自転車旅が大好きなモデル兼トラベルライターの山下晃和(やましたあきかず)さんが、キャンプをしながらの自転車旅(バイク&キャンプといいます)の楽しみ方を伝える連載企画です。
ポイントは2泊3日。
この泊数を無理なく旅することができるようになれば、国内でも海外でも、長期間の旅でも問題なく楽しめるようになるという。とはいうものの、「どんな自転車が必要?」「必要なギアは?」「外で寝るの怖い(笑)」などなど、越えなきゃいけないハードルはいくつかあります。それらを初心者でもひとつずつクリアしていけるように、山下さんにはその旅のレシピを教えてもらう予定です。それではよろしくお願いします!
収納できるスペースを増やす
前回お伝えしたように、フロント周りは大型のハンドルバッグを装着させていました。それ以外に、サスペンションに後付けできるリクセン&カウルのボトルフィクスとブラックバーンのアウトポストカーゴケージを装着して、そこにスリーピングバッグやアウトドア用チェアのヘリノックスミニなどを付けています。
このアウトポストカーゴケージは非常に優秀で、ボトルケージよりも大きくて、バックルが2本付いているので、サイクルボトルよりも大きなアウトドア用のナルゲンなどのウォーターボトルや、キャンプ用のサンダルや、ジェットボイルというシングルバーナーの調理器具なども載せられるのです。
今回は取り付けていませんが、反対側のサスにも同様のものが取り付け可能です。全部をパッキングして、それでも荷物が収まらなかったときは装着させます。でもそうすると左右のバランスも取れるので、乗り心地は向上します。
こちらもオルトリーブのシートパックにWOHOのアンチスウェイサドルバッグスタビライザー付き。こちらにはボトルケージを左右1つずつ装着できるダボ穴があります。シートポストにはKCNCの軽量シートポストを使っています。少し高価ですが、軽量で頑丈な造りになっています。
リアには以前ロードバイクでのキャンプ道具について書いたときの積載と同じで、オルトリーブの大型のサドルバッグを装着させます。その中に、テント、スリーピングバッグ、マットの3つを入れています。できるだけシートポストに近い側に重い物を入れると安定します。よって、リアのサドルバッグではシートポスト側、フロントバッグはハンドル側に重めのものを収納すると良いでしょう。
上の画像では分かりにくいのですが、MTBでシングルトレイルを走る時は、左右にバッグが振られないようにWOHOというブランドのアンチスウェイサドルバッグスタビライザーという金属製のフレームを付けています。
これを装着しているためサドルバッグの着脱はややコツが必要になりますが、キャンプツーリングやバイクパッキングで一夜キャンプをするときはバッグ類を外さないので、一度装着してしまえば、あとは付けっぱなしでもOKです。
フラペ装着で歩きやすさ重視
ツーリングやバイクパッキングのときは、自転車を停めて歩いて散策したり、山を登るために担ぎ上げるときや押して歩くときのためにトレイルランニングシューズを履くことが多いので、フラットペダルにしています。
こちらはNC-17(エヌシーセブンティーン)というドイツのブランドのペダルです。このブランドが大好きで、いろいろと探しているのですが、日本で取り扱っているお店が少ないため、海外サイトから直で個人輸入しました。こちらのタイプはアルミ製でグリーンのアルマイトカラーがキレイで、軽量で回転もスムーズ、価格も1万円弱なので、コストパフォーマンスが高いと思います。ピンの配列も秀逸で、ほとんどのシューズに食いつくため、トレイルライドでは抜群の安定感を誇ります。
走行性能重視でタイヤはクロスカントリー用をチョイス
MTBは、タイヤの性能で走破性がだいぶ変わってきますので、重要なパーツと言えるでしょう。仕様用途もいろいろあって、クロスカントリー、ダウンヒル、フリーライド、ツーリング、スリックタイヤなどがあります。私の現在のお気に入りは、写真のとおり、MAXXIS(マキシス)のARDENT(アーデント)というモデルです。
こちらは、クロスカントリー用で非常に軽量、転がり抵抗もなくスムーズ。それでサイドスキンという横の部分が肌色になっているタイプ。昔はこういったサイドスキンタイヤが主流でしたが、ここ最近は黒一色が多かったと思います。少しオールドスクールな見た目になって、カッコイイのでこれを選びました。市場価格は1本7,000円前後、フロントとリアを合わせても14,000円なので値段も高すぎることはありません。ここ最近、アパレル関係の仕事をしている人は、サイドスキンタイヤを履かせている方が多くなって来たので、もしかしてオシャレ路線なのかもしれません。
おすすめのキャンプ用MTB
私が、いま注目しているバイクパッキングやキャンプにオススメの一台はSALSA(サルサ)の「19 JOURNEYMAN CLARIS 650」というモデルです。こちらは、私のMTBと違って、タイヤは27.5インチが付いています。でもロードバイクの700cホイールも使用できるなど、シチュエーションによってどちらもできるのが長所です。
フレームサイズのバリエーションもあって、身長150㎝の方から183㎝の方までラインナップがあります。それ以上大きい方はパーツでセッティング出した方が良いですが。フレームにはダボ穴(キャリアやボトルケージが付けられるネジ穴)がものすごく多く、汎用性があります。
フロントフォークにも3つのネジ、トップチューブにも、ダウンチューブにもあるので、あらゆる場面での積載が考えられているのです。キャンプツーリングでは、3種の寝具だけではなく、調理器具、焚き火台、食材、食器、ライト類、衣類などもあると快適になります。キャンプの時間を長く取り、何日間もかけて大陸横断をするようなシチュエーションと、シングルトレイルや未舗装路を延々と走るような冒険的な旅に最適な一台だと思います。
次回はキャンプを快適にするアイテム等をご紹介します。
●バックナンバー「バイク&キャンプのレシピ」
第1回 まずは旅に出てみよう!
第2回 テント、寝袋、マット。まずは三種の寝具をそろえるべし!
第3回 自転車旅に最適なテントとは?
第4回 ちゃんと眠れる自転車旅向けの寝袋とは?
第5回 キャンプツーリングに向いている自転車とは?
第6回 ロードバイクでキャンプは難しい?
第7回 自転車旅に最適なタイヤとは?
第8回 いろんなバイクで旅する方法
第9回 ロードバイクでキャンプに行く方法その1
第10回 ロードバイクでキャンプに行く方法その2
第11回 MTBでキャンプをするための最低限の知識 その1