和歌山パンライド! きのくに線サイクルトレインで巡るおすすめパン屋 ~後編~

サイクルトレインを使って、和歌山の絶景とともにイチオシパン屋を巡る本企画。

前編では、カエル推しの印南駅からサイクルトレインに乗り、「もぎゅ」食感のプレッツェルと出会い、離島のパン屋で鳥のさえずりを聞きながらパンを堪能しました。

和歌山県内でも屈指の海岸景観を誇るエリアを走り、開放感たっぷりの1日目から一転、2日目は山々の息づかいを感じる荘厳なエリアを探訪します。

今回もサイクルトレインをうまく活用しながら、新たな和歌山のパン屋さんを見つけにいきましょう!

>> 先に前編をチェックする? こちらから

まだまだ続く! 2日目もパンライドを楽しみ尽くそう!

圧巻の景色を求めて、那智の滝へ

那智の滝前走り
日本一の落差(133m)を誇る那智の滝。世界遺産の構成資産で、遠くから見てもその壮大さが分かります

2日目は那智勝浦のサイクリングから始めましょう!

那智勝浦は、生マグロの揚がる港町としておなじみですが、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産である熊野古道や熊野那智大社、那智の滝がある世界遺産の町としても知られます。せっかくなのでサイクリングで行ってみましょう!

宿から勝浦漁港方面を目指すと、路面の左側に青いラインが引かれています。これはWAKAYAMA800のルートである目印。これをたどって走れば那智勝浦海水浴場を経て熊野那智大社へと至る県道46号に出ます。

県内全域、約800kmにわたるブルーライン(WAKAYAMA800)を整備する和歌山県

ここからは登りです。「登りはイヤだ!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、個人的には那智の滝がある飛瀧(ひろう)神社までは絶対登るべきだと断言します! 滝への道中にある熊野古道・大門坂の石畳の道は神々しい美しさが魅力の写真映えスポットですし、那智の滝は一段の滝としては落差133mと日本一の落差を誇ります。「登ってよかった」と思えること間違いなしです! 登りがきついところは軽いギヤを出し惜しみせずに早め早めに変速して走ると意外にラクに登れますよ。

那智勝浦インター入り口交差点から6kmほど登ると、熊野古道・中辺路の映えスポット・大門坂の石段があり、さらに少し登ると正面に那智の滝が見えてきます! ここまで来たら飛瀧神社まであと少し。神社に着いたらご神体の那智の滝を拝み、今日のパンライドの無事を願いましょう!

熊野古道・大門坂だけでなく、飛瀧神社の境内は石段や石畳があり、ロードバイク用のシューズでは歩きにくいので、MTBやタウンライド用のビンディングシューズ(SPDシューズなど)か、歩きやすい靴を持参することをおすすめします。

熊野古道大門坂
熊野古道の数あるルートの中でも屈指の映えスポットとして知られる大門坂。杉の巨木の樹叢を通る熊野那智大社へと続く石畳の道が実に印象的で、歩くだけで気持ちが引き締まって背筋が伸びるよう

那智の滝
那智の滝
那智の滝を祀る飛瀧神社。鳥居をくぐり、石段を下ると、正面に那智の滝の全貌を見ることができます。圧巻の一言!

険しい山も雄々しい岩肌も、ダイナミックな滝も、熊野の自然は、きれいとか感動的という一言では表現できないような神秘性や厳かさがあります。いにしえの人々が熊野の自然を信仰の対象にし、都をはじめ、全国から険しい山道を越えて熊野に詣でたのも、この風景を前にすると納得します。歴史を知ればもっと熊野に対する理解も深まりますが、そんな難しい話は抜きにしても、熊野は訪れた人をファンにする魅力があると思います。

後ろ髪を引かれる思いで那智の滝をあとにし、再び那智勝浦の中心部へ下ります。下りは漕がなくてもスピードが出ますが、くれぐれもスピードの出しすぎには注意! あっという間に下ったら、本日1軒め、この旅3軒めのパン屋さん、紀伊勝浦駅近くのコッペに向かいましょう。

◇パン屋③ 『ホームベーカリー コッペ』- お年寄りから子どもまで地元のパン好きに愛される町のベーカリー

コッペ外観

創業から約40年というこの地域でも老舗と言えるパン屋さん『コッペ』。この地域でいち早く天然酵母と石窯を使ったパン作りを行い、カスタードクリームやあんも手作り。ホームベーカリーとうたうように、子どもからお年寄りまで地元の方に愛されているお店です。

お客様の年齢層も90歳代のおばあちゃんから子どもまでと幅広く、パンも50種類ほどあり、非常に種類豊富なのも特徴です。ジャムパン(130円)をはじめとする定番のパン、レーズン入りのぶどうパンなど長年愛されるパンは、現店主の岡本圭太さんの父でこの店の創業者・峻彌さんの代からの定番。食パンやカンパーニュなど食事に合うパンも人気で、特にカンパーニュは酸味が強めの本格的な味わいで海外の方にも人気なのだとか。

★イチオシパン「からっぽパン」(60円)

コッペ からっぽパン
左から時計回りにからっぽパン(60円)、いちごジャムパン(130円)、ドライフルーツたっぷりライ麦パン(200円)、クロワッサン(130円)。定番から新作パンまでよりどりみどり!

