Garmin Edge 1030インプレ:使い心地最高・ハイエンドなサイクルコンピュータ

ガーミンエッジ1030、買うべきかどうか迷っている人への最終結論

差別化された部分に付加価値を感じられるならベストバイ。

多くのサイクリストが利用しているサイクルコンピュータ「Garmin Edge」シリーズ。そのトップモデル「Garmin Edge 1030」がアップデート、となりました。しかし、定価は86,000円(税別/各種センサー込みのフルセット)。気軽に手が出せる値段ではないというのが第一印象ですが、その性能がどれほどのものかはやはり気になるもの。

GARMIN(ガーミン)EDGE1030J セット

この度、Edge 1030を試用する機会を得たのでインプレッションをまとめます。その価格に見合う製品なのでしょうか?

強みは4つある

1. ワイドなディスプレイ

Edge 1030本体上部
▲Edge 1030本体上部。左側面に電源ボタン。大きさはスマートフォンをひと回り小さくしたくらい。重量は123g。

公式サイトでは、さまざまな機能を目玉として挙げていますが、いちばんの強みはディスプレイサイズでしょう。

小型モデルのGarmin Edge 520JとGarmin Edge 820Jは、2.3インチディスプレイを採用し、解像度は200×265ピクセル。対する、Edge 1030はディスプレイサイズが3.5インチ、解像度は282×470ピクセル。

この数字が意味するところは、以下のようにEdge 820Jと並べてみるとわかりやすいでしょう。

Edge 820J(左)とEdge 1030(右)
▲Edge 820J(左)とEdge 1030(右)

Edge 1030は画面が格段に広くなっています。描画の美しさ自体はやや上、くらい。「多くのパフォーマンス項目を、より大きく表示できる」「ナビゲーション画面が見やすい」といった点がEdge 820JやEdge 520Jに対する大きなアドバンテージ。サイコンはライドの合間合間に隙を見てチラ見するものなので、大画面に必要な情報が見やすく表示されるのは非常に快適。

(左)パフォーマンス画面では、最大10項目を表示できる。(右)ナビゲーション画面。地図はディスプレイが大きいほど見やすいというのはもはや自然の摂理。
▲(左)パフォーマンス画面では、最大10項目を表示できる。(右)ナビゲーション画面。地図はディスプレイが大きいほど見やすいというのはもはや自然の摂理。

ちなみに、前モデルのGarmin Edge 1000J(販売終了)は3インチディスプレイだったので、そちらと比べてもディスプレイは大きくなっています。

2. 触れた瞬間にわかるスムーズな動作

背面部。中央にあるのはマウント用の突起。IPX7の防水性能を備え、雨天時の利用も可。作りはしっかりしている。
▲背面部。中央にあるのはマウント用の突起。IPX7の防水性能を備え、雨天時の利用も可。作りはしっかりしている。

Edge 1030とEdge 820Jは、ともにタッチスクリーンに対応しており、スマホライクに操作できます(Edge 520Jは非対応)。

ここで「どっちもタッチスクリーン対応ならEdge 1030とEdge 820Jの操作感に大きなちがいはなかろう」と考えるのは早計。タッチスクリーンを使った操作感は、Edge 1030のほうが格段にスムーズ。一方、820Jはタッチしてから実際に操作が実行されるまでにややもたつきがある感じ。Edge 1030のヌルヌルな動作には、古いスマホから最新機に乗り換えた瞬間によく似た気持ちよさがあります。

(左)パフォーマンスを表示するページ。最大10項目を表示させられる。パワーメーターがあれば、パワーやペダリングバランスなども表示できる。(右)高度図。ヒルクライム時に便利(絶壁が見えて萎えることもあるが)。
▲(左)パフォーマンスを表示するページ。最大10項目を表示させられる。パワーメーターがあれば、パワーやペダリングバランスなども表示できる。(右)高度図。ヒルクライム時に便利(絶壁が見えて萎えることもあるが)。

動作の滑らかさは実際に使っていくうえで重要なポイントです。Garmin Edgeではパフォーマンス表示とナビゲーション画面をよく切り替えますが、さくさく切り替わってくれるのが望ましい。ページをめくるのは、安全確認を怠れない公道なのですから。

「必要な情報を見たいときに、すぐに見られる」。Edge 1030は、サイコンを使いたい人にとっていちばん基本的なニーズをしっかりと満たしてくれるサイコンなのです。

3. 小型モデルよりバッテリーが長持ちする

本体下部。
▲本体下部。左が中断ボタン、右がスタートボタン。中央はゴム製のカバーで、その下に充電等に用いるMicro-USBコネクタがある。

もうひとつの目玉がその稼働時間。Edge 1030の公称稼働時間は最大20時間。前モデルのEdge 1000Jは15時間とされており、+5時間は大幅な増加と言っていいでしょう。ちなみに、Edge 820J、Edge 520Jも公称稼働時間は15時間なので、いちばん大型なのに、稼働時間も最長ということに。

下スワイプで表示されるメニュー画面。
▲下スワイプで表示されるメニュー画面。

書いている人が試したところ、ディスプレイ常時表示&バックライトオフという設定で、1時間あたり約6%バッテリー減という具合でした。9時間弱、ナビゲーションさせながら走って残り約47%。晴れた日の朝から夕方までのワンデーライドであれば、十分にもつはず。ディスプレイ常時表示&バックライトオン時(明るさ50%)&ナビゲーションなしだと、1時間あたり10%ほど減少しました。いずれにせよ、200km以上を走るブルベなどでない限りは、十分な稼働時間ではないでしょうか。

