サイクルスポーツジャーナリストで、さらに国内トップクラスの強豪ヒルクライマーでもある “ハシケン先生”が、自転車がさらに楽しくなるように、乗り方のテクニックを紹介する連載企画です。「もっと速く、ラクに走れるようになりたい」。そんな思いを持っているサイクリストの皆さんが抱える悩みのひとつに、カラダの痛みがあります。前々回の腰、前回の首・肩に続いて、今回はお尻の痛みの対処法、防止法を紹介します。

お尻に合ったサドルを選ぼう!


初心者、ベテラン問わず、ロングライドなどで長時間乗っていると痛みを感じやすい箇所がお尻です。お尻は、おもに体格によって骨盤の幅が異なる上、サドルの種類も多種多様なので、「これが正解」というものはありません。これが“サドル沼”と言われる所以ですね。様々なサドルを試し続けていたら、運命の出合いを果たせるわけでもありません。サドルの上での骨盤の角度やサドルの調整方法を知ることで、お尻の痛みが生じない快適なライドへ導くことができるでしょう。

まず、お尻の痛みがどのような状態なのかチェックしましょう。どこか局所的に痛みを感じやすいのか、全面的に痛みがあるのか。多くの人がお尻の股(サドルの先端)か、左右の坐骨に局所的な痛みを生じやすいはずです。この場合、まずはサドルの横幅に注目しながらサドルを選びます。ペダリングをしたときに左右の坐骨がサドルの中心(比較的厚みのある箇所)にくるモデルに絞りましょう。

角度調整だけで痛みが和らぐかも!?


お尻の股の痛みは、サドルを前下がりに調整するだけで緩和できる可能性がある。

▲お尻の股の痛みは、サドルを前下がりに調整するだけで緩和できる可能性がある。


お尻の股に痛みを感じやすい場合は、サドルの先端に溝が掘られたスタイルのモデルを選ぶことも対処法のひとつですが、それ以前にサドルの水平角度をチェックしましょう。サドルの前後位置ではなく、地面に対してサドルが水平かどうかです。
基本的に水平がベストだと思われがちですが、実は、お尻の尿道付近(先端)に痛みが出やすい場合、サドルをやや前下がりにセッティングするだけで痛みを解消できる可能性があります。先端に痛みがある場合は、試してみてください!

サドルの水平角度は、走り方のスタイルによってパターンを分けることもできます。ヒルクライムでは、やや前下がりにすると痛みを感じないだけでなく、力強いペダリングもできるようになります。実際に私も、ヒルクライムレースではやや前下がりのセッティングが好みです。
一方で、ロングライドやサドルの上でポジションを変化させたい長距離のロードレースでは、水平もしくは気持ち前上がりにセッティングすることもあります。
痛みの解消には、サドルの形状はもちろんですが、実はサドルの水平角度も重要なファクターなのです。 

ライド中はお尻の荷重を減らしてあげる


ペダル、サドル、ハンドルの3点に荷重を分散することで、お尻への負担を軽減。

▲ペダル、サドル、ハンドルの3点に荷重を分散することで、お尻への負担を軽減。


この他にもお尻の痛みを解消できる方法はいくつかあります。ビギナーにありがちな「サドルは座るもの」という考えを一度リセットしましょう。バイクの上ではあくまで、ハンドルとペダルとサドルの3点でバランスよく荷重を分散することが大切で、サドルにばかり荷重していると痛みが生じやすくなるのは当然なのです。時折、ダンシングを取り入れてお尻の圧迫を取り除いてあげることも忘れずにしましょう。

また、自転車専用のサイクルパンツ選びもポイントです。パッドの厚みや形状はモデルによって異なります。痛みの発生を防ぐという観点では、軽いけれどペラペラな薄手のものよりも、ある程度厚みと肉厚なクッション感を得られるパッドの付いたモデルがオススメです。

●バックナンバー「教えてハシケン先生」
第1回 上りのペダリングのコツは空き缶つぶし?
第2回 “上りやすい”フォームで走ろう!
第3回 ペダリングはタイミングが重要
第4回 ダンシングは“踏まずに乗せる”がポイント!
第5回 キツい坂道を楽に走るための呼吸法
第6回 “休めるダンシング”で急な上り坂も怖くない!
第7回 ラクに上れる!シフトチェンジの基本テクニック
第8回 腰が痛いと思ったら・・・1分ストレッチで筋肉をほぐす
第9回 首・肩のコリは30秒ストレッチで解消

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