙なところですが、実はビンディングシューズは巷で言われるほど歩けないわけではありません。ペダルとシューズの種類をきちんと選べば、特に違和感なく歩ける商品もあります。(シューズの特集はまたいずれ…)
(出典:CBA)
中にはぱっと見ビンディングシューズと気づきにくいこんな商品も。
(出典:runon)
いずれにせよ「ビンディング=歩けない」というのは必ずしも正しくありません。レース用のビンディングより重量や剛性など性能は落ちますが、適切なペダルとシューズを選べば特に不自由なく歩行することが可能です。
次にデメリットをお伝えします。
1.立ちごけする
ごめんなさい、これはどうしようもないです。よっぽど運動神経がよくても、よっぽど注意深く自転車に乗っていても、たとえ熟練のライダーでも(!)ふとした拍子にコテンといきます。慣れれば慣れるだけ頻度は減ってきますけどね…。
こけ方にはいくつかパターンがあって、
- 停止するときに足とペダルがくっついていることを忘れる→停まる寸前に気付くが焦って外れずコテン
- Uターンしようとしてバランスを崩した時に咄嗟に足が出ずにコテン
- 横着して停車時にビンディングを外さずにいたらバランスを崩してコテン
といったものがよく見られます。
「やっぱり転ぶんじゃん!怖い!」と思われるかもしれませんが、実は上のシーンからもわかるように、立ちごけをするのはほとんど停車時か低速走行時に限られていて、体やバイクへのダメージが深刻になることは稀です。「自転車 立ちごけ」でYouTubeを検索するとよくわかります。また高速走行時にコケる場合はビンディングだろうがフラットペダルだろうが等しくコケるので、ビンディング導入で危険が増すわけではありません。
コケるときはコケるので心配ご無用とは言えませんが、導入直後は車の来ないところではめ外しの練習をしたり、停車する前は早めにペダルを外しておくなどすれば立ちごけの可能性はぐっと減らすことができます。
2.ものによってはやっぱり歩きづらい
競技用の高性能なビンディングペダル(SPD-SLなど)は靴底に出っ張る形でクリート(ペダルとくっつく部分)が付いているので、コンクリートやタイルの上を歩くと滑りやすく、またカチャカチャと独特な音がします。
さらにつま先が持ち上がった状態で歩くので、歩く姿はペンギンのようにヨチヨチしたものに…。さらに歩行によってクリートも磨り減るので良いことは全くありません。
(出典:CBA)
いずれにせよ、以下の紹介などを参考に、自分の用途に合わせてシューズとペダルを適切に選択することが重要です。
ビンディングデビューにおすすめのペダル
さて、前置きが長くなりましたがいよいよおすすめビンディングペダルのご紹介です。
ビンディングもいいけど歩きたい!歩きやすいMTB用ペダル
通勤通学に使われる方や、輪行をしたり行き先で歩きまわったりする方におすすめなのがMTB用ペダル。名称こそMTB用ペダルと呼ばれていますが、ロードにもクロスバイクにも何不自由なく付きます。
MTBペダルの中でも、国内でコストパフォーマンスや入手性に優れているのはやはりSHIMANOのSPDシリーズでしょう。交換部品も手に入りやすく、トラブルも少ない点でこれを選んでおけば間違いないと思います。
おすすめはこちら!
