水を使った本格洗車(前編)~ひとりで100㎞走るためのメンテナンス講座#15

初心者ライダーがひとりで100㎞ライドに出かけて、問題なく帰ってくるためのメンテナンス方法を紹介する連載企画。続けて読んでもらえれば、ライド前に必要な準備はもちろん、ライド中のトラブルに対応/回避するために必要なメンテナンスの知識が身につくと思います。無事に100㎞ライドを終えたころには脱・初心者です!

洗車は誰でも簡単にできる!

以前この連載で、室内でできるチェーン洗浄を前編後編に分けてお届けしました。集合住宅に住んでいて水場が使えない方などは室内洗浄でも十分に愛車をきれいに保てます。ですが、水を使った本格的な洗車を行ったほうが、隅々まで徹底的な洗浄ができて気持ちいいですし、手順さえ分かってしまえば案外簡単にできちゃいます。今回は水を使った洗車には必要な道具を紹介していきましょう。

必要な道具はそれほど多くない。

あと写真に写っていませんが、ウエスがあれば準備完了です。家庭用で使えるものもあります。それぞれのアイテムを詳しく説明していきます。

左からバケツ、ホース、ホースヘッド、手袋。

まずは、バケツとホース、シャワーヘッド、それにゴム手袋です。シャワーヘッドは「拡散」と「ストレート」が出せればいいです。お持ちでない方は、通販サイトで評判のいいタカギ 散水ノズル パチットプログリップハンディ―シャワーなどを用意してください。蛇口からホースが抜けないように、カクダイ 強力キカイバンドCのようなホース金具も必需品です。

左からチェーンツール、各種ブラシ、スポンジ。

左端にあるのは、この連載では何度か紹介しているBBB チェーングリップ BTL-50です。ホイールを外した状態でチェーンテンションを保つための道具で、チェーン洗浄には欠かせません。

ブラシは家庭用や油性用の刷毛なども使えます。スプロケットやディレイラーなど、入り組んだ部分に毛先が入るものをそろえましょう。自転車メンテナンス用のFINISH LINEイージープロブラッシュセットや、EVERS plus+ バイクブラシセットなどのセットを購入して、一気にそろえるのもオススメです。スポンジを2つ用意したのは、チェーンやタイヤなど汚れた部分を洗うものと、フレームなど比較的汚れが少ない部分を洗うものに分けるためです。

ケミカル&オイル類も不可欠

ケミカルは洗車と注油を2種類ずつ用意する。

洗浄と注油に使うケミカル類も用意します。チェーンやスプロケットなどの油汚れに、僕はワコーズのフィルタークリーナーを使っています。驚くほど洗浄力が高いのですが、非常に強い有機溶剤で匂いもきつく、すすぎ残しがあると潤滑油を分解してしまいます。また、廃液の取り扱いにも気を遣います。そういった弱点を改良して2016年から販売されているワコーズのパーツディグリーザーが扱いやすいでしょう。油汚れにはブラッシングが必要になりますが、低臭性と生分解性の高さが特徴で、安全性が高いのがなによりのオススメポイントです。ディグリーザーは他にも各社から出ています。使い切ったらいくつか試してお気に入りを見つけてください。

バイク全体の洗浄には中性洗剤を使います。台所用でも室内用でも大丈夫。泡立ちの良いものを用意しましょう。左端はいらなくなったドリンクボトルを切ったモノです。ここにディグリーザーを入れてボトルケージに差しておくと、刷毛塗り作業が楽になります。

注油はチェーン用と、その他のパーツ用の2種類です。ケーブルグリスやシリコン系のオイルを用意し、洗浄後にこの連載で以前紹介したケーブルの潤滑を行ってもいいでしょう。

デリケートなリアホイールは外そう

リアエンドにチェーンツールを装着する。

リアホイールを外したら、チェーンツールを取り付けます。油脂類を溶かす洗浄力とともにパーツ類への攻撃性も強いディグリーザーが、ハブ内へ滲入したりタイヤと接触することは、できるだけ避けたいです。ですからディグリーザーが飛びやすいリアホイールは外して洗車をするのですが、ホイールを外してチェーンが垂れ下がった状態では思うようにチェーンの洗浄ができません。そこでチェーンツールを使ってチェーンのテンションを保つことで、チェーンを回転させたり、力を入れたブラッシングを可能にしておくのです。

メンテナンススタンドにセットして準備完了。

チェーンツールを取り付けたら、メンテナンススタンドに固定します。スタンドは後輪が浮くタイプでしっかりしているものならば、簡易的なディスプレイ用のものでも使えます。MINOURA(ミノウラ)など、定評のあるメーカーのモノがオススメです。

リアハブを挟むタイプでは、フレームの頭頂部を曲げてリアディレーラへのアクセスを容易にしているMINOURA DS-80 ディスプレイスタンド、チェーンステーで保持するタイプだとMINOURA DS-532 600L、このあたりが洗車にも使えそうです。約5000円と予算は上がりますが、サドルをひっかけるタイプのMINOURA HMS-10 フック式メンテナンススタンドは簡易メンテナンス用なので、洗車でも十分に対応するでしょう。

さて、これで準備は完了です。次回は実際に洗車する方法を紹介していきます。

●バックナンバー【ひとりで100㎞走るためのメンテナンス講座】
第1回/空気の入れ方
第2回/簡単なチェーン掃除法
第3回/水を使わずチェーンを洗う(準備編)
第4回/水を使わずチェーンを洗う(実践編)
第5回/出先でのパンク修理に必要な7つのギア
第6回/確実にサッと行う出先でのパンク修理法
第7回/ねじ、ナメたことない? 正しい工具の選び方
第8回/ロードバイクに使えるケミカルの基礎知識(前編)
第9回/ロードバイクに使えるケミカルの基礎知識(後編)
第10回/変速機の調整(前編)
第11回/変速機の調整(後編)
第12回/リアディレイラーが折れても走って帰れる?
第13回/命を守るブレーキの調整方法
第14回/消耗パーツのチェック箇所

監修:Viking the Maintenance石橋
Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

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WRITTEN BY池田潮

フリーライター。東京杉並区出身。普段はロードバイクでグループライドを楽しんでいます。気軽な自転車で街をぶらぶらするのも好きです。好きなドラマは「ブレイキング・バッド」と「ナイト・オブ・キリング」。最近チェアリングはじめました。 近著「クロスバイクスタートブック2018」「クロスバイク購入完全ガイド2018」(ともにコスミック出版)https://www.instagram.com/ikedaushio/

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