自転車キャンプを快適にするアイテム その2~2泊3日「バイク&キャンプ」のレシピ#14

自転車旅が大好きなモデル兼トラベルライターの山下晃和(やましたあきかず)さんが、キャンプをしながらの自転車旅(バイク&キャンプといいます)の楽しみ方を伝える連載企画です。

ポイントは2泊3日。
この泊数を無理なく旅することができるようになれば、国内でも海外でも、長期間の旅でも問題なく楽しめるようになるという。とはいうものの、「どんな自転車が必要?」「必要なギアは?」「外で寝るの怖い(笑)」などなど、越えなきゃいけないハードルはいくつかあります。それらを初心者でもひとつずつクリアしていけるように、山下さんにはその旅のレシピを教えてもらう予定です。それではよろしくお願いします!

シングルバーナーで温かい食事を

キャンプの食事はどこかに食べに行くか、お弁当などを買って食べたほうが簡単で荷物にもならないのですが、特にMTBやツーリング車の場合は食材や調理器具であるシングルバーナーを積めるので、これらがあるとアツアツの料理が食べられます。

縦走登山で人気のあるSOTOのウィンドマスターというシングルバーナーです。
▲縦走登山で人気のあるSOTOのウィンドマスターというシングルバーナーです。

燃料の銀色のOD缶(オーディー缶)はアウトドアショップでしか売っていないため購入準備をする必要はありますが、軽量でわずか67gです。SOTO(ソト)という日本のブランドで、愛知県に会社、工場があります。もともと火器を扱う新富士バーナーという会社の登山、キャンプギアのため品質も最高級品です。写真のタイプはウインドマスターというもので、火が出る場所がすり鉢状になっているため熱が集中し、強風にも耐えられるためこういうネーミングになっています。登山の際、標高が高い低温の地でも着火できる長所もあります。

他にもイワタニプリムス、スノーピーク、MSR、ジェットボイルなどのバーナーも優秀です。これらの製品は初心者でも安心して使えますので、自分の好みで選んでください。

さて、これだけでは料理はできないので、アウトドア用の鍋とフライパンであるクッカーを使います。クッカーはいろいろな素材がありますが、私は、今Zerogramという韓国のブランドのクッカーを使って料理を作っています。コチラはチタン製です。

チタンは軽くて、熱伝導率が高いので素早く料理ができます。じっくり煮込み料理には向いていないですが、ササっとお湯を沸かすのに向いています。他にアルミ素材のクッカーが軽量です。少々重いのはスキレットという鉄製のフライパンです。キャンパーで持っている方は多いと思いますが、自転車に積載するとなると少々辛いと思います。

鍋に長い持ち手が付いたアウトドア用のクッカーを使って料理を作ります。
▲鍋に長い持ち手が付いたアウトドア用のクッカーを使って料理を作ります。

フタと鍋に分かれていて、深いほうの鍋ではメインで、パスタ、うどんをゆでたり、米を炊くこともできます。フタでは浅いフライパンになっていて、肉、野菜などを焼けます。お湯を沸かせれば、温かいお茶やコーヒーも飲めるので、寒い日はほっと一息つけます

重ね方を工夫すれば省スペース化も

またこのクッカーはスタッキングと言って、うまく収納させることで、MTBでトレイルを走る際もカタカタ音がならないようにできます。
その収納の仕方をご覧ください。
 

まずは、OD缶にモンベルのカバーを付けます。軟らかい素材になっていて、クッカーと振れても金属音が無くなります。
▲まずは、OD缶にモンベルのカバーを付けます。軟らかい素材になっていて、クッカーと振れても金属音が無くなります。

間に食器を拭くためのマイクロファイバータオルを挟んで、その中にSOTOのウィンドマスターを包んで入れます。
▲間に食器を拭くためのマイクロファイバータオルを挟んで、その中にSOTOのウィンドマスターを包んで入れます。

これらを付属のメッシュバッグに入れます。
▲これらを付属のメッシュバッグに入れます。

蓋の上には、SIGGというスイスのブランドのナイフ、フォーク、スプーンセットを置きます。
▲蓋の上には、SIGGというスイスのブランドのナイフ、フォーク、スプーンセットを置きます。

SIGGのナイフセットはこのように3つが取れるようになっています。
▲SIGGのナイフセットはこのように3つが取れるようになっています。

クッカーで作った料理を食べるときにフォークやスプーンを使います。調理するときにナイフとして使用できます。このSIGGというスイスのブランドナイフは、3つが外せるので食事をするときにフォークとスプーンの両方が使えたり、ナイフとフォークが使えたり、洗う時に便利だったり、重宝します。またナイフさえあれば、落ちている枝を削って、お箸を作ることも可能です。スタッキングするときは専用の袋に入れてクッカーの上に載せます

