2020年版|TIME(タイム)ロードバイクおすすめモデル全10台

サイクリストにとって憧れのブランドのひとつ、TIME(タイム)。2020年モデルではクラシックロゴが復活、待望の完成車と嬉しいニュースが重なりました。自社工場での独自カーボンフレーム製法にこだわり続け、振動軽減システム内蔵のフォークにフレーム一体型のインテグラルシートポストなど、特筆すべきテクノロジーもしっかり解説。2020年の最新モデルとともにお届けします。

まさに憧れ。TIME(タイム)というブランド

Image: TIME Sport

タイムはフランスで1987年に創業した、比較的若いメーカーです。同じくフランスのメーカーであるルック社のように、始まりはビンディングペダルの製造でした。
後にカーボンフレームに着手し、自社工場で独自の製法を貫く数少ないメーカーです。ロード乗りにとっては憧れの存在のひとつでしょう。

トッププロ仕様。レースでの活躍

ロードレースの象徴とも言うべきプロロード選手もタイムのロードバイクで活躍してきました。例えばトム・ボーネンやローラン・フィニョン、ジルベール・デュクロラサール、ジャニー・ロンゴ、トマ・ヴォクレールなど、多くのチャンピオンたち。

トッププロの走りに応えるタイムのロードバイク、他と一線を画す秘密はどこにあるのでしょうか。

TIMEロードバイクの特徴

自社製造で生みだされるタイムのフレームたち。タイム独自の特徴として必ず挙げられるのがRTM工法という独自のカーボン成形法です。
このRTM工法をはじめ、TIMEのロードバイク製造にはさまざまな秘訣による造作が施されています。以下、その特徴を紹介していきましょう。

TIMEといえばRTM工法

RTM(Resin Transfer Molding:レジン・トランスファー・モールディング)工法はタイムが採用するカーボン成形技術です。一般的なカーボンロードフレーム製法とは成形手順が全く違います。

RTM工法とは
編み込まれたカーボン繊維を靴下のように芯材に履かせ、成型した状態で金型に入れた後、加圧下で樹脂を注入する方法。
多くのカーボンロードフレーム製法は、カーボン繊維を先に樹脂に浸透させプリプレグというシートを作り、それを切り貼りして成形したのち加熱・加圧をする。

工程がよくわかる! 公式の動画をチェック

芯材のまわりに靴下を履かせるようにして成形する。 Image: TIME Sport

上がRTM工法。先に樹脂を含んだプリプレグ(下)に比べ、空気を完全に排除できる。RTM工法は個体ごとの性能差が抑えられるのも特徴。 Image: TIME Sport

個体差が出にくいタイムのフレームは、寸法精度の高さも大きな利点です。「タイムのフレームにタイムのシートポストを差し込むと、寸分違わずにピタッと収まる」とは、監修メカニックの経験談。

選べるフォークとシートポスト

TIMEのラインナップの多くはフレームセットでの販売ですが、モデルによってフォークやシートポストの形状を選択できるようになっています。

TIMEのアクティブフォークとは

フォーク形状は以下の2つのタイプがあります。

アクティブフォーク

振動軽減システム(アクティブ・マス・ダンパー)をフォーク下部に内蔵し、路面からの振動を30%減衰させる効果を発揮します。キャリパーブレーキ仕様車にはフォークの両方、ディスクブレーキ仕様車はフォークの右側のみ搭載。その効果を以下の動画で確認してみましょう。

▲アクティブなし:与えた振動が長く続き、減衰まで時間がかかるのがわかります。

▲アクティブあり:与えた振動が短時間で収束され、ストレスを回避するのがわかります。

〇ポディウム公式ブログでアクティブフォーク開発の背景をチェックできます。

→「Timeの源流を訪ねる 2|プラネットポディウム編集部

クラシックフォーク

振動軽減システムを搭載しない通常のカーボンフォークです。

アクティブフォークを”完璧なシステム”としながら、従来のクラシックフォークを採用する意味とは?上記プラネットポディウム編集部ブログより、伝説のエンジニア、ジャン・マルク・グッグヌーの言葉を引用して紹介しておきましょう。

1グラムでも軽量なフレームが欲しいという人は少なくありません。そして、コストの問題もあります。スムーズな路面であっても、アクティブの意味合いはありますが、たいして距離を走らない人もいます。また、ドイツみたいに、路面がすごくいいところの状況だったら、クラシックフォークも悪くはないですよ。

