【カッコイイ】段差回避の上級テクニック“ホッピング”~自転車の処方箋#17

「自転車の処方箋」は、サイクリストの悩みに元プロロードレーサーが、スパっと回答する連載企画です。今回は、神奈川県のCOMAさんから「ちょっとの段差でタイヤがパンクしてしまった」という相談をいただきました。前回の段差を回避するテクニックに続き、これを発展させた“フロントアップ”と“ホッピング”を解説します。それでは管さん、よろしくお願いします!

クランクワークによる大きなフロントアップ

低速で大きな段差を越える時に活用できるテクニックが、クランクワークによるフロントアップです。以前紹介してるチョコチョコ乗りの技術を応用すると、より高くフロントアップできます。
ポイントは、超低速域でクランクを1時の位置から2時へ踏み出すタイミングで重心を後方に向け、ハンドル(ブラケット)を軽く胸に引きつけることです。これにより、40cm程度の縁石でもカンタンに前輪を乗り上げられるでしょう。乗り上げた直後に勢い良くハンドルより前へ胸を突き出すと、後輪も縁石の上に載せられます。まずはランニングシューズなどを履いて、小さな縁石からトライすると上達しやすいです。

クランクを1時から2時へ踏み出すタイミングで重心を後方に向け、ハンドルを引きつければ、大きなフロントアップが可能。
▲クランクを1時から2時へ踏み出すタイミングで重心を後方に向け、ハンドルを引きつければ、大きなフロントアップが可能。

両輪を浮かせるホッピング

スピードが出ている走行ラインで、小さな段差や路面の穴を回避するのに最も利用するのがホッピングです。利点は、ほとんどスピードを殺さずに真上に回避できるため、ラインを崩さずに障害物をクリアできることです。
ビンディングシューズを着用したホッピングは、非常に容易です。まず、障害物の手前で、クランクを水平にした状態でヒジとヒザを曲げて胸を下げ“溜”を作ります。障害物の直前で、クランクを軸に足首とヒザのバネを使って飛び上がると同時に、ブラケットを持った手とヒジを固めることで前後輪から抜重します。飛び上がった頂点でヒザを曲げて構えれば、より高く飛ぶことができます。
着地は足を軽く伸ばした状態で入り、着地と同時にヒザとヒジを軽く曲げてバネにすれば、着地の衝撃を最小限に留められます。まずは水たまりをジャンプするなどして、リスクの低い環境で練習するのが最適です。使いこなすと、きっと華麗なレーサーに転身した心地になるでしょう。

“溜”を作り、障害物の直前で飛び上がる。同時に手とヒジを硬め、前後輪から荷重を抜く。
▲“溜”を作り、障害物の直前で飛び上がる。同時に手とヒジを硬め、前後輪から荷重を抜く。

飛び上がった頂点でヒザとヒジを曲げれば、より高く飛べる。
▲飛び上がった頂点でヒザとヒジを曲げれば、より高く飛べる。

フラットペダルは難易度がグンとアップ

一方、フラットペダルでのホッピングは難易度がグッと上がります。
飛ぶ直前にクランクを水平に、ヒジとヒザをやや深く曲げ、体幹を固めて両ペダルを同時に蹴り上げます。その瞬間、ももを勢い良くお腹に引きつけ、ヒザを曲げてジャンプします。同時に足首をスナップさせ、シューズの底のグリップを生かし両ペダルを引っ掛けることで飛び上がる体勢ができ上がります。
このタイミングで、ブラケットを持った手首を固めて胸にハンドルを引きつけると、ほんの少しバイクのタイヤが地面から離れた感覚を得られるでしょう。飛び上がったら足首を使い、ペダルを水平に着地します。着地の振動はヒジとヒザの曲げをクッションにすると良いでしょう。飛び越える目標物を置いて練習を重ねると、フラットペダルでのホッピングが可能になります。

構える隙もない障害物回避のキーV字バランス

これまで抜重を利用したテクニカルな障害物回避を紹介しましたが、とっさに使えて最も汎用性が高い方法を紹介します。
動作はカンタン、走行中障害物に遭遇したら、障害物へ向けて上半身を傾けるだけです。するとバランスを取ろうとバイクは障害物の逆側に流れ、乗り上げを回避できます。クランクを水平に構えればより安定感を得られるでしょう。

これは、リーンインのコーナーリングで紹介したV字バランスと同じです。スピードが乗っている時でもコントロールしやすく、レースシーンや峠の下りでの障害物回避、クルマのオーバーランなどのアクシデントに非常に有効な手段になります。

上半身を障害物へ傾けるとバイクは自然と逆方向に流れ、障害物を回避できる。
▲上半身を障害物へ傾けるとバイクは自然と逆方向に流れ、障害物を回避できる。

一方スピードが出ている状態で障害物を目前にとっさにハンドルを切ってしまうとバイクが大幅にブレて、ハンドルを戻すタイミングで転倒する可能性が高くなります。コーンなどを使って余裕のあるスピードから繰り返し練習してみましょう。

●バックナンバー「自転車の処方箋」
第1回:上手い下りの走り方
第2回:楽しく上るための回転数と心拍数の関係
第3回:予習が上りを楽にする
第4回:緩い上りは“もも裏”で効率的に上る
第5回:平均勾配7.8%の激坂の走り方
第6回:斜度に合わせてシッティングとダンシングを使い分ける
第7回:バイバイ立ちゴケ! 走行スキルを高める“スタンス”とは?
第8回:「自転車が下手だな」と思うなら…各段にうまくなる“チョコチョコ乗り”を
第9回:段ボールでマスターする平地のダンシング前編
第10回:“華麗なダンシング”のための3つのポイント
第11回:スマートに止まるブレーキングの極意
第12回:安全に止まるためのバイクコントロール
第13回:3つのスキルでコーナリングの達人になろう(基本編)
第14回:3つのスキルでコーナリングの達人になろう(外足荷重編)
第15回:3つのスキルでコーナリングの達人になろう(リーンイン・リーンアウト編)
第16回:リム打ちパンクは“抜重”で回避する

管洋介

WRITTEN BY管洋介

1980年生 A型 日本スポーツ協会公認コーチ 競技歴22年のベテラン。国内外で50ステージレース以上経験し、スペインで5シーズン BRICO IBERIA 、VIVEROS [現 CONTROL PACK]と契約、国内ではアクアタマを設立、インタープロ、マトリックス、群馬グリフィンを経て、国内の有望な若手選手とファーストエイドなど安全啓蒙を指南できるメンバーを集めたAVENTURA CYCLINGを2017年に設立、走りながら監督を務める。プロカメラマンでもあり、自転車雑誌の製作に長く関わっている。現在はプロライディングアドバイザーとして初心者向けのライディングレッスンなどを多く手がける。

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