さらに、食事の際に座って食べたいときは折り畳み式の椅子があると良いでしょう。ヘリノックスという韓国のブランドのタクティカルミニというものを愛用しています。もし椅子を積載できなかった場合や忘れてしまった場合は、キャンプ場にある木や岩を椅子として利用するワイルドなやり方もあります。

ヘリノックスは、今キャンパーの間で絶大なる人気です。座り心地の良さ、小さくコンパクトに畳めるところ、軽量なアルミポールのフレームであるところなど、自転車のキャンプツーリングでもオススメできます。

A&Fカントリーというお店で売っているヘリノックスミニタクティカルというコンパクトなアウトドア用チェアです。
▲A&Fカントリーというお店で売っているヘリノックスミニタクティカルというコンパクトなアウトドア用チェアです。

私は、家でテレビを観るときや、洋服を置いておく時など、アウトドアでもインドアでも使っています。こちらはミニという小さいタイプなので、耐荷重が80㎏まで。もし、体重がある方や体が大きい方は普通のサイズのものにしましょう。

プラティパスのウォーターボトルです。水を携帯するのには必要になってきます。
▲プラティパスのウォーターボトルです。水を携帯するのには必要になってきます。

キャンプ場には水場があって、飲料水、調理のため、歯磨きや身支度をするためなど利用できます。こういった水場、トイレ、シャワーなどの施設があることが、キャンプ場と野宿の違いです。水を利用する際はペットボトルやナルゲンボトルでも良いのですが、小さく折り畳めるという点でプラティパスのボトルは便利です。500mlや1Lのものなどがあって、BPAフリーで臭いが付きにくいのも特徴です。また、頑丈な素材のため壊れにくいのも利点です。よく100円ショップなどで売っているものは壊れやすいので注意が必要です。

こちらがフロントバッグに入れていたものです。焚き火台、クッカー、シングルバーナー、ナイフセット、ヘッドライトなどです。
▲こちらがフロントバッグに入れていたものです。焚き火台、クッカー、シングルバーナー、ナイフセット、ヘッドライトなどです。

オルトリーブの大型フロントバッグにはこれらを収納していました。この他に、歯磨きセットや化粧水を入れた化粧ポーチセット、下着、防寒着、着替えなどの衣類などを入れると良いでしょう。バッグの中央に重ためのものを入れて、両端には軽くて形が整えやすい衣類が来るといいと思います。

こちらがリアに装着していた大型サドルバッグの中身です。
▲こちらがリアに装着していた大型サドルバッグの中身です。

サドルバッグにはMTBとロードバイクと同じようにテント、スリーピングバッグ、マットを積載しました。一番重いテントをシートポストに近い側に入れるのもコツです。重たい工具類を入れるのであればそれらも体に近い側に積載します。身体から遠いところには軽くて、形が変えられるスリーピングバッグや衣類などを積むと綺麗にできます。
遠い箇所に重い物があるとライディングのときに左右にブレてしまうからです。

これくらいあるとキャンプをする際もかなり充実した夜を過ごせるのではないでしょうか。さらに、これに3日分の食事、3日分の衣類を入れておけば、2泊3日のキャンプツーリングやバイクパッキングの旅に出られます。そして、3日乗り切れば、このあと1か月でも、1年でも同じようなサイクルを繰り返せば良いのです。衣類は3セットあると、洗濯したもの、着ているもの、次に着ているものと、それらをドローコードで乾かしながらローテーションしていきます。

次回はキャンプツーリングでキャンプ場についたときの流れを説明したいと思います。

●バックナンバー「バイク&キャンプのレシピ」
第1回 まずは旅に出てみよう!
第2回 テント、寝袋、マット。まずは三種の寝具をそろえるべし!
第3回 自転車旅に最適なテントとは?
第4回 ちゃんと眠れる自転車旅向けの寝袋とは?
第5回 キャンプツーリングに向いている自転車とは?
第6回 ロードバイクでキャンプは難しい?
第7回 自転車旅に最適なタイヤとは?
第8回 いろんなバイクで旅する方法
第9回 ロードバイクでキャンプに行く方法その1
第10回 ロードバイクでキャンプに行く方法その2
第11回 MTBでキャンプをするための最低限の知識 その1
第12回 MTBでキャンプをするための最低限の知識 その2
第13回 自転車キャンプを快適にするアイテム その1

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WRITTEN BY山下晃和

タイクーンモデルエージェンシー所属ファッションモデル。また海外40か国以上を旅してまわるトラベルライターとしても活躍。自転車だけでなく、放浪バックパッカー、モーターサイクル、登山、トレイルラン、パックラフトなどの旅も得意としている。JACC(日本アドベンチャーサイクリストクラブ)の評議員、自転車とキャンプのフェスティバル「BIKE&CAMP」主宰、メーカー、企業の旅プロダクトのアドバイザリーなども務める。著書「自転車ロングツーリング入門(実業之日本社)」 http://www.akikazoo.net

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