少しでも軽くしたい、また自身の走行シーンを考えるとクラシックフォークの方が実は適しているというケースもあるでしょう。フォークの種類の違いで、5~7万前後という差が出てきますから、慎重に選ぶポイントと言えそうです。

2種類のシートポスト

シートポスト形状も以下の2つのタイプがあります。

  • トランスリンク:フレーム一体型のインテグラルシートポスト(ISP)
  • シートポスト:従来型のシートポスト
トランスリンクのフレーム(画像はサイロン2019年モデル)。シートチューブの高さに注目。
トランスリンクのフレーム(画像はサイロン2019年モデル)。シートチューブの高さに注目。

2020年の注目ポイント:完成車の登場にお馴染みのロゴへ

ALPE D’HUEZ 21完成車、展示モデル(搭載スペックは実際と異なります)
ALPE D’HUEZ 21完成車、展示モデル(搭載スペックは実際と異なります)

まずは、長らくフレームセットのみの展開だったTIMEに完成車が登場したこと。詳しいスペックは下記を参照していただきたいですが、ALPE D’HUEZ 01とALPE D’HUEZ 21のフレームセットをベースにした2台のラインナップです。
昨年12月に受注が開始され、待望の……という言葉が似合うモデルに仕上がっています。

そしてひと目でわかるロゴ。全車とも、ダウンチューブのロゴが「TIME」のプリントに戻りました。

全車、ダウンチューブのロゴが「TIME」のプリントに戻った

2018年にデザインが刷新され、大胆なアートワークが施されて好評を得ていましたが、こちらのクラシックロゴのほうが馴染みのある人も多いのではないでしょうか。そのへんはライダーの好みとなるでしょう。

左)2019年モデル、右)2020年モデルのALPE D'HUEZ01。あなたはどちらが好み?
左)2019年モデル、右)2020年モデルのALPE D’HUEZ01。あなたはどちらが好み?

TIME 2020年モデル紹介

TIMEのロードバイクは、特徴ごとに以下のシリーズに分かれています。

  • SCYLON(サイロン):空力性能に優れたエアロレースバイク
  • FLUIDITY(フルイディティ):エンデュランスバイク
  • ALPE D’HUEZ(アルプデュエズ):軽量なヒルクライム向けバイク

2019年モデルからすべてのバイクがディスクブレーキ対応となり、キャリパーブレーキとディスクブレーキを選択できるようになりました。

それでは以下、ラインナップを紹介していきましょう。

SCYLON(サイロン)

SCYLON(サイロン)


TIME独自のRTM工法と各部のブラッシュアップによって、さらなる高性能化を果たしたエアロロードバイク・シリーズです。フォークはアクティブとクラシック、シートポストはトランスリンクと従来型に、選択はすべて可能。

SCYLON FRAME SET

SCYLON FRAME SET

カラー:プルミエ
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL

フォーク種別 シートポスト形状 価格(税抜)
アクティブフォーク トランスリンク 600,000円(税抜)
シートポスト 580,000円(税抜)
クラシックフォーク トランスリンク 540,000円(税抜)
シートポスト 520,000円(税抜)

SCYLON DISC FRAME SET

カラー:プルミエ
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL

フォーク種別 シートポスト形状 価格(税抜)
アクティブフォーク トランスリンク 650,000円(税抜)
シートポスト 630,000円(税抜)
クラシックフォーク トランスリンク 580,000円(税抜)
シートポスト 560,000円(税抜)

FLUIDITY(フルイディティ)

FLUIDITY(フルイディティ)

このシリーズは振動吸収性を重視した、TIMEのラインナップの中でも特に乗り心地が良いエンデュランス系モデルです。ヴェクトラン繊維を使用することで、細かな路面の振動を抑えて快適なライドフィールを実現しています。

またフレームのジオメトリーは、上半身を起こしたアップライトなポジションがとれるように設計されており、ロングライドでも疲れ知らずに乗ることができるでしょう。キャリパーブレーキ仕様車はフォークとシートポストの選択が可能。ディスクブレーキ仕様車はクラシックフォークのみの展開です。

FLUIDITY FRAME SET

FLUIDITY FRAME SET

カラー:プルミエ
サイズ:XXXS、XXS、XS、S、M、L、XL

フォーク種別 シートポスト形状 価格(税抜)
アクティブフォーク トランスリンク 490,000円(税抜)
シートポスト 470,000円(税抜)
クラシックフォーク トランスリンク 430,000円(税抜)
シートポスト 440,000円(税抜)

