クロスバイクのドロップハンドル化はアリ? デメリットを理解すべし! ブルホーンバー・バーエンドバー・ESCAPE R DROPも

クロスバイクのドロップハンドル化はアリ?ブルホーンバーやバーエンドバー、「ESCAPE R DROP」を解説!

クロスバイクに乗り始めてしばらくすると「もっと速くなりたい」と考えるようになります。「ドロップハンドルに交換すれば、見た目もカッコよくなるしいいかも!」そう思われる方は多いです。

ただドロップハンドルへの交換は、想像以上にリスキーでハードルが高いことも事実。

メリット・デメリットを理解して、「ドロハン化」はアリなのか? 一緒に考えていきましょう。

ドロップハンドル化のメリット

ドロップハンドル化のメリットとしては、主に三つ挙げられます。順を追って説明していきます。

①見た目がカッコよくなる

ドロップハンドル化

自転車に乗る上で、見た目は重要な要素です。ドロップハンドル付きのバイクというのは、それだけで見た目がスポーティーでカッコいいものです。

②乗車中の姿勢を変えられる

ポジションの違い
左側が上体を起こしたラクな姿勢、右側は前傾が強くスピードを出す“攻め”の姿勢

クロスバイクやシティバイクに付いているフラットハンドルでは握る箇所のバリエーションはほとんどありません。せいぜい手の位置を左右に少しずらすくらい。

一方で、ドロップハンドルには「ブラケット」や「下ハン」、「上ハン」など持つ部分が色々あるので、坂を上る時、平地を走行する時、下りを走行する時と、それぞれの場面に適したハンドルポジションが可能です。疲れた時にラクな姿勢を取れることも大きなメリット。

つまりドロップハンドルなら より速く、より快適に乗るための乗車姿勢を取ることができるのです。


>> ポジションの自由度とは? 具体的なハンドルポジションの名称とあわせてチェックしよう

③愛着が湧く&自転車の構造に詳しくなる

もしドロップハンドルへ交換したクロスバイクであれば、本来の用途や目的は置いておいても、唯一無二の一台という価値は付されます。 自転車にいっそう愛着が湧き、自転車の構造に詳しくなる点もカスタムの醍醐味ですね。

デメリット

ここまで読んできて、「ドロップハンドルいいじゃん!」と思われた方もいるでしょう。しかし理解しておきたい「落とし穴」が2つあります。

フレーム設計がロードバイクと異なる

大前提の部分です。一見同じようなフレームに見えても、クロスバイクとロードバイクでは基本設計が異なります。

  • ロードバイク:空気抵抗を減らし、速く走るために作られている。基本的にキビキビとしたフィーリングで深い前傾姿勢を取れるフレーム設計。

  • クロスバイク:安定性や快適性を重視。乗り心地が良く、上体が起きた姿勢(アップライト)になるように設計されている。

具体的に見比べてみましょう

左がクロスバイクの「ESCAPE RX 3」、右がロードバイクの「CONTEND 2」。 Image: GIANT
左がクロスバイクの「ESCAPE RX 3」、右がロードバイクの「CONTEND 2」。 Image: GIANT

ESCAPEはGIANTの大ヒットクロスバイクで、RXシリーズはその中でも走行性能が高いモデル。クロスバイクの中でもロードバイク寄りのモデルといえます。

CONTENDはオールラウンドなアルミロードで、快適性と加速性のバランスの良いシリーズ。ロードバイクの中でも比較的アップライトなポジションをとれるモデルです。

それでもやはりクロスバイクであるESCAPEのほうがホイールベース(前輪の中心から後輪の中心までの距離)が長く、安定して走れるようになっています。

そもそもセットされるハンドルが異なりますから、それぞれの基本ポジションにあわせたフレーム寸法設計であるのは言わずもがな。

クロスバイクとロードバイクでは手を置く基本のポジションが異なる
クロスバイクとロードバイクでは手を置く基本のポジションが異なる
一般的にトップチューブ長はクロスバイクのほうが長い

またフレームジオメトリだけでなく、強度・コストといった観点からチューブの厚みや素材も異なるケースも多いです。

もちろんフレームだけでなく、タイヤやブレーキといった各種パーツもロードバイク/クロスバイクそれぞれの用途にあわせてアッセンブルされています。トータルで見て「クロスバイク」であり、「ロードバイク」なのです。

クロスバイクにドロップハンドルを取り付けても、 純粋なロードバイクとは異なると理解しておくべきでしょう。

大幅な改造が必要

仮にクロスバイクをドロップハンドル化する場合、「ハンドルだけを付け替えたらOK」というわけではありません。それがもうひとつのデメリット、 大幅な改造が必要という点です。