4. Edge 820Jと同等に見えて差別化された機能面

本体上面。
▲本体上面。

Edge 820Jで追加された、事故を検出し緊急連絡を行う機能や、Garmin Edge同士で位置をリアルタイムで表示できるようになるGroupTrackといったリスクヘッジに役立つ機能はEdge 1030ももちろん対応。また、GroupTrackにはほかのGarmin Edgeに簡易メッセージを送信できる機能が追加されています。

ナビゲーション機能も基本的には同等ですが、使い勝手はEdge 1030が上。特にルート計算にかかる時間がEdge 820Jよりも短くなっているのは見逃せません。サイコンを使う場合、引いたコース上を走ることが多いですが、アドリブでの行き先変更もスムーズに行えます。

また、Edge 1030専用の機能やUIも一部あり、それらも見やすく親切でなかなか便利。

(左)右左折地点に近づいた際に表示される画面。(右)急カーブを知らせるSharp Bend機能。ダウンヒル時に特に重宝する。
▲(左)右左折地点に近づいた際に表示される画面。(右)急カーブを知らせるSharp Bend機能。ダウンヒル時に特に重宝する。

具体的には、右左折予定地点が近づいたときに、専用の画面を表示してアラートしてくれる機能はナイス。土地勘のない場所だと、見落としやすいですからね。

ヒルクライマーにありがたいのが急カーブを知らせてくれる機能。ダウンヒル時のリスク回避に役立ちます。

スマホアプリ「Garmin Connect」上でトレーニング評価を表示したところ。この機能は、Edge 820Jにはない。
▲スマホアプリ「Garmin Connect」上でトレーニング評価を表示したところ。この機能は、Edge 820Jにはない。

それ以外では、無酸素運動と有酸素運動の2面からライドのトレーニング効果を評価してくれる機能が地味に便利。自転車にハマってパフォーマンスを上げたくなってくると、大いに参考になるはず。

ハイエンドな差別化が図られたGarmin Edgeシリーズの決定版

専用マウントを用いてセットアップした状態。シンプルな白と黒のデザインは、さまざまなフレームにマッチしやすい。
▲専用マウントを用いてセットアップした状態。シンプルな白と黒のデザインは、さまざまなフレームにマッチしやすい。

お気づきの方も多いでしょうが、Edge 1030の強みは他モデルとの差別化に当たる部分ばかりです。Edge 1030の立ち位置を一言で言い表すなら、「もっとも快適に、多機能に使えるサイコンのひとつ」。価格的に見て、単に“基本的な機能が使えること”を求めるのではなく、「機能の利用感」にこだわり、より安価な製品とのちがいに敏感な人向けのハイエンドモデルです。

そのため、自転車初心者で「みんなガーミンを使ってるし…」という理由でEdge 1030の購入を考えている人はちょっと立ち止まって考えたほうがいいでしょう。以前、Stravaを紹介する記事で触れましたが、サイコンの基本的な機能はスマートフォンアプリでも体験できます。まずは、そちらでサイコンのメリットを体感してみてもいいのではないでしょうか。サイコンは「この場面でこの機能がほしい」という具体的なニーズがないと、値段なりの価値を感じにくいです。多機能で高性能がウリで高価なGarmin Edgeシリーズは特にそうです。

「今サイコンが必要!」という人への最適解

また、自転車に必要なものはサイコンだけではないという点を忘れないでください。お尻が痛くてつらいなら良いサドルを買ってみたり、フィッティングを受けてみるのがいいかもしれません。ヒルクライムをしたいのに自転車が重く感じるなら、軽いホイールに換装することで劇的に変わる可能性があります。「重い」とか「痛い」とか感じているとどんどん自転車が楽しくなくなってしまいます。Edge 1030は税込で約92,000円。それは、初心者特有の問題を解決する費用としては、多くの場合、必要十分な額。

そのうえで、「自分に今必要なのはサイコン!」という人には最適解のひとつとなるでしょう。現行、その性能はシリーズ最高。しかもモデルチェンジしたばかりとくれば、いちばん買って後悔しづらいタイミング。Edge 1030は電動コンポに対応し、パワーメーター関連の機能も豊富なので、将来的な自転車のアップデートにも対応できます。旧Gamin Edgeシリーズからの買い替え先としても最有力ですね。

なお、書いてる人はEdge 820Jユーザーなんですが、乗り換えたくてたまらない…。隙なくまとまったハイエンド製品の最新モデルほど物欲を刺激するものはありません。しばらくの間、この上はないってことなので、だいたいベストバイになっちゃうんですよ!

基本仕様
基本仕様

GARMIN(ガーミン)EDGE1030J セット

GARMIN(ガーミン)シリコンケース EDGE1030用

Garmin(ガーミン) Edge1030用拡張バッテリーパック

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WRITTEN BYやざわ すみひこ

都内近郊の峠に週末繰り出すヒルクライム・ロングライド好き。長期休暇で自転車旅に出て日本国内を走りまわる。

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