からっぽパン」(60円)は、同店で30年以上前から作られ続けている定番のパン。小ぶりで中が空洞になっていて、空洞の縁に少しだけ残っているピーナツバターのほんのりとした風味と甘みがアクセントになっています。かむほどに味わい深く、飽きのこない味で、長年地元の人に愛され続けているのも納得! それでいて1個60円という価格はお値打ちでうれしいです! サイクルジャージのポケットに何個も入れられそうなサイズなので、補給食としてもおすすめです。

★パン屋DATA
  • テイクアウト:OK
  • イートイン・カフェ:なし
  • テラス席:なし
  • 事前予約:OK
  • パンの種別:オシャレ/ハード系/菓子パン系/ケーキ/惣菜パン(調理パン)

ホームベーカリー コッペ
営業時間8:00~18:00
定休日日曜、月曜
住所和歌山県東牟婁郡那智勝浦町朝日3-70
電話番号0735-52-4407
Facebookhttps://www.facebook.com/homebakerycoppe/

海を見ながらパンをいただき、足湯を楽しんで新宮へ

ホームベーカリー コッペのパンを補給食としてゲットしたので、電車の時間まで昨日は回れなかった勝浦漁港周辺を散歩がてら自転車で走りましょう。

港では、これまで勝浦に水揚げされた最大のマグロをかたどったオブジェがぶら下がっています。

このマグロ、1匹で一体何人分の刺身になったんだろう? いくらで落札されたんだろう……

と、小市民を地で行く僕は真っ先にそんなことを考えてしまいました。

勝浦港にあるマグロのオブジェ
勝浦漁港にあるマグロのオブジェは、同港でこれまでに水揚げされた最大のマグロをかたどったもの。全長2.7m、体重450kgって、お造り何人前!?

港の近くには海を見ながら利用できる足湯もありました。何人も同時に入れそうな立派な足湯ですが、なんと無料で利用できます! 朝イチから那智の滝目指してヒルクライムした足をじんわりと癒しましょう。

勝浦港の近くにある足湯
勝浦漁港の近くにある足湯は、海を見ながら入れるのに料金は無料! 入らないなんてもったいない!

那智勝浦を堪能したら、漁港近くで海を見ながらパンをいただきます。潮風を感じながらパンを食べると、旅に出たんだなあと実感します。

那智勝浦港でパンをいただく

ひと心地付いたところで、最後の目的地にしてサイクルトレインの終着駅・新宮駅に向かいましょう! 新宮駅まではサイクルトレインで30分ほど。帰りは新宮から特急で名古屋方面か大阪方面に輪行するとなると、サイクルトレインも今回はこれで乗り納めです。

熊野速玉大社にお参りし、最後のパン屋へ

新宮駅で下車したら、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成遺産で熊野三山のひとつ熊野速玉大社を目指します。今回立ち寄る最後のパン屋も、熊野速玉大社の参道近くにあります。

まずは熊野速玉大社にお参り。サイクルラックに自転車を止め、厳重にロックして本殿に向かいます。神社に参拝したりパン屋に寄る際に駐輪することを考えると、パンライドにロックは必須です。

熊野速玉大社サイクルラック
熊野速玉大社の駐車場の奥にサイクルラックがありました! WAKAYAMA800スタンプラリーのチェックポイントにもなっていて、バーコードを読み込めばチェックイン完了!

玉砂利を踏みしめながら歩き、神門をくぐると、拝殿の向こうに熊野速玉大神などの神々を祀る社殿が見えます。境内には平重盛のお手植えと伝わる樹齢1000年のナギの巨木があり、歴史を感じさせます。

熊野速玉大社
森の緑と社殿の朱色のコントラストが鮮やかな熊野速玉大社。写真映えするのはもちろんですが、神々しくて凜とした雰囲気が漂っています

お参りを済ませたら、参道近くのパン屋さんMeganeを目指します。

◇パン屋④『Megane』- お酒や料理に合う本格派のハード系パンが楽しめる

megane(メガネ)外観

熊野速玉大社の参道近くにある『Megane』は、白い外観のこぢんまりとしたお店。店内は木の温もりが感じられるナチュラルな雰囲気で、カウンターに整然とその日焼き上げられたパンが並んでいます。

店主の前地洋希さんは、もともとワインバーを経営していて、そこで提供していたパンが好評だったため、パン職人に転身。カンパーニュやバゲットのような料理に合うハード系のプレーンなパンをはじめ、これらのパンを使った生ハムとチーズのサンド(480円)、クロックムッシュ(390円)といった調理パンもあります。いずれもワインやお酒、料理と合うのが特徴ですが、調理パンは単体で軽食になるのでサイクリストにはおすすめです。

