ストライダー カスタムの豊富な経験を持つ筆者が、カスタムの効果やおすすめパーツを紹介する連載企画。第八弾となる今回は、ランバイクには欠かせないプロテクターやグリップソックスを取り扱っている『タキス』代表のインタビューをお届けします。
ストライダーレースにおいて、他を圧倒する装着率を誇るG-FORM。そんなG-FORMを日本に導入した『タキス』の瀧本さんに、プロテクターの重要性と種類、G-FORMがプロテクターとして革新的な理由、タキスの人気商品についてお話をうかがいました。 首第6頚椎骨折という大怪我から復帰した経験を持つBMXレーサー菊池 雄さんのコメントは必見です!
目次
G-FORM(プロテクター)とは
――G-FORMについて、教えていただけますか?
瀧本さん:「ストライダーキッズの定番商品」であるG-FORMは、BMXを始め、スケートボード、スノーボード、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボールなど、あらゆるスポーツ選手に愛用されています。近年では、産業分野や法執行機関(警察等)、軍事などでも、G-FORMの需要が高まっています。
――どんな場面でも、プロテクターがあると安心ですよね!
瀧本さん:スポーツをしている時や仕事中など、アクシデントやケガから身を守る必要がある場面において「プロテクターは、もっとも有効的なもの」になります。人は自信を持っている時に、最高のパフォーマンスを発揮します。これに対して、不安があったり何かを恐れたりしている時には、パフォーマンスが低下してしまいます。守られているという「安心感があれば、より集中する」ことができます。
僕の周りでも、若い頃からの衝撃による蓄積ダメージで悩んでる人は多いんです。小さな衝撃でも、積み重なると大きなケガへとつながります。ストライダー キッズが、ちゃんとプロテクターを装着しているのは「レースのレギュレーションで、装着義務があるから」だと思います。必要性を理解している大人でさえも、着けることが面倒だったり、装着感が気になったりして、プロテクターを装着しない人は多いですよね。
東京オリンピックで盛り上がったスケートボードやBMXなどのスクールの先生たちが言っているんですが「生徒にケガさせたくないという思い」から、いまプロテクターの需要が高まっています。ケガを未然に防いで、ずっと長くスポーツを楽しんでもらうためにも、適切なプロテクターを着用してほしいと思っています。
国内トップクラスライダーが語る!プロテクターの重要性
「自転車の格闘技とも呼ばれるBMXレース」において、国内トップクラスであると共に、ストライダーキッズにも大人気のプロライダーをここでご紹介させてください。コロナ禍のため、最近は開催を見合わせていますが「アクティブ キッズ フェスタのARIAKE KIDS CUP」という東京有明で行われている、とても有名なストライダーレースがあります。そのレースの大会MCの方が、今回紹介する「菊池 雄さん」です。
菊池雄選手「東京五輪の夢には届きませんでした。でも10月の全日本選手権で『日本一』を狙います。」 | ACTIVE KIDS MAGAZINE
筆者の子供もこのレースに何度か参加しましたが、雄さんが子供たちの心をうまく掴んでレースを盛りあげている姿が印象に残っています。
スタートグリッドで選手紹介をする場面で、トップライダーでもない我が子に「りゅうすけ、がんばれ!」って、声をかけていただいたのは「今でも最高の思い出」です。その言葉に励まされ、親子で集中してレースに臨むことができました。
そして、なんと言っても楽しい雰囲気を作り出すのが、本当に上手な方なんです。「ワッショ~イ!」って感じですね(笑)
雄さんは、2012年にBMXのレースで、生死をさまよう大怪我をしてしまいます。そして、復帰後の壮絶なリハビリを乗り越え、昨年(2021年)の全日本選手権(日本最高峰のエリートクラス)において、見事準優勝しました。もう言葉が出ないくらい、嬉しかったです。
雄さんは忙しい中でも、子供たちの育成に力を注いでいます。日本のBMX界を引っ張る素晴らしいレーサーであり、かつ誠実な人柄と熱心な活動で多くの人に親しまれている方です。今回特別にプロテクターについて、コメントをいただくことができました。
幼い頃は膝パッドしかしなかった自分は、数々のトライ、数々のレースで、思いがけないクラッシュが多々ありました。
幼少期は、動きやすさ重視でパッドを好まなかったのですが、27年間BIKE LIFEを楽しんでいると、乗れない時が一番辛い…
骨折なんか、ギブス3ヶ月巻けば治るっしょ!
その感覚は「首の第6頸椎骨折の怪我をしたことで、ガラッと変わりました」
「下半身不随で歩けなくなった時、日常がどんなに幸せなことか!」を身をもって痛感し、僕は「BIKEのペダルの上で、生きて行きたい!」と思いました。
クラッシュは、どんなに上手いライダーでも必ず起こりうること。
でも守れるクラッシュは、楽しみながら守るべきです。
いまレース時のウェアの中は、全身G-FORMを着ています。
守れる怪我は、守っていきましょう!
これ(G-FORM)を着ているから「今は大丈夫!」って、自信がつくんです。
僕は、G-FORMにたくさんの場面で守ってもらっています。
G-FORMは、最高のパートナーであり、
BIKEが身体の一部であるように、今はG-FORMが身体の一部です。
動きやすさ、衝撃吸収のクオリティー、僕はG-FORMを心よりオススメします。
BMX PRO RACER 菊池 雄
YOU KIKUCHI #123 ?? 菊池雄 (@youbmxrocky) • Instagram photos and videos
プロテクターの種類
――プロテクターの種類について、教えていただけますか?
瀧本さん:プロテクターは、大きく2つに分類することができます。
- ハードシェルタイプ(硬めの素材:プラスチック等)
- ソフトシェルタイプ(柔らかい素材:ウレタンや特殊な衝撃吸収素材等)
ハードシェルタイプ
Amazonの売れ筋ランキングの上位に表示されているものは、ほとんどがこのタイプです。ちょっとゴツくて、怪我から守ってくれそうなイメージがあり「プロテクターの代名詞」のような気がします。
ハードシェルの素材はプラスチックが一般的ですが、力を加えると割れてしまう特性があります。しかし、耐久性が良く、材料価格も安いので、身近でさまざまなものに使われています。ちなみに、カーボンも「炭素繊維強化プラスチック」と呼ばれるプラスチックの仲間なんです。でも、これらは衝撃を吸収してくれません。
※ハードシェルタイプのプロテクター
ハードシェルタイプは、お手頃価格なので「お財布に優しい」という魅力がありますが、「衝撃をまともに受けてしまうので、体には優しくない」ことが問題になります。さらに着け心地が悪く、保護部に厚みがあるため、体にフィットしません。そして、最大の難点は「保護部が硬くて動きにくいので、走りのパフォーマンスが低下してしまう」ことです。ストライダーレースにおいては、致命傷になってしまうでしょう。また、夏場に装着すると通気性が悪いので、熱がこもってしまうところも難点です。
ソフトシェルタイプ
一方ソフトシェルタイプは、転倒などによる「衝撃を吸収してくれる」ので、優れた保護性能を発揮してくれます。 衝撃の比較テストによると、ハードシェルタイプよりも50%程度少ない衝撃になるという結果が出ています。
従来のハードシェルタイプ(右)は、衝撃を分散するように設計されていますが、ソフトシェルタイプ(左)は、衝撃を吸収するようにできています。
ソフトシェルタイプの最大のメリットは、「プロテクターの部分に柔軟性があるので、体の動きを妨げない」ことです。ソフトシェルは、薄くできているため軽量であり、ゴツゴツしていないので「洋服の一部と思ってしまう」ほど、プロテクターを着けている感じがしません。これには、大きな価値があると思います。
G-FORM(プロテクター)の特徴
優れた衝撃吸収性を持つポロン素材
――G-FORMの特徴って、どんなところでしょう?
瀧本さん:G-FORMの特徴は、何と言っても「ポロンの性能が素晴らしい」ところにあります。ポロンには、優れた衝撃エネルギー吸収性と形状記憶性があります。衝撃が入った後に高い復元性があり、長期間の圧縮に対しても強いので、耐久性もあります。
※大気圏外からiPadを落下させた話題の動画です
ぴったりフィットするSmartFlexテクノロジー
G-FORMは、体と一緒に動くように設計されていて、薄くて軽量で、衝撃を吸収してくれる夢のようなプロテクターです。これらの技術を総称して「SmartFlexテクノロジー」と呼んでいます。
※SmartFlexテクノロジーについて
――ポロンは、プロテクターに適している素材なんですね
瀧本さん:ポロンは、他のメーカーでも使っていますが、G-FORMは、このポロン素材をさらに特殊な特許技術で加工していて、世界で唯一の防水プロテクターを実現しています。湿気や汗を吸収しないので「パッドの劣化を防ぎ、衝撃吸収性が変化しない作り」になっています。SmartFlexパッドは、防水性能が高いので洗濯機で洗えるんですよ。これも他社さんにはない「強み」です。
※SmartFlexパッドは、すべて自社製です(アメリカ製)
G-FORMはソフトシェルタイプの中でも、より優れた保護性能があるというテスト結果(下図参照)が出ていて、安心して使うことができる裏付けとなっています。
進化し続けるG-FORM
――G-FORMには、さまざまな種類のパッドがありますが「SmartFlexストレッチパッド」は、どのようなものなんですか?
瀧本さん:SmartFlexパッドの柔軟性をさらに強化させたものです。SmartFlexストレッチパッドは、関節にフィットしながら可動性と通気性を向上させるオーセティックな4方向のストレッチデザインを採用しています。 強化された柔軟性は、より柔軟な関節の動きが必要となるバレーボールやバスケットボールなどのスポーツに理想的なパッドになります。
このパッドは、関節部が曲げられた時に、隙間から不要な熱を逃がすようにできています。そして、摩擦の少ない表面素材でできているので、着け心地が最高なんです。吸汗で、速乾性があり、UPF50 +(紫外線保護指数の最高値)のコンプレッション素材ですし、そのまま洗濯機で洗うこともできます。
――G-FORMのこれまでの進化を教えてくださいますか?
瀧本さん:G-FORMは、常に改善を行っており二世代目のPRO-X2では、通気性が追加されました。 目立ちませんがパッドのセクションの間に、熱を逃すための小さな穴が開いています。さらに、パッドの形状も見直されて、衝撃吸収性が向上しました。
最新のPRO-X3モデルでは、保護パッドの下に「柔らかくて通気性のあるインナーフォームを重ねた2層構造」になりました。通気性が向上し、より快適になっています。そしてカラートレンドも分析されていて、デザインが洗練されてカッコ良くなっていると思います。
G-FORMのラインナップ
――G-FORMは種類が多いので、どれを使ったらいいのか迷ってしまいます。簡単に違いを教えてもらえますか?
瀧本さん:ストライダーやBMXなどに使うものは、大きく分けて3種類です。すべてSmartFlexテクノロジーを採用していますが、違いは「レイヤー構造」にあります。
- PRO-X シリーズ
- PRO-RUGGED シリーズ
- E-LINE シリーズ
PRO-X3 シリーズ
こちらは「一番代表的な2層構造のプロテクター」です。通気性のあるレイヤーと衝撃吸収性のあるレイヤーとの2枚重ねになっています。他の「かさばるパッド」とは異なり、軽量で、並外れた柔軟性があるため、あらゆる動きに対してオススメのプロテクターです。そして、コンプレッションウェアとしての筋疲労低減効果もあり、通気性があるパッドが身体にフィットすることで衝撃吸収を高め、最大限の保護性能と快適さを実現しています。
PRO-RUGGED−2 シリーズ
こちらは、PRO-Xシリーズに耐久性のあるDuraTxレイヤーを重ねた「3層構造のプロテクター」です。摩耗に強いので、鋭い枝や岩があるトレイルに、もってこいです。オフロードアドベンチャー用として、よりフィット感を感じられると思います。ラゲッドは、あらゆるレベルのMTBライダー向けに設計されており、保護する部分(膝と脛の両方)を完全に覆ってガードします。BMXのライディングに適しています(レースやフリースタイル)が、ストライダーに使っている方もいらっしゃいます。
E-LINE シリーズ
こちらは、さらに頑丈なレイヤーを加えた「4層構造のプロテクター」です。激しいダウンヒルMTBのライディングには、硬い岩などから体を守る機能が要求されるために、頑丈であることが必須となります。E-LINEは、まさに最強のプロテクターと言えるでしょう。靴を脱がずに着脱できたり、通気性が良かったりと、機能性が高いのもポイントです。
タキスの人気商品
――ストライダー用のプロテクターで、特に人気がある商品を教えていただけますか?
瀧本さん:ストライダーキッズには「PRO-Xシリーズ」の肘と膝のプロテクターが、一番人気です。転倒した時、真っ先に地面からの衝撃を受ける箇所ですからね。BMXのオリンピックメダリストが、レース時に着用していることでも知られています。「PRO-Xシリーズは、G-FORMを代表する商品」と言っても過言ではないでしょうね。
【G-FORM】PRO-X3
- エルボー(肘/ひじ)パッドユースプロテクター (子供用)
- ニー(膝/ひざ)パッドユースプロテクター (子供用)
PRO-X3 エルボーパッド子供用プロテクター :タキス公式オンラインショップ
PRO-X3 ニーパッド 子供用プロテクター:タキス公式オンラインショップ
――コンパクトなプロテクターを着けている子も見ますね
瀧本さん:「エンヴィー ニーガード」ですね。こちらは、バレーボール用の膝サポーターですが、2~3歳のお子さん用として人気がある商品になります。Sサイズが幼児にはピッタリで、とっても可愛いです。インドアスポーツ用ですが、速度が上がらない低年齢のお子さんには、十分使うことができます。「軽量で、体にフィットする」のが、こちらの特徴になります。
【G-FOAM】ENVY
- バレーボールサポーター ニーガード(膝/ひざ)
ENVYバレーボールサポーターニーガード :タキス公式オンラインショップ
――上半身などを守るプロテクターは、RCSのレースに出る選手に人気がありますね
(RCSは、全日本ランバイク選手権シリーズの略称です)
瀧本さん:ストライダーは、バイクほどスピードは出ませんが、胸部は頭部の次に大怪我になる危険性が高い場所です。転倒などで胸部を強く打った場合は、かなり痛いと思います。そんな理由から「RCSにおいて装着義務化になった」のだろうと思います。腰回りも、忘れてはいけない部分になります。
G-FORMは動きやすく、軽量で優れた衝撃保護性能がある、業界をリードしているプロテクターです。PRO-X3タイプは通気性が良いので、夏場でも快適に使うことができます。
【G-FORM】PRO-X
- PRO-X 子供シャツ(上半身) プロテクター付きコンプレッション
- PRO-X3 SHORTS LNR バイクショーツ(腰回り) 子供用プロテクター付き
(子供用は、サイクルパッドが付いていません)
※上半身と腰回りのプロテクターで、しっかりと体を保護できます
PRO-X 子供シャツ プロテクター付きコンプレッション:タキス公式オンラインショップ
PRO-X3 SHORTS LNRバイクショーツ子供用プロテクター付きコンプレッション:タキス公式オンラインショップ
今後の展開について
――G-FORMで、いま開発が進んでいるものを教えていただけますか?
瀧本さん:もうすぐ「MX360という背中パッド付きのシャツ」が発売されます。注目なのは「背中に通気性の高いパッドとSmartFlexパッドの多層構造の大きなパッドが入っている」ところです。胸と肩には、柔軟性が高いSmartFlexストレッチパッドを採用し、快適性と保護性能を高いレベルで実現させています。これは、待ち望んでいた「ものすごいプロテクター」だと思います。
――ヨットの上で使ってみたくなりました。セーリングでも使える、優れものだと思います!
瀧本さん:そう思って、今日サンプルを持ってきました(笑) ヨットにも、ぜひ使ってみてください。従来のプロテクターは機動性を妨げるため、多くの人は着用しなかったと思います。MX360は柔軟性が高いので、フィット感も最高ですし、パフォーマンスを損なうことがなく、高い保護性能が持ち味です。スポーツシーン以外にも、ぜひ使ってほしいと思っています。安全は、何よりも優先されるものですから。
▶タキス「ユーザーの声」をチェック!
まとめ
SmartFlexテクノロジーは、業界をリードする技術であることに間違いはありません。大きくてかさばるプロテクターは、もはや過去のものとなるでしょう。タキスさんには、社会からの大きなニーズと期待が寄せられています。グリップソックスを含め、この素晴らしいプロテクターを世に広め、日本のスポーツ界をさらに盛り上げていってくれることでしょう。
そして、私たち大人がプロテクターについての認識を改め、ケガのリスクが高い場面においては、しっかりプロテクターを装着するべきだと思いました。筆者もMX360を装着して、安全で、より快適なセーリングをしたいと考えています。また、うちの長男にも野球用のG-FORMを着けさせてあげようとも思ってます。装着するだけで、なんかパワーアップした感じになりそうですよね。
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