ドロップハンドル化において最大の壁とも言えますね。

具体的に想定してみると、ドロップハンドル用のブレーキレバー、ブレーキ本体の取りかえ、同じくステムや、場合によってはディレーラーやクランクといったパーツの交換が必要で、かなり大がかりな改造となります。

フラットバーとドロップバーではブレーキレバーは全くの別物

交換するパーツや、ショップにお願いする際の工賃まで考えると、新しいクロスバイクが買えてしまう金額になってもおかしくありません。場合によっては、あと少し出せばエントリーロードに手が届くことも。

もちろんドロップハンドル化がダメ!というわけではないですが、「エントリーロードバイクの新車」という選択肢も頭に入れておいても良いでしょう。

ロードバイク入門者向け記事はコチラ

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ドロップハンドル化以外のカスタム

ここからは、ドロップハンドル化よりも比較的簡単なカスタムを紹介していきます。

ブルホーンバーへの交換

ブルホーンバーは、名前のとおり牛の角のような形をしたハンドルです。ドロップハンドルほどではありませんが、持つ部分が多く手首の確度も変えられるので、乗り心地を一変してくれるでしょう。

ドロップハンドルへの交換よりは比較的作業が簡単ですが、初心者が知識なしにできるカスタムではないので、まずはショップに相談することをおすすめします。

おすすめブルホーンバーをチェック!

バーエンドバーの取り付け

バーエンドバーは、ハンドルの両端に取り付けるパーツです。手首の確度が変わり、クロスバイクでも無理のない前傾姿勢を取ることができます。両端に付けるだけで使用できるので、ハンドルを交換するのは大変、という方におすすめです。

空気抵抗を減らせるのでスピードアップも期待できちゃいます!

>> ドロップ型のバーエンドも。体勢を変えられるだけでロングライドがグッとラクに!

ドロップハンドルのクロスバイクという選択肢も! GIANT ESCAPE R DROP

クロスバイクのドロップハンドル化は、ここまで説明したように手間がかかることや、ロードバイクとは一線を画すということから邪道だと考えられてきました。そんな中2019年にGIANTが発売したのは、人気クロスバイク「ESCAPE R」とドロップハンドルを組み合わせた「ドロップバークロスバイク」。その名も「ESCAPE R DROP」。

ESCAPE R DROP
Image: GIANT

まさかメーカーがこのようなモデル展開をするとは思ってもみなかったので、発売当時は私も驚いたことを覚えています。

そして、その中身も魅力的。フレームはクロスバイクの流用ではなく、専用設計のものが使われており、さすがはGIANTといったところ。クロスバイクのフレームをベースにすることで安定性、快適性を実現しながら、ドロップハンドルを付けた時に違和感がないようロードバイクに寄せています。クランク(フロントギア)には46-30T、スプロケット(リアギア)には11-34Tのものを採用、平地も坂道もラクに漕ぐことができます。タイヤは30cが使われており、安定した走行が可能です。

快適性が重視されている一方で、コンポーネントにはロードバイク向けのShimano Clarisが採用されています。そのため、ロードバイクならではの操作性と軽快な走行を味わうことができます。

ドロップハンドルをつけるために最適化されたクロスバイクなので、「 カスタムには躊躇してしまう、エントリーロードバイクでもあと少し予算が足りない、だけどドロップハンドルに憧れる」、そんな人にはピッタリな選択肢と言えるでしょう。

LINK: ESCAPE R DROP|GIANT

まとめ

手持ちのクロスバイクをドロップハンドル化するにはそれなりの費用を覚悟しておかなければなりません。ですが、唯一無二の自分仕様のバイクに仕立てあげる楽しさはカスタムの醍醐味です。その意味で「 ドロップハンドル化はアリ」だと思います。

ブルホーンハンドルやバーエンドバーなど、手軽な選択肢でひとまず試してみるのも良いでしょう。

カスタムには専門的な知識や技術が必要です。特にブレーキ周りは命にもかかわるパーツ、専門ショップによく相談した上でカスタムを楽しんでください。

大場 忠徳

監修:大場 忠徳

愛知県の自転車店「サイクルアシストオオバ」の店長。 自転車関連会社で営業、企画職を経て、サイクルアシストオオバを開業。他にもメカニックとしてのイベント参加、講習会講師などその活躍は多岐にわたる。

「ツール・ド・おきなわ」のオフィシャルメカニックを10年以上勤めた後、現在は出張専門のメンテナンスショップとして活動中。

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WRITTEN BYナベケン

ゆるポタやロングライドが好きな大学生。愛車はキャノンデールグリーンのCAAD12。荒川サイクリングロードの上流やちょっとした峠のような、探検したくなる道が好き。

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