★イチオシパン「木の実の棒」(330円)

megane(メガネ)木の実の棒
木の実の棒(上・330円)は、その名の通り木の棒のようなルックス。ナッツたっぷりのにぎやかな食感も楽しい。生ハムとブリーチーズのサンド(下・480円)はミルキーなブリーチーズと生ハムの塩気、パンのハーモニーが絶妙な逸品

まるで木の枝のような見た目が印象的な、ナッツをたっぷり含んだハード系のパン「木の実の棒」(330円)。生地に対してナッツの配合比率が高く、パン自体もうまみを引き出すためにしっかりと焼き上げているため、クリスピーな食感が特徴。一口かんだときに生地表面のパリッとした食感、中のもっちり感が残る食感、ゴロゴロ入ったナッツの食感が相まってにぎやかな食感が楽しめます。また、生地とナッツのそれぞれのうまみに蜂蜜のほのかな甘みも加わって、素朴で飽きが来ない味に仕上がっています。

ハード系のパンは食感が硬めで酸味が強いものが多く、日本人には敬遠されがちですが、Meganeでは酸味を控えめにして日本人好みになるよう工夫しているそう。おやつ感覚でそのまま食べても、スープや煮込み料理と合わせて主食として食べてもおいしくいただける逸品です。

megane(メガネ)店長夫妻
★パン屋DATA
  • テイクアウト:OK
  • イートイン・カフェ:なし
  • テラス席:なし
  • 事前予約:OK(営業日の14:00~)
  • パンの種別:オシャレ/ハード系/惣菜パン(調理パン)

Megane(メガネ)
営業時間11:00~18:00
定休日月曜、火曜、水曜
住所和歌山県新宮市上本町2-2-9
電話番号0735-30-4872
URLhttps://m.facebook.com/Megane0411

悠久の流れを感じながら、ゆったりと最後のパンを味わう

Meganeでパンを買ったら、熊野速玉大社の裏手にある熊野川の土手か、太平洋に面した王子が浜で食べるのがおすすめです。今回は悩んだあげく、熊野川の土手で食べることにしました。

熊野川でパンを食べる

熊野川は修験道の霊場として知られる奈良県の大峰山脈に源を発し、和歌山県を流れ、下流域では三重県と和歌山県境を流れる延長189kmの1級河川です。熊野本宮大社はかつてこの川の河原にあり、その跡地が大斎原という聖地になっています。熊野本宮大社から熊野速玉大社までの流域は世界遺産の構成遺産でもあります。

太古から続く悠久の流れを眺めながらいただくパンは、またひとしお。時々聞こえる鳥のさえずりも心地よく、「やっぱり自転車旅とパンは相性がいいなあ」と改めて感じたのでした。

サイクルトレイン×自転車で和歌山のおいしいどころ取りもスムーズ

今回はパン屋を切り口に和歌山を自転車とサイクルトレインで巡りました。和歌山は走りやすくて絶景やおいしいパンも楽しめる、パン好きサイクリストにとって天国のような場所でもあることに改めて気付きました。

「次回はエリアを絞ってたっぷり走りたいな。次はどんなコースを走ろうかな」

……なんて考えるだけでもワクワクします。今後もひとりのファンとして定期的に和歌山に走りに来たいなと思うのでした。

JRきのくに線サイクルトレインについて詳しく知りたい!

JRきのくに線では、御坊 ― 新宮間の普通列車を自転車を輪行袋に入れることなくそのまま持ち込めるサイクルトレインとして運行しています。予約不要、乗車券のみで利用でき、追加料金は必要ありません。保護者同伴なら小学生以下のお子様も利用できます。

きのくに線はIC乗車券にも対応しているので、乗り降りもラクラク。IC乗車券をピッとタッチして自転車を押して通過するだけです。

階段スロープの設置(新宮駅)、乗車位置の表示(新宮―紀伊田辺間)、サイクルラックの設置(御坊・朝来・白浜・見老津・串本・古座・新宮の各駅)、フォトスタンドの設置(串本・新宮の両駅)など、駅の環境整備が行われており、サイクリストに優しい環境です。

  • 利用可能な時間
    • 平日:午前9時から終電まで
    • 土日祝日:終日
  • 利用時の注意
    • 乗車時は自転車をゴムチューブやひもなどで手すりなどに固定してください。
    • 少人数で利用してください。
    • 混雑時は利用できないこともあります。
    • 降車時は電車が止まってから動きましょう。
    • 駅のホームでは自転車も黄色の点字ブロック内側を通行してください。
    • 駅構内や電車内での移動は、他の乗客の妨げにならないよう、十分気をつけてください。

>>きのくに線サイクルトレイン概要、利用時間はコチラから


協賛: 和歌山県観光連盟

Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

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WRITTEN BY浅野真則

自転車専門誌・WEBメディアで活動する自転車ライター。レース志向のガチ勢で、インプレやトレーニング系の記事だけでなく、カメラを担いで自ら被写体になりながら走り、原稿も書く“自作自演”の実走取材も得意。乗りたいバイクが青くないと新品でもわざわざ青く塗り直すほどの青好きで、もみあげの長い風貌から“青ゴルゴ”と呼ばれている。

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