SHIMANO(シマノ) PD-M530 両面SPDペダル
SPDのエントリーモデル。ビンディングペダルの中でも良心的な値段が素晴らしい。両面どちらでもクリートをはめることができるので、発進時に踏み面を探してフラフラと蛇行することもありません。
またペダル本体が大きいので、ちょっとコンビニまで…というときにスニーカーでも乗りやすい気軽さがあります。重量はちょっと重い455g。(参考価格:4,596円)
価格:★★★★★
パフォーマンス:★★☆☆☆
歩きやすさ:★★★★★
外しやすさ:★★★☆☆
レース・ロングライド向け←1 2 3 4 5 →街乗り・通勤通学向け
SHIMANO(シマノ) PD-A520 片面SPDペダル
SPDペダルの中でも軽量性に優れたレーシングモデル。重量はわずかに315g。軽さの代わりに踏み面が片面だけだったり、スニーカーでは乗りにくいなど欠点もありますが、MTB用ペダルの歩きやすさとロード用ペダルの高性能を両立した美味しいとこどりのニクいやつ。(SHIMANO公式ではロード用ペダルとして紹介されていますが、ややこしいのでここでは割愛。)(参考価格:6,197円)
価格:★★★★☆
パフォーマンス:★★★☆☆
歩きやすさ:★★★★★
外しやすさ:★★☆☆☆
レース・ロングライド向け←1 2 3 4 5 →街乗り・通勤通学向け
シマノ PD-T421 リフレクター付 片面SPDペダル/片面フラットペダル
最近SHIMANOが初心者向けに発売したCLICK’R(クリッカー)は、上に挙げたSPDの半分以下の力ではめ外しができるスグレモノ。かつてはSPDが初心者向けのペダルの代名詞でしたが、CLICK’Rの登場でよりビンディングへの敷居が低くなりました。反面固定力が弱いという弱点がありますが、初心者の恐怖心克服のためにこれ以上適したペダルはないと思います。(参考価格:4,663円)
価格:★★★★★
パフォーマンス:★☆☆☆☆
歩きやすさ:★★★★★
外しやすさ:★★★★★
レース・ロングライド向け←1 2 3 4 5 →街乗り・通勤通学向け
すこしでも速く!軽量高剛性なロード用ペダル
やっぱりロードバイクでは性能を追求したい!多少歩きづらくてもいい!という方におすすめなのがロード用ペダル。一般にMTB用ペダルと比較して踏み面(ペダルと靴裏の接触面積)が大きく、大きな踏力をかけても安定するという利点があります。
またシューズとあわせて機能美に満ちたシルエットも大きな魅力の一つ。ロード乗りなら一度は履くべきです。
またMTB用ペダルは初心者向けとなるとSHIMANO以外の選択肢がほぼありませんが、ロード用ペダルはブランドが多種多様なのも特徴。自転車のブランドと合わせたり、お気に入りの選手が使っているペダルを選ぶのも楽しみの一つです。
おすすめはこちら!
SHIMANO(シマノ) PD-R540-LA
SHIMANOのロードバイク用ビンディングシリーズSPD-SLの仲では最も廉価なエントリーモデル。クリートを固定するバネの力を軽くできるため、咄嗟の時に足が外れやすく初心者の方には自信をもっておすすめできます。ホワイトカラーがあるのも地味に嬉しい。重量は330g。(参考価格:5,572円)
価格:★★★★☆
パフォーマンス:★★★☆☆
歩きやすさ:★☆☆☆☆
外しやすさ:★★☆☆☆
レース・ロングライド向け←1 2 3 4 5 →街乗り・通勤通学向け
SHIMANO(シマノ) SPD-SL PD-R7000
SHIMANOロードコンポーネントのミドルクラス、105グレードのカーボンペダル。ゆくゆくはレース出場なども考えている方にはおすすめ。長く付き合えるモデルです。遠目から見るとDuraAceなどの上位モデルと区別がつかないのもポイント!重量265g。(参考価格:12,542円)
価格:★★☆☆☆
パフォーマンス:★★★★☆
歩きやすさ:★☆☆☆☆
外しやすさ:★☆☆☆☆
レース・ロングライド向け←1 2 3 4 5 →街乗り・通勤通学向け
LOOK KEO BLADE
ビンディングペダルの元祖LOOKがリリースする、板ばね式の軽量でシンプルなモデル。クリートをはめた時のシャープさが癖になります。
シマノで他の人とかぶるのはなぁ…という人にもオススメです。240g(参考価格:16,000)
価格:★★☆☆☆
パフォーマンス:★★★★☆
歩きやすさ:★☆☆☆☆
外しやすさ:★★★☆☆
レース・ロングライド向け←1 2 3 4 5 →街乗り・通勤通学向け
SpeedPlay Zero クロモリシャフト
2010年頃からプロレーサーの使用率が急速に高まり、ツール・ド・フランスのマイヨ・ジョーヌやマイヨ・ヴェールを毎年獲得している最近ノりにノっているペダル。あめ玉のようなシンプルな見た目からもわかるように軽量で、かつクリート側に組み込まれた調整機構で、ペダルの固定角を左右独立に調整できるすごいやつ。
踏み面も広くてトルクをかけやすく、両面どちらでもはめられるのでストレスフリーといいコトだらけ。実は私も愛用者です。ただしクリートがとんでもなく高い(5,000円くらい)ので、歩くのは全くオススメできません。重量216g。(参考価格:17,064円)
価格:★☆☆☆☆
パフォーマンス:★★★★★
歩きやすさ:☆☆☆☆☆
外しやすさ:★★☆☆☆
レース・ロングライド向け←1 2 3 4 5 →街乗り・通勤通学向け
最後に
ビンディングデビューにおすすめのペダルを紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
ここに紹介した以外にも、ハイパフォーマンスなものからマニアックなものまで奥が深いのがペダルの世界です。
案ずるより産むが易し!思い切ってこの秋にビンディングを導入して初心者を脱しましょう!
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