FLUIDITY DISC FRAME SET

カラー:プルミエ
サイズ:XXXS、XXS、XS、S、M、L、XL

フォーク種別 シートポスト形状 価格(税抜)
クラシックフォーク トランスリンク 490,000円(税抜)
シートポスト 440,000円(税抜)

ALPE D’HUEZ(アルプデュエズ)

ALPE D’HUEZ(アルプデュエズ)

2018年までラインナップされていたIZON(アイゾン)を前身とした軽量バイクシリーズです。名の由来はツール・ド・フランスの景勝地「l’Alpe d’Huez(ラルプデュエズ)」から冠されています。IZONと比較して重量が8.6%減の840g(ALPE D’HUEZ 01のSサイズ)と、TIME史上最軽量を実現。剛性/重量比も25%アップしており、ただ軽いだけのバイクではありません。

さらに注目は完成車のラインナップです。特にALPE D’HUEZ 21をベースにしたシマノ・アルテグラ仕様車は30万円代ギリ! 高価で知られるTIMEによる挑戦と受け取っていいでしょう。

ALPE D’HUEZ 01 FRAME SET

ALPE D’HUEZ 01 FRAME SET
※画像は完成車イメージ

カラー:レッドグロス×マットロゴ
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL

フォーク種別 価格(税抜)
アクティブフォーク 610,000円(税抜)
クラシックフォーク 550,000円(税抜)

ALPE D’HUEZ 01 DISC FRAME SET

カラー:ダークグレイマット×グロスロゴ、ダークグレイグロス×マットロゴ、レッドグロス×マットロゴ
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL

フォーク種別 価格(税抜)
アクティブフォーク 650,000円(税抜)
クラシックフォーク 580,000円(税抜)

ALPE D’HUEZ 21 FRAME SET

ALPE D’HUEZ 21 FRAME SET
※画像は完成車イメージ

カラー:レッドグロス×マットロゴ
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL

フォーク種別 価格(税抜)
アクティブフォーク 340,000円(税抜)
クラシックフォーク 290,000円(税抜)

ALPE D’HUEZ 21 DISC FRAME SET

カラー:ホワイトマット×グロスロゴ、ダークグレイグロス×マットロゴ、レッドグロス×マットロゴ
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL

フォーク種別 価格(税抜)
アクティブフォーク 390,000円(税抜)
クラシックフォーク 340,000円(税抜)

2020 ALPE D’HUEZ 01 アクティブフォーク K-ForceWE DISC 完成車

2020 ALPE D’HUEZ 01 アクティブフォーク K-ForceWE DISC 完成車

価格:1,200,000円(税抜)
コンポーネント:FSA K-ForceWE DISC
ホイール:Vision メトロン40SL
カラー:ダークグレイマット×グロスロゴ、ダークグレイグロス×マットロゴ、レッドグロス×マットロゴ
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL

2020 ALPE D’HUEZ 21 クラシックフォーク アルテグラ 完成車

2020 ALPE D’HUEZ 21 クラシックフォーク アルテグラ 完成車
※フォーク・コンポーネント類は実際の仕様と異なります

価格:399,000円(税抜)
コンポーネント:シマノ・アルテグラ R8000
ホイール:Vision TEAM30
ブレーキ:キャリパーブレーキ
カラー:レッドグロス×マットロゴ
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL

2019年モデルもあわせてチェック!

前年度モデルと比較したい方はこちらから。

まとめ

いつかは乗りたい……と思っているライダーも多いのがTIMEです。対費用効果が抜群で、走りはピカイチ。ホビーレース界隈で勲章を得るならTIMEのバイクはもってこい。きっとあなたをチャンピオンロードに誘ってくれるでしょう。ポテンシャルは無限。フレームセットを購入したら「ああしよう」「こうしよう」と、あなた好みのコンポーネントとホイールで着飾ってみるのも楽しい。そこには世界で一台だけのロードバイクが現れてくれるはずです。いつかはTIME。これを合言葉に自転車貯金に励みましょう!

First edition by Neko Chigura

監修:サイクルアシスト オオバ 大場忠徳
Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

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WRITTEN BY増渕俊之

出版社勤務を経て、フリーランスの編集/ライター。編著に『これがデザイナーの道』『自転車ファンのためのiPhoneアプリガイド』『岡崎京子の仕事集』がある。現在、編集を手がけた岡崎京子の単行本『レアリティーズ』が発売中。

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