一番カンタンな軽量化。インナーチューブを交換しよう ~教えてハシケン先生#17
サイクルスポーツジャーナリストで、さらに国内トップクラスの強豪ヒルクライマーでもある “ハシケン先生”が、自転車がさらに楽しくなるように、乗り方のテクニックを紹介する連載企画です。今回は、つらくて苦手な人が多いヒルクライムを少しでも楽に、さらにはビックリするほど走りが変わる対策を紹介しましょう。
目次
チューブを変えれば走りが変わる
今回紹介する対策は、フォームやペダリングといったスキル面ではなく、機材対策です。ヒルクライム対策のカスタマイズと聞いて思い浮かぶのが、バイクの軽量化でしょう。重力に逆らいながら走り続けるヒルクライムは、バイクの重量が軽くなれば引き上げる力も少なくて済み、走りが楽になります。軽さが正義と言っても過言ではありません。
軽量化のポイントは、限られた予算の中で、賢く効率的に軽量化することです。数ある軽量化対策の中で、今回は、初心者が低予算で最大効果を得られる「インナーチューブ」を紹介します。なお、ここでは、インナーチューブが必要なクリンチャータイプのホイールが付いている完成車を前提にした対策です。
足回りの軽量化は効果が高い
それではなぜインナーチューブなのでしょうか。自転車を構成するパーツのなかで、足回り部分のパーツの軽量化は効果テキメンだからです。平地ではホイールに慣性が働くのでペダリングを止めても回転しますが、登坂では脚を止めれば回転は停止してしまいます。そのため、上り坂では常にトルクをかけ続けてホイールを回転させる必要があります。このとき、回転物の重量が軽いほど踏み込み時の力は少なくて済むのです。さらに、回転体を構成するホイール、タイヤ、インナーチューブのうち、外周部にあるタイヤとチューブほど軽量化の恩恵を受けます。
オススメのインナーチューブBEST5
今回は、より低予算で気軽にカスタマイズできるヒルクライム向けのインナーチューブを紹介します。タイヤは1本あたり5000〜15000円なのに対して、インナーチューブは1本あたり1500~2500円ほどです。はじめてのヒルクライムバイクのカスタマイズに、まずは高性能な軽量チューブをチョイスしてみましょう!
ブリヂストン エクステンザ スーパーライト
2009年からブリヂストンサイクルが展開するタイヤ&チューブシリーズ「エクステンザ」の超軽量チューブ。ゴム素材には化学ゴムのブチルゴムを使用し、厚み0.45mmを実現。バルブ長48mmで52gは、ブチルチューブモデルとしては最軽量クラス。生産は台湾の大手メーカーで製造される。
パナレーサー R’AIR(アールエアー)
通常のブチルチューブと比べて2.1倍の伸縮性を持つ独自開発の高強度ブチルチューブ「Air Flex Lite Butyl」を採用するパナレーサーの軽量チューブ。軽さだけでなく、耐久性と振動吸収性も追求した高性能チューブ。タイヤとの密着性も高く低い転がり抵抗を実現している。国産ブランドらしく、国内プロチームからのフィードバックを積極的に取り入れて製品開発を行っている。
ボントレガー ライトウェイト チューブ
アメリカの総合パーツアクセサリーブランドであるボントレガーの軽量チューブ。高品質な製品を世に出すイメージが強く信頼をおける。厚さ0.6mmと耐久性とのバランスを両立した設計。バルブコアを取り外しできるため、リムハイトに合わせてエクステンダーで調整が可能。
マキシス フライウェイト チューブ
台湾のタイヤメーカーとして世界的に知られるマキシスにラインナップされる世界最軽量クラスのブチルチューブ。ゴム厚が0.45mmと極薄ながら、空気の抜けも少なくメンテナンス性も高い。軽量ながらヒルクライムの決戦用に限らず活躍してくれる。60mmロングバルブもラインアップ。
SOYOラテックスチューブ
素材に天然ゴム(ラテックス)を採用する国産モデル。化学ゴムのブチルに比べて、ゴムの伸度が高く貫通パンクに強い特性を持つ。素材自体を薄く作ることができ、軽さを追求できる。また、タイヤの変形に柔軟に対応するため、走行抵抗の少ないしなやかな乗り心地を生み出す。一方で、素材の分子が大きい分、空気の浸透率が高くエアーの抜けが早く、毎回充填する必要がある。熱にも弱いため、リムに熱を持ちやすいカーボンクリンチャーホイールとの相性は悪い。
●バックナンバー「教えてハシケン先生」
第1回 上りのペダリングのコツは空き缶つぶし?
第2回 “上りやすい”フォームで走ろう!
第3回 ペダリングはタイミングが重要
第4回 ダンシングは“踏まずに乗せる”がポイント!
第5回 キツい坂道を楽に走るための呼吸法
第6回 “休めるダンシング”で急な上り坂も怖くない!
第7回 ラクに上れる!シフトチェンジの基本テクニック
第8回 腰が痛いと思ったら・・・1分ストレッチで筋肉をほぐす
第9回 首・肩のコリは30秒ストレッチで解消
第10回 お尻の痛みを解消する3つの方法
第11回 ひざ痛を予防するフォームとセッティング
第12回 努力いらずで楽に走れる“ながらエクササイズ”
第13回 座って寝て早くなる体幹トレーニング
第14回 いつもの階段で“ペダリング筋”を鍛える
第15回 “ながらエクササイズ”を実戦で確認する!
第16回 上る前の下準備“ウォーミングアップ